NPO法人日本エコツーリズム協会(JES)は、1998年にエコツーリズム推進協議会として発足し、エコツーリズムの広がりとともに2002年に日本エコツーリズム協会と改名しました。エコツーリズムの理念を日本国内に普及し、一人でも多くのエコツーリストを育てるのが目的です。以来、エコツーリズムの普及促進、地域振興を目指した観光の促進、観光による環境と文化への社会的貢献などの役割を担ってきました。
●日本エコツーリズム協会が掲げる「エコツーリズム」とは?
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Q:2007年にエコツーリズム推進法が成立しました。日本国内におけるエコツーリズムの普及は着実に前進しているといえますでしょうか。
エコツーリズム推進法は、議員立法として提案され、与野党一致で成立しました。地域で取り組むエコツーリズムをより適切で効果的に推進するため、進め方や取り組み方、資源の保護担保措置など総合的な枠組みを定めたものです。
その基本理念には、 ①自然環境への配慮 ②観光振興への寄与 ③地域振興への寄与 ④環境教育への活用がうたわれています。
推進法には、自然観光資源は守りながら利用するものとの精神が貫かれ、観光旅行者などの活動によって損なわれる恐れがあり、保護が必要な「特定自然観光資源」には規制もできるようになっています。つまり、エコツーリズムの正しい発展に向けたアクセルとブレーキの役割を果たす法律といえます。
私たちが考えるエコツアーは、①エコツーリズムの考え方に基づいて実践されるツアーの一形態であり、②健全な推進を図るためには旅行者、地域住民、観光業者、研究者、行政の5つの立場の人々の協力がバランス良く保たれることが大切だと思います。 その上で、③環境の保全を図りながら観光資源としての魅力を享受し、地域への関心を深め理解を高めてもらう手段としてのプログラムがつくられるべきであり、地域・自然・文化と旅行者の仲介者(旅の楽しみを伝える能力を持ったガイド)が存在することが望ましい、と考えています。
こう申し上げるとエコツアーというのは、小難しくて参加しにくい旅、価格も高い旅という誤解があるようです。こうしたイメージのせいか、大手旅行社が企画するエコツアーには、集客で苦労されているものもあるようです。
私どもとしては旅行である以上、まずは楽しく、満足のゆくものであることが大切だと考えています。ただし、環境について考える、あるいは配慮する旅行という視点だけは持っていただきたいと思います。
Q:日本エコツーリズム協会としては、エコツーリズムの普及に向けてどのような取り組みを行ってきましたか。
エコツアーの第一線で活躍する方にエコツアーの魅力を語っていただく「JESフォーラム」や、各国の政府観光局や現地の旅行会社の方に海外のエコツアーサイトの紹介をしていただく「エコツーカフェ」の開催のほか、「エコツアーガイド養成講座」などを全国各地で開催し、ガイドの養成に力を入れてきました。2泊3日の養成講座が基本です。さらに各地の実情にそった実践的な内容に踏み込み、プロのガイドを育てるために、2回~3回とブラッシュアップの研修も行っています。
また、私どもには「エコツアーに参加したいがどのツアーが良いのかわからない」といった相談も数多く寄せられます。
エコツーリズムとエコツアーを実施する事業者の信頼性を高めるため、独自のエコツアー推奨制度「グッドエコツアー(GET)」の認証も行っています。
このほか、環境省からの受託事業として年1回の「エコツーリズム大賞」の選定と表彰、ホームページに掲載した「エコツアー総覧」によるお勧めエコツアーやエコな宿泊施設の紹介も行っています。2010年4月からは、Web版のエコツーリズム検定も始めました。