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CSRフラッシュ
日本企業20社も表彰
「ロベコグループ サステナビリティ投資セミナー」開催

2010年6月9日、世界有数の資産運用会社であり、責任投資の分野でも牽引者となっているロベコグループが、東京 六本木ヒルズ(グランドハイアットホテル東京)で「責任投資」をテーマに投資セミナーを開催した。今回のイベントでは、サステナビリティの観点から評価された日本企業20社も表彰された。

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世界的に責任投資への資金流入が加速化

冒頭、ロベコ社東京支店長 エリック・ファンデルマーレル氏によるオープニングスピーチでは、「責任投資(サステナビリテイ投資)は今や資産運用業界全体での“責任と義務”であり、また結果的にも、社会に役立つ投資は---責任投資銘柄がアウトパフォームする(市場平均を上回る業績を示す)傾向があることから----投資家にとっても投資コストを下げることとなり、既に責任投資はロベコ社の資産運用の主流となっている」との認識が示された。

ロベコ社 ポートフォリオマネジメントチーム グローバルテーマ株式 プロダクトスペシャリスト ユルーン・アーフィンク氏によるセミナーでは、「ロべコの責任投資とは国連の責任投資原則に基づくと同時に、ESG(環境、社会、企業統治)、SRI(社会的責任投資)およびサステナビリテイ投資の概念を広くカバーする先進的かつ包括的な概念」であり、「責任投資によるリスク・リターンの改善への期待や社会的な要請から、今後さらに責任投資への資金流入が加速化することが予測される」ことが説明された。

またアーフィンク氏は、ロベコグループが長期的トレンドから運用収益を享受するという観点から責任投資を行うにあたり重視している2009年および2010年の分析テーマを示し、特に“水資源活用”が重要なキーワードであることを指摘した。

●2009年に分析されたテーマ
食料品および飲料セクターにおける水管理
自動車セクターにおける温暖化対策およびエネルギー性能
国連グローバル・コンパクト違反:人権および労働基準
エマージング市場におけるサステナビリティ報告
繊維セクターにおける水管理
●2010年に分析されたテーマ
国連グローバル・コンパクト違反:環境汚染
従業員満足度と健康
生物の多様性保全
国連グローバル・コンパクト違反:贈収賄および汚職


世界的に責任投資への資金流入が加速化

セミナー後半では、ロベコグループ Sustainable Asset Management(SAM)社 Institutional Business Department顧問 ディレクターのティム・クラウス氏から、責任投資の具体的な内容についてプレゼンテーションが行われた。

SAM社はサステナビリティ投資に特化した資産運用会社であり、ダウ・ジョーンズ・インデックスならびにストックス社と提携し、現在、企業の“CSR度をランキングする”指標としても知られるダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)の公表、開発を行っている。

同社は毎年DJSI構成銘柄の時価総額上位2,500社にアンケートを送付し、独自のサステナビリティ情報を蓄積する。そのうえで、「経済的基準、環境的基準、社会的基準」の3点から各企業の取り組みを評価し、適正な株価水準を算出する。SAM社の評価がロベコグループ全体での責任投資における投資判断に組み込まれることとなる。


●SAM社のアセスメントにおける評価項目例

経済的基準 評価ウエイト(%)
コーポレートガバナンス
リスク管理および危機管理
行動規範/コンプライアンス/汚職および贈収賄防止
業種固有の基準
6.0
6.0
6.0
10.0-25.0
環境的基準  
環境活動報告
業種固有の基準
3.0
10.0-25.0
社会的基準  
人材開発
優秀な人材の誘致および保持
労働慣行指標
企業市民活動/フィランソロフィー
社会的報告
業種固有の基準
5.5
5.5
5.0
3.0
3.0
10.0-25.0




ゴールド・クラス企業4社への表彰

今回のイベントでは、SAM社のサステナビリティ評価基準に基づきスコアが高かった日本企業上位20社が表彰され、受賞企業の多くは、今回の受賞を自社のCSR活動への評価と認識し、今回ゴールド・クラスに選出されなかった企業からは「SAM社からの評価を今後の経営テーマと認識し、継続的に取り組みたい」との言葉が相次いだ。


●2010年の国内受賞企業一覧

ゴールド・クラス 4社 (サステナビリティ評価基準でトップ企業は75%以上のスコア、他ゴールド企業はトップから5%以内の乖離)
トヨタ自動車株式会社
パナソニック株式会社
パナソニック電工株式会社
丸紅株式会社
シルバー・クラス 12社 (サステナビリティ評価基準でトップ企業は70%以上のスコア、他シルバー企業はトップから5%以内の乖離)
イオン株式会社
株式会社東芝
株式会社日立製作所
コニカミノルタホールディングス
株式会社 セイコーエプソン
株式会社 大日本印刷株式会社
帝人株式会社
日本電気株式会社
日本郵船株式会社
富士通株式会社
富士電機ホールディングス株式会社
富士フイルムホールディングス株式会社
ブロンズ・クラス 4社 (サステナビリティ評価基準でトップ企業は65%以上のスコア、他ブロンズ企業はトップから5%以内の乖離)
株式会社損害保険ジャパン*
ソニー株式会社
ダイキン工業株式会社
ローム株式会社

* 株式会社損害保険ジャパンは、2010年4月1日からは日本興亜損害保険株式会社との経営統合により、共同持株会社 NKSJホールディングス株式会社を設立。
(2010年6月取材)