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eco検定を通じて全国に広がる草の根エコユニット [後編]
商工会議所主導の“北海道スタイル”から生まれた「さっぽろエコピープルの会」
さっぽろエコピープルの会



札幌商工会議所 部会・産業部 産業1課 福富 次長(左)
株式会社構研エンジニアリング 大島 紀房 社長(中央)
株式会社構研エンジニアリング 植村取締役 (右)

Q:2009年7月27日に設立された「さっぽろエコピープルの会」ですが、他地域と異なり、札幌商工会議所との連携が特長と伺っています。
福富 東京商工会議所(東商)主催のeco検定に札幌商工会議所(札商)も2007年の第2回検定からいち早く手をあげて参加し、北海道地域の合格者(=エコピープル)は2008年度までに1,050名に達しています。「さっぽろエコピープルの会」設立にあたり、札幌商工会議所から合格者全員にご連絡したところ、最終的には155名の入会申し込みを頂き、7月27日には設立記念講演会を開催、これから本格的な活動をスタートするところです。
当面の活動は(1)交流会の実施 (2)エコリーダーの育成 (3)活動PRを3本柱に、札商内にある事務局で企画をたてることになりますが、いずれは参加者ご自身からの発案で、さまざまな分科会が生まれ、本当の意味で個人の皆さん主導の会に発展していくことを期待しています。

Q:北海道では2008年の洞爺湖サミットがきっかけとなり、商工会議所と企業が一体となった環境活動への取り組みが活発化したそうですね?
福富 2008年の洞爺湖サミットを契機に、地域で地球温暖化ストップを推進しようと、事業所単位でCO2削減に取り組む「札幌商工会議所ECO宣言行動」を2008年6月にスタートしました。お話したようにeco検定は2007年から札商も共催していますが、企業と連携したエコ活動が本格化したのは昨年ですね。

< 大島 当社は札幌市内に本社を置く建設コンサルタント企業ですが、実は「札幌商工会議所ECO宣言行動」に参画するまでeco検定を知りませんでした。早速、若手の技術者や女性職員を巻き込んで受検し、私も含めて30名の社員が合格しました。北海道全体で環境活動に取り組む機運が高まり、私も仙台エコピープル協会の今井会長とも交流し、ぜひ札幌にもエコピープルの会を作るべきだということで、札商さんに音頭をとっていただいて設立に至りました。

植村 「新聞やテレビでの環境関連のニュースが良く分かるようになりました」と言う女性社員もいますし、環境意識の高まりで昼休み時間の消灯やパソコンの電源オフ、残業時の間引き点灯なども全社で徹底し――冷暖房設備を空冷式ヒートポンプエアコンに更新した効果も大きいのですが――電気使用量は2008/2009対比で28.5%減、130万円のコスト削減となりました。


2009年7月27日の「さっぽろエコピープルの会」設立記念講演会
気象キャスター 菅井 貴子氏による記念講演会

Q:大島社長や植村取締役が所属する社団法人日本技術士会では、逆に札幌から全国に活動が広がりつつあるそうですね。
大島 私たちは、日本技術士会北海道支部の役員をやっているものですから、eco検定のスキルアップ研修について日本技術士会と東商が連携して進めてはどうかと声をかけたわけです。

福富 スキルアップ研修は、eco検定を合格したエコピープルがさらに専門的な知識を学ぶために東商が始めた研修です。研修を受けたエコピープルは専門分野ごとにエコリーダーと呼ばれます。現在 “ビジネス”“緑化”“科学技術”の3分野がテーマで、札商でも同様のセミナーを開催しようと準備中です。

植村 スキルアップ研修の中で“科学技術”の分野は日本技術士会が中心となり、全国にある支部が分担してテキストを作成しているところです。「科学技術はエコの基本」をキーワードに、経済と環境を両立させるのが科学技術ということを、一般の方に分かり易く理解いただきたいと思っています。

大島 日本技術士会北海道支部では、「技術士100人をeco検定に合格させよう」と目標をたてました。科学技術の専門家たちが環境に対する意識を持ってエコリーダーとなれば、各地域・各社でさらにエコ活動が広がるものと期待しています。さらに日本技術士会の中でも、九州支部から北海道支部と札商との連携について照会があるなど、発展的な動きが出始めています。

Q:お話を伺い、誰とでも気軽に連携するのが“北海道スタイル”という印象です。
大島 北海道ブロックは良い意味で県などの垣根がなくて大らかです。札商は、21,000社と国内で3番目に会員数が多いのですが、皆で一緒になって北海道を盛り上げようという共通の意識が強いかもしれません。

福富 商工会議所は、各地で独立した組織ですが、「さっぽろエコピープルの会」立ち上げにあたっては東商さんからも地方のフォーローアップ活動を充実するために、ぜひ協力したいと言っていただき、設立記念講演会・交流会にも参加いただきました。今後も連携しながら活動を発展させていきたいですね。

大島 人のつながりを通じてエコ活動の輪(和)が良い形で広がっていくと良いと思いますね。ボランティア的な活動も増えますが、これも社会の構成員としてのCSR(企業の社会的責任)活動の一環。うちも株式会社だから利益をあげることは当たり前だけれども、それだけを追求していたら沈んでしまいます。 みんなで仲良くこの輪(和)を広げれば、楽しくおいしいお酒が飲めます。僕らの会合は終わった後で必ず酒を飲み交わします。これが北海道スタイルですから(笑)。

(2009年9月取材)