被災地から国・自治体への緊急提案

復興への”土台創り”は地元の技術と雇用で解決する

――塩害・ヘドロ処理物・ガレキの環境改善と地盤沈下への対応

科学技術はエコ(環境)の基本

Q.提案されている技術「アムスRC40とアムスエコプラントシステム工法」は、ある資材を混ぜ合わせるだけで汚染土壌が改善され、そのまま農地等に使用できる技術と伺いました。

今井:このアムスエコプラントシステム工法は、「エコハーモニィ」(商品名)という酸化マグネシウム系資材を使った、日本で初めて酸化マグネシウム系資材分野で特許を取得した技術です。

 「エコハーモニィ」の特徴は、酸化マグネシウムを主原料に、数種類の天然無機鉱物を添加し調合されたもの、つまり資材自体が“安全・無害”であるという点です。

具体的には「エコハーモニィ」と水を、有害物質で汚染された土壌や排水等に混ぜるだけで、土壌や排水等から溶出される種々の有害物質を“固定”し、有害物質が土から水域へ溶け出したり拡がることを抑える(溶出抑制処理)というものです。資材の「エコハーモニィ」の成分中には六価クロムや環境ホルモンが一切含まれず、ブレンドした土壌はそのままの状態で農地に再び使用することができる、画期的な環境技術です。

酸化マグネシウム系資材「エコハーモニィ」

主原料の酸化マグネシウムに,粘土鉱物,貝殻等の炭酸カルシウム(CaCO3),リン酸塩鉱物等を添加した天然無機材料のみを使用。水と一緒に土壌に混ぜることで、汚染土壌や焼却灰中の有害物質を、イオン交換/吸着/分解/結晶化し、環境基準値以下に改良する。

 

Q. 提案のポイントは汚染土を回復させると同時に、地盤沈下も同時に解決することですね。

今井:「エコハーモニィ」を使った場合、汚染土からの有害物質の溶出を抑制し環境基準値以下にしたあとも、汚染土を別な場所に廃棄するのではなくリサイクル資源として活用します。

「エコハーモニィ」と汚染土をブレンドし埋め戻すことで、地盤沈下した土壌を底上げすることも出来ます。土壌汚染と地盤沈下の問題を同時に解決できるわけです。

Q.最近、ニュースで塩害対応として水田に何度も農業用水を出し入れする様子を見ました。

今井:そのやり方は単なる“塩害”ならば良いのですが、多くの農地には津波で海から巻き上げられたヘドロが平均で2~8cmほど覆っています。また、農業用水施設そのものが破損した農業用地も多く、“水で土地を洗う”のも簡単ではないのが現状です。

アムスエコプラントシステム工法の場合、処理用の移動式プラントが開発されており、農業用水施設が破損した場所でも、汚染土を処理することができます。

移動式処理プラント

固化剤散布

 

 

  

 

 

 

 

Q. 残念ながらこの環境技術は必ずしも世間で知られていないようですね。

今井:この「エコハーモニィ」を使ったアムスエコプラントシステム工法は宮城県内の㈱アムスエンジニアリングという中小企業が2005年に特許を取得したもので、もともとはカドミニウム等で汚染された水田の土壌修復・農業用水の水質浄化、いわゆる“公害対策”として開発された技術です。

同年には、東北農政局、東北経済産業局のカドミウム等水田『新連携事業』に認定されていますし、2007年には国土交通省NETIS登録技術に登録されました。さらに2009年度には環境省によって新しい排水処理技術として実証試験対象技術にも選定されています。

このように、技術の先進性と有効性はきちんと評価されています。しかし、開発したアムスエンジニアリング社は首都圏ではなく東北地方の企業で知名度も高くなく、わずか10数名の社員ではPR業務も十分に行うことはできません。

一方で残念ながら過去の事例を見ると国の公共事業は大企業の技術等が採用されがちなのも事実です。しかし冒頭に申し上げたように、今回の震災復興を実現するためには、あらゆる英知と技術を駆使する必要があります。

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