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第19回「ブループラネット賞」受賞者が決定
環境問題を具体的な解決に導く、 科学者の役割とは? ![]() |
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![]() [2010 Blue Planet Prize受賞者] ジェームズ・ハンセン博士(米国)
同年、米国上院で「今後、数十年以内に地球温暖化は明白となる」との証言をおこない、温暖化の原因が“人起因の温室効果ガスにある”と唱えた。その後も、科学者としての信念から提言を続け、2009年には米国政府に「人類はこれ以上温暖化対策実行を猶予出来ない段階にある。米国が世界に範を垂れ、率先して世界をリードし、温暖化問題に対処しなければならない」と呼びかけ、地球温暖化防止に向けて “世界が直ちに前例のない国際協調を持って行う必要がある”と述べている。 [2010 Blue Planet Prize受賞者] ロバート・ワトソン博士(英国)
1997年〜2002年にはIPCC(注)議長として第三次報告書をまとめ、“地球温暖化の原因が人為的であり、総合的な対策を必要” とするSPM(Summary for Policy Maker:政策決定者向けのまとめ)の内容を後に当時の米国ブッシュ政権の研究機関が追認するなど、世界の環境政策に大きな影響を与えた。 ワトソン博士はSPMを「政策に関係するが、政策規定的ではない情報の統合とまとめ」(SPMは助言であり、科学者としての立場を逸脱して政策決定者に命令を与えるものではない)と定義している。このように、過去20年間におけるワトソン博士の大きな功績は、様々な研究機関において多数の科学者を指揮し“科学的評価”をまとめ、単なる科学者からの指摘に留まらず、科学と政策決定を連携させた---地球環境問題の解決に向けた具体的な行動に導いた---点にある。 (編集部注) IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)
世界の科学者が地球温暖化に関する科学的な研究の収集等を行う政府間機構。IPCC報告書は、いわば地球環境問題の科学的評価(assessment)に関する世界の科学者の“統一見解(Unite Voice)”とも言うべきもの。現実に全ての科学者が統一的な見解を持つことは不可能だが、一定の結論を示すことで地球環境問題の重要性について喚起し、各国政府に問題解決への具体的行動を促すこととなる。 吉川弘之 選考委員長(東京大学名誉教授)から ![]() 環境問題は「観測(Observation)からAction(行動)へ」科学者の役割が進化する時代にふさわしい2人の受賞者 環境問題は「観測(Observation)からAction(行動)へ」と言われる時代となり、科学者の貢献の仕方もまた進化しつつあります。伝統的に科学者は実証主義であるべきで、予測してはいけなかった。しかし、今の科学者は良い研究に留まらず、千年後の未来を予測し、さらには政策決定者が理解できる言葉に翻訳する、そうした貢献が求められるようになった、時代とともに科学者の役割が拡大しつつあるということだと思います。 (レポートは2010年6月17日記者会見の内容を要約して報告しています。文責はCSRマガジン編集部にあります。)
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