識者に聞く

電気を選べる時代がやってくる<前半>

個人向けグリーン電力証書の普及を進める エナジーグリーンの竹村英明副社長に聞く

固定価格買い取り制度などの活用促進の仕組みづくり

竹村 環境価値という概念に対してお金を払うことで、地球と生活の持続可能性が生まれてきます。どういう方法で可能となるのかということですが、自然エネルギーの発電所にサポートする人が増えることで、自然エネルギーの比重が増え、増えればおのずと安くなり、さらに利用者も増えていきます。

ドイツで始まった固定価格買い取り制度は、自然エネルギーの電気を高値で買い取り、それによって自然エネルギーの普及を促すというものです。価格そのものが適正か適正でないかという考え方でいえば、多分適正ではありません。本来の価格の3倍から4倍の高値で買い取ることによって、思い切り伸ばしてやるということが目的です。

次に供給義務付け制度(RPS)があります。電力会社に自然エネルギーの供給を義務づける方法です。たとえば50%を自然エネルギーにしなさいといえば日本の電力事情は相当変わります。実は日本にもこの制度があるのですが、1.35%という微々たる割合でしか義務づけませんでした。2000年にできて2003年に法律としてスタートしましたが、その時点で北海道電力は1%以上風力発電があったものの、法律では0.87%が義務量だったので、もう風力発電はつくらなくてよいという制度になりました。日本では風力発電をぶっつぶす法律になったわけです。

固定価格買い取り制度は日本でも2012年7月から始まります。賦課金という言葉がありますが、電力会社に買い取らせるときの原資は、皆さんからの電気代です。各家庭でひと月400円くらいの賦課金になると言われています。みんなでお金を払って自然エネルギーを伸ばそうというのが固定価格買い取り制度なので、全国民が負担をすることになります。

ドイツでは電力が自由化されています。自分で自然エネルギーを使いたい人は、風力の会社とか、自然エネルギーをミックスして売る会社などいろいろな選択肢があります。当然、原子力が入っている会社よりも高いわけです。kWhあたりでいうと原子力が入っているところが10円だとしたら、自然エネルギーで発電をしている会社は12円になるかもしれません。年間でいうと5,000円とか10,000円とかの負担増になる可能性があります。当然、賦課金も負担しています。それでもヨーロッパではあえて自然エネルギーの電気を選ぶ人がいて、環境価値に対して二重にお金を払っています。それと同じ仕組みがグリーン電力証書で、日本では電力が自由化されていないので、環境価値の部分だけ自分たちで買おうという制度です。(2回目につづく)

●識者に聞く「電気を選べる時代がやってくる<後半>」

●エナジーグリーン株式会社 竹村英明さん

http://www.energygreen.co.jp/about_us/index.html
学生時代から公害反対運動や反原発活動に取り組む。環境NGOの活動を経て、2004年よりNPO法人環境エネルギー政策研究所に。長野県おひさま進歩エネルギーの事業立ち上げを担う。現在、エナジーグリーン株式会社の取締役副社長として、「グリーン電力証書」の普及をはじめ全国各地の地産地消エネルギーを活用する発電所づくりに取り組む。エネルギーシフトの第一人者の一人として知られる。

メイド・イン・アース/株式会社チーム・オースリーについて

http://www.made-in-earth.co.jp/
オーガニックコットン総合ブランド「メイド・イン・アース」を運営する株式会社チーム・オースリー(代表取締役・前田剛)では、2012年2月より、個人向けグリーン電力証書「えねぱそ」の取り扱いを開始いたしました。「えねぱそ」は、グリーン電力証書発行のパイオニア・エナジーグリーン㈱が発行する、日本初となる個人向けのグリーン電力証書で、インターネット上でシリアル番号を発行し、500kWh単位で購入ができます。

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