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もうすぐ、食卓から、クロマグロが消える⁉

秋サケ、サンマ、ウナギなどの不漁に続いて、クロマグロの資源枯渇が急浮上している。12月にはサモアで太平洋中西部のクロマグロについて話し合うWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)の年次会合が開催される。捕鯨に続いてクロマグロの漁獲規制が正念場を迎えそうだ。

太平洋クロマグロの7割を漁獲する日本

2013年の年初め、青森県大間で獲れたクロマグロの入札で、1尾1億5,500万円という驚きの値がついたのを覚えているだろうか。中国の寿司屋との競り合いが新年というご祝儀相場も手伝ってべらぼうな価格となったもの。だが、もうすぐクロマグロそのものが庶民にとって高値の花になるかも知れない。

「本マグロ」とも呼ばれるクロマグロは、マグロの中のマグロ、最も高級なマグロとして知られる。刺身用として食卓にのぼるほか、脂の多い部位はトロとして寿司ネタで珍重されてきた。

実は太平洋に生息するクロマグロの全漁獲量の7割は日本漁船によるもので、韓国や台湾、メキシコなどの外国漁船によって漁獲されたものも、その多くが日本に輸出されている。

わが国は、太平洋クロマグロの最大の漁業国であり、消費国でもあるのだ。



乱獲で大幅な漁獲量削減が急浮上

先頃、アメリカのカリフォルニア州ラホヤで、東部太平洋のマグロの資源管理を話し合うIATTC(全米熱帯マグロ類委員会)の臨時会合が行われた。

この海域でマグロを漁獲している参加各国の政府代表は、IATTC科学委員会が勧告していた、資源保護のための漁獲量の削減を大筋で受け入れ、貴重かつ危機に直面する太平洋クロマグロの漁獲を、約4割削減することで合意した。

今回の合意は、2014年12月にサモアで開催が予定されている、太平洋中西部のクロマグロについて話し合うWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)の年次会合にも大きな影響を及ぼすとされている。


産卵可能な親魚はかつての4%

太平洋クロマグロの90%以上(漁獲尾数の割合)は、まき網漁業や曳き縄釣り漁業によって0~1歳魚の未成魚(ヨコワ)の時期に漁獲されるといわれる。

未成魚の獲り過ぎで、産卵可能な親魚はかつての4%しか残されていないともいわれる。「未成魚の漁獲を抑制し、大きく育ててから漁獲する」という資源管理をさらに徹底しなければならないのだ。


求められる資源管理の強化

水産庁は、2010年5月に「太平洋クロマグロの管理強化についての対応」を発表し、2011年度から、沖合漁業(大中型まき網漁業)、沿岸漁業(曳き縄釣り漁業等)、養殖業について、それぞれ未成魚の漁獲削減や漁獲・利用実績の把握のための措置を導入した。

大手水産会社によるクロマグロの養殖が話題となっているが、ここで養殖される種苗にも天然の未成魚が使われている。養殖そのものが、資源枯渇に悪影響を与えかねないため、水産庁では、2013年9月に予定されていた漁業権の一斉切替えに向け、2012年6月に各都道府県知事に対して、漁業権の切替え時におけるクロマグロ養殖業の新規漁場設定に慎重に対処することを求める技術的助言を発している。

未成魚の漁獲の増加につながる養殖用生簀 (いけす)の拡大をこれ以上行わないようにしようということだろう。水産庁の下部機関ともいえる(独)水産総合研究センターをはじめとする研究機関では、クロマグロ人工種苗の安定供給や育種を図るため、自然条件に左右されない計画的な採卵技術の開発が課題となっている。

同センターでは、2012年度から長崎県に陸上大型水槽を設け、2013年6月から飼育試験を開始している。2014年5月のニュースリースによれば、この陸上大型水槽でクロマグロの産卵と受精卵の確保に成功したとしている。


養殖も量から質へと転換へ

太平洋クロマグロの資源管理に関心が集まる中、マグロ養殖業の高品質化に向けた取り組みも始まっている。

長崎県では、県内のクロマグロ養殖業者および関係漁業協同組合などで構成する協議会が2013年1月に「旨い本マグロまつり」を開催した。このイベントでは、マグロ専門家による品評会や創作料理の紹介が行われ、養殖クロマグロの品質向上をアピールした。

大学では近畿大学水産研究所の「近大マグロ」が話題となっている。同水産研究所が東京に開店した近畿大学水産研究所銀座店では、「近大マグロ」をはじめ近畿大学選抜の鮮魚が人気を呼んでいる。銀座店のWEBを見ると、11月末ですでに12月末までの予約が満席となっている。

水産庁によれば、太平洋クロマグロの産卵場はわが国の周辺水域である、①南西諸島から台湾東方沖の海域と②日本海南西部の2か所にあると推定している。漁獲と消費の両面からクロマグロの恩恵に浴するわが国は、太平洋クロマグロ資源の保存管理にさらに大きな貢献を果たさなければならないだろう。

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