「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【第7回】科学技術を学ぼう⑤

~公式テキストから~「国際化」「人材育成人材活用を急ごう」「社会環境への気配り」

第13章 人材育成・人材活用を急ごう

1.求められる2つのタイプの人材育成

持続可能な社会構築のために必要な人材は、「環境配慮型人材」と「環境人材」に分けて考えられます。すなわち、自らのライフスタイルにおいて環境に配慮する人材と、経済社会のグリーン化を担う人材です。

前者にあっては環境教育のあり方が極めて重要な役割を担うため、ベオグラード憲章(1975)では環境教育の目的や共通理念を明確にし、我が国でも「環境教育の意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律](2004)などの関連法規に基づいて、環境配慮型人材の育成に取り組んでいます。

また、後者については2002年の国連総会で決議された「国連持続可能な開発のための教育の10年」を受けて、我が国でも実施計画が策定(2006)され、環境人材の必要性が示されました。すなわち、環境人材に求められているのは縦軸に法学・経済学工学の各分野の専門性と、横軸に環境や持続可能な社会構築に向けた知識と俯瞰力をバランスよく持つT型の人材で、今後も各分野での活躍が期待されています。

出所:環境省HP資料をもとに作成

2.人材育成とその実践事例

環境配慮型人材や環境人材の育成は、学校教育や技術者教育のみならず、市民レベルや団体での参加型教育も重要と考えられます。

昨今、「理科離れ」あるいは「科学技術離れ」(文部科学省)といった言葉が使われますが、環境教育においてはバランスのとれた人材が必要であり、環境教育・科学技術教育や日常生活に結びついた体験学習の重要性が指摘されています。このことは、広い年代層での環境教育が重要であることを意味しており、最近では大学教育でも環境保全や環境共生に関する学科を新設するなど、新しい動きもみられるようになってきました。

循環型社会形成へ提案

また、一般市民や団体などを対象とした「環境体験学習」や「野外授業」なども各所で開催され、多くの市民が参加するなど、地道な活動を通して環境人材の育成を支援しています。

先日、2012年のノーベル賞の医学生理学部門の受賞者が発表され、我が国の山中伸弥氏がiPS細胞の作製で受賞しました。我が国は物理学、化学、医学生理学の基礎科学分野で近年多くの受賞をしていますが、これは基礎科学の学習基盤を長期的・体系的に支援してきた成果であるとも言われています。環境教育においても、自然に触れ、理科や科学技術に興味を持つことからはじめ、長期的な視点で持続可能な社会実現に向けた人材教育を推進することが重要であるといえます。

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