識者に聞く

アースデイ東京2011「アースデイトークステージ」Part 2:自然エネルギーへの転換は夢物語ではない

未来バンク事業組合 田中優

スマートグリッドで世界をリードする

アメリカなどは、賢い送電網=スマートグリッドへの投資を進めようとしています。マートグリッドの実現には省エネ技術、バッテリー、電気自動車、自然エネルギー、IT技術という5つの技術が必要ですが、この5つで世界をリードしているのが日本です。つまりスマートグリッドを実現したら、日本は超一流のエネルギー資源国になれるのです。

実は日本で一番自給率が低いのがエネルギーです。たった4%しか自給できていません。莫大なお金を払って海外から油や天然ガスやウランを買っています。それに23兆円が掛かっています。エネルギーを自然エネルギーに変えるとこの23兆円が国内にまわることになります。1都道府県で5,000億円です。経済は活性化します。ドイツは二酸化炭素に税金を掛けました。企業は反対しましたが、企業が負担している年金の半額にそれを使うという企業も賛成にまわりました。

年金の対象は正社員ですから、25万人が新たに正社員になりました。また、その税金は自然エネルギーの振興にもまわされ、新たな産業が生まれました。現在、ドイツでは自然エネルギー関連の産業に37万人が雇用されています。最初の25万人と合わせると62万人の正社員の雇用が生まれたことになります。

ドイツは日本の2/3の人口です。これを日本に当てはめると93万人の雇用になります。日本のトヨタグループ全9社の社員数の4倍です。発想を変えればそれだけの雇用を自然エネルギーで新たに作り出せるのです。

※2011年4月24日、「アースデイトークステージ」田中優氏による講演をベースに原稿化しました。文責は当編集部にあります。

田中優氏プロフィール
反原発の立場で活動を続ける文筆家。主な肩書きには、未来バンク事業組合理事長、非営利組織「ap bank」監事。その他、日本国際ボランティアセンター理事、揚水発電問題全国ネットワーク共同代表、自然エネルギー推進市民フォーラム理事、足元から地球温暖化を考える市民ネット理事など。坂本龍一や桜井和寿ら環境問題に取り組む音楽家との交流も多い。福井県立大学非常勤講師、和光大学非常勤講師、大東文化大学非常勤講師。

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