「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【第3回】科学技術を学ぼう①

~公式テキストから~「地球環境の現状と科学技術」「環境問題とその側面」「地球環境問題への対策技術」

2.環境問題とその側面

大熊: 私たち人類は、これまで様々な環境問題に直面し、その解決のために多大な努力を行ってきました。この章では、環境問題に対する様々な側面を紹介し、循環型社会へ向かうための手法として科学技術がどのように役立つかについて学びます。

産業革命以降に顕在化した環境問題

18~19世紀にかけての産業革命以降、化石燃料などのエネルギー利用が増大し、大量生産と大量消費の時代となりました。その結果、社会環境問題を引き起こし、各地で公害や環境破壊、水戦争と呼ばれる問題が顕在化してきました。

二酸化炭素やメタン、一酸化炭素などに代表される温室効果ガスの大気中濃度の変化(図-3)を見ても、産業革命以降、急激に上昇しているのが判ります。

図3-温室効果ガスの濃度変化 (気象庁気象研究所「地球温暖化の基礎知識」2007)

1950年代から60年代にかけての高度成長期に、我が国で発生した4大公害と言われる四日市ぜんそく、イタイイタイ病、水俣病、新潟水俣病などは、企業対地域住民という限られた範囲での環境問題でしたが、現在では、人類全体が資源・エネルギーの大量消費、廃棄物や化学物質の大量排出などで、環境に対して強い負荷をかけるようになり、地球規模の環境汚染へと問題が変質してきています。

しかし、私たちは子孫あるいはその先の世代のために豊かな地球環境を守る責務があります。そのため、地球サミットに代表される国際的な取組みや循環型社会の構築を目指して、市民一人ひとりの意識改革や活動が求められています。

地球環境問題解決に向けた国際的枠組み

地球環境問題に対処するための国際的な枠組みとして、国連環境計画(UNEP)や世界気象機構(WMO)などが地球環境の保全と回復に向けた国際協力を推進しています。また、1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットでは気候変動枠組条約(UNFCCC)を採択し、①締約国の責任、②国別事情の勘案、③予防措置の実施、④先進国のガス削減政策の義務化などが課題として提起され、以降の締約国会議では数値目標を設定して京都議定書をはじめ積極的に取り組んでいます。

我が国でもホスト京都議定書の試みとして、2050年までに世界全体のCO2発生量を半減させる「美しい星(Cool Earth50)を宣言し、環境ODAによる開発途上国援助や循環型社会構築に向けた3R運動の推進などを積極的に行っています。

一例として、以下に示す写真は「沼田式雪山センタープロジェクト」で、雪氷の冷熱エネルギーを利用して、食糧貯蔵や冷房に活用するもので、CO2削減効果が期待されています。

図-4 冷熱エネルギーを利用したCO2削減技術

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