企業とNGO/NPO

被災地の商品を首都圏で購入!!

NPOが運営する「みちのく社中」が川口市に常設店舗をオープン

岩手県遠野市を拠点に被災地支援を続けてきたNPO法人遠野まごころネット。このほど復興応援ショップ「みちのく社中」を川口市にオープンした。被災地の商品を首都圏で販売し、被災地の産業再生に活かしたいと、「みちのく社中」を運営する柳澤亮さんが意気込みを語った。

[2017年7月17日公開記事]

川口銀座商店街の店舗前で(右が柳澤亮さん)

川口銀座商店街の店舗前で(右が柳澤亮さん)

被災地の産業を応援しよう

Q 震災から6年を経て、復興応援ショップ「みちのく社中」が川口市にオープンしました。まず、経緯からお聞かせください。

柳澤: 2017年2月に全国商工会連合会から「共同販売拠点(アンテナショップ)による地域産品等の販路開拓支援事業」の採択をいただきました。川口銀座商店街振興組合=通称「樹モール」様から商店街の情報館「燦プラザ」で被災地の商品を販売してみないかとお誘いをいただき、申請したものです。

川口銀座商店街の有志の皆さんは、東日本大震災の被災地にボランティアで参加するなど熱心な方々ですが、私たちも2013年頃から被災地支援物資の販売会の紹介などでお世話になっていました。被災当時、石巻の高校生写真家で、その後プロになった青年がいるのですが、その人の写真展も隣の「燦ギャラリー」で開催いただきました。

店舗のオープンは今年2017年の大型連休前でしたが、まずは1年間という目標を掲げて頑張っているところです。

商品開発の苦労話なども語る柳澤亮さん。NPO法人遠野まごころネットの理事でもある。

商品開発の苦労話なども語る柳澤亮さん。
NPO法人遠野まごころネットの理事でもある。


Q  NPO法人遠野まごころネットは、 どのような活動を続けてきた団体でしょうか。

柳澤: NPO法人遠野まごころネットは、東日本大震災直後から岩手県遠野市を拠点に沿岸被災地の支援を行ってきました。

遠野市は、岩手県の内陸部に位置し、大槌・釜石・大船渡・陸前高田など三陸沿岸被災地に向けた全国からのボランティアや支援物資の受入れ窓口となりました。

緊急支援が必要となった震災直後は、がれき撤去や炊き出しなどに加えて、被災者のメンタルケアや生活支援など個人サポートにも力を尽くしました。

復旧から復興のステージに移り、2013年以降は地域コミュニティーの再生と産業の再生に力を入れています。この間、被災地の復興によって生まれた商品などの販売を企業の社会貢献窓口の方にご協力いただき、企業マルシェ「東北復興市」という形で月平均3回程度開催してきました。

熱心な企業様では毎年のように企業内マルシェが。写真は双日株式会社様で行われた2014年の「東北復興市」の模様。

熱心な企業様では毎年のように企業内マルシェが。
写真は双日株式会社様で行われた2014年の「東北復興市」の模様。

また、この間の取り組みに対する検証サポートも行おうとしています。緊急支援やボランティアのコーディネートのノウハウは、その後発生した熊本や広島の災害支援でも力を発揮しています。

遠野まごころネットでは、2011年末から首都圏と被災地をつなぎ、情報発信することを目的に、東京・神田に事務所を設けていましたが、今回、事務所の機能も川口市に移しました。


Q 「みちのく社中」ではどのような商品が売れ筋となっていますか。

柳澤: アンテナショップを採択していただくにあたって出したコンセプトは、「被災地支援に特化したアンテナショップ」ということでした。本当に被災して困っているお店の商品を首都圏で売ろうということです。

岩手県には良いものがたくさんあるのですが、これまでは「首都圏とのつながりが弱い」「売り方が分からない」「パッケージのデザインがいまいち」といった理由で売れていないものもありました。盛岡市から「絆デザイン魅力創造事業」の支援も受け、パッケージングの工夫を行ったこともあります。

ただ、店舗のスペースも限られています。首都圏の皆さんに「これなら」と自信をもってお勧めできるものにしぼっています。なかには被災地支援にボランティアで参加し、現地の素晴らしい商品に出会ったというボランティアの自薦他薦でもあります。

取り扱っているのは、海産物加工品、農産畜産物加工品、調味料、飲料、手芸品などですが、主な売れ筋には、「田老のかりんとう」、「真崎わかめ」(宮古市田老)、「大槌バジル+のだ塩」(大槌町、釜石市)などですかね。熊本地震の影響を受けた熊本県菊池市の「七城シャーベット」も人気です。

実は7月1日〜2日には川口銀座商店街で「自然ふれあい祭り」が開かれます。カキやホタテの養殖漁業がさかんな岩手県山田町の大沢漁港の漁師さんたちも参加し、自慢のカキやホタテの浜焼きもやります。「みちのく社中」では、津波で流されたお米が奇跡的に実ったと評判の「大槌復興米」からつくったお酒と味噌も販売します。

店舗には人気の商品がズラリ。下は奇跡の「大槌復興米」からつくったお酒と味噌

店舗には人気の商品がズラリ。
下は奇跡の「大槌復興米」からつくったお酒と味噌



奇跡の「大槌復興米」

大槌町安渡(あんど)で津波の被害にあった菊池妙さんが自宅跡地で発見した3株の稲穂から株分けされた。潮をかぶりながら自然に芽吹き、逆境を乗り越えた米として「大槌復興米」と命名され、遠野まごころネットに託され、その後も栽培面積が増えている。2015年3月には、ソーシャルプロダクツ・アワード2015(ソーシャルプロダクツ普及推進協会主催)に選定された。

みちのく社中6


Q 被災地の復興は順調ですか。人々のニーズも変化しつつあるのでしょうね。

柳澤: 被災地では住民の皆さんの生活再建が大きな課題となっています。ただ、人口流失も激しく、震災前に営んでいた商売を維持できるかどうかは地域差も大きく、決して楽観できません。 

2016年初めのある調査によれば、仮設商店街を運営していた人たちに、「本設の店舗に移行して営業を続けるか」と聞いたところ、「やる」と答えた人は3割に過ぎませんでした。2割の人は「やめる」と答え、結論を出せずにいる人が5割を占めました。

震災後、岩手県で元の事業を再開したのは6割でしかありません。うち売上規模が元に戻っているのはその半分しかありません。全体でいうと震災前の売上げの3割程度しか戻っていないわけです。

地域によっては住民の半数が元のコミュニティーに戻らないと意思表示をしているところもあります。街がなくなっては、商売を始めたところで元の生活を維持できません。首都圏の皆さんの購買による後押しを、被災地の産業復興の起爆剤にできないかと考えています。一度、お気軽に川口に足を運んでください。お待ちしています。


ムジコロジー・スマイル基金の寄付先に選定される

三井ダイレクト損害保険㈱の社会貢献プログラム「ムジコロジー・スマイル基金」の支援先の一つとして3年連続でNPO法人遠野まごころネットが選ばれました。7月13日(木)に関東事務所(みちのく社中)で贈呈式が行われました。岩手県から参加した臼澤良一理事長は「大槌町を例にすると東日本大震災前に約360の事業所が今は約200に減少、そのうち震災前レベルの収益をあげているのは半分以下。被災した沿岸地域では震災から6年以上を経過し、人口も減少するなか、コミュニティづくりと生業(づくり)の両面で私どもへの期待も大きい。ムジコロジー・スマイル基金をはじめ、様々な皆さまとのネットワークと継続的な支援をお力に活動を続けていきます。」と今後への決意を語りました。

三井ダイレクト損保(株)事業部 澤村剛朗ゼネラルマネージャー(左)から寄付金目録の贈呈を受けるNPO法人遠野まごころネット臼澤良一理事長(右)

三井ダイレクト損保(株)事業部 澤村剛朗ゼネラルマネージャー(左)から
寄付金目録の贈呈を受けるNPO法人遠野まごころネット臼澤良一理事長(右)


復興応援ショップ「みちのく社中」/関東事務所。

営業時間:11:00〜19:00
定休日:火曜日
http://tonomagokoro.net/about/michinoku-shachu
〒332-0017埼玉県川口市栄町3-11-22 燦プラザ
電話番号:048-242-3799
FAX番号:048-611-9918
メール:tonomagokoro03@gmail.com
※最寄駅・JR京浜東北線 川口駅からの道順はこちらから
みちのく社中8

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