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CSRフラッシュ
いのちの共生を、未来へ
国連地球生きもの会議まであと100日
カウントダウン100フォーラム 全国に向けてスタート
生物多様性条約締約国会議カウントダウン100ほか
2010年10月のCOP10にむけて、全国でさまざまなイベントが開催されています


10月に愛知県名古屋市で開催予定の国連地球生きもの会議(生物多様性条約第10回締約国会議:COP10*/カルタヘナ議定書第5回締約国会議:MOP5*)の開催に向けた「カウントダウン100フォーラム」が7月10日東京・表参道の国連大学でスタートした。
COP10/MOP5には世界193の国と地域が参加し、生物多様性条約の「ポスト2010年目標」と「2010年以降の新戦略計画」が採択される予定。議長国日本としては、この会議に向けた準備を万全なものにするため、今後全国各地でCOP10/MOP5の意義を広め、市民組織の理解と積極的な参加を呼びかける計画だ。

この日、主催者を代表してあいさつに立った生物多様性条約市民ネットワーク(CBD市民ネット)顧問の武者小路公秀さんは「この会議は地球とそこに住む(人間を含む)生き物にとって生死に関わるほど重要な会議だ」「生命とその多様性に対する危機を自覚し、改めるラストチャンスになるだろう」と述べた。

カウントダウン100フォーラムは、国連大学のウ・タント国際会議場で「生物多様性条約と人間のしあわせ〜どこまでいのちを愛せるか?」と題する会議が、エリザベス・ローズ会議場で「ビジネス&生物多様性(B&B)フォーラム」と題する会議がそれぞれ開催され、わが国を代表する生物多様性の研究者やNGO・NPO関係者ら400名が参加した。
本誌は、名古屋の国連地球生きもの会議に向けて生物多様性への理解を広めるため、今後この取り組みに関連する動きをそのつど取り上げていく予定だ。

●生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)とは?
COPは締約国会議の意味。1992年にブラジルで開かれた国連の環境開発会議(地球サミット)以降明らかとなった生物多様性条約の加盟国が2年に一度ずつ集まり、新しい目標などを決める。10回目の今回は日本が議長国となり、2010年以降の新しい目標が決議される。先ごろ、カナダで開かれた準備会合では、食品や医薬品の原料となる動植物、微生物などの利用法を定める「名古屋議定書」の草案づくりを進めたが、先進国と途上国の利害が対立して結論は出ていない。
●カルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)とは?
MOPも締約国会議の意味。遺伝子組換え生物を正しく利用するための国際ルールづくりが行われる。2000年の第1回会議から数えて今回は5回目となる。


あなたもできる生物多様性


5つのアクション


当日の講演者の一人であった矢原徹一さん(九州大学大学院理学研究員教授)が生物多様性条約市民ネットワークとこのほど完成させたのが「生物多様性を守るために、私たちにできること―5ACTIONS」という小冊子だ。当日の同氏の発言と併せて紹介したい。


九州大学 矢原徹一教授


矢原教授が監修した5ACTIONS小冊子

生物多様性とは、生き物たちの豊かな個性とつながりを指します。地球上には3000万種もの生き物が互いに支えあって生きています。人間もそのつながりの一部です。いま、この生物多様性の劣化に歯止めがかからなくなっています。環境汚染や水資源の不足、地球の温暖化に伴う自然災害の増加など生き物の生命に直結するさまざまな問題が起きています。
私たちは生物多様性(生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性)を守るために、なにかできないかと考え、このほど5つのアクションをまとめました。本日は100日前バージョンとして報告します。

1. 食べる

食を通じて生物多様性への理解を深める

旬の食材は、自然本来の季節の移り変わりの中で、その季節にだけ得られる恵みです。自分が住んでいる地域でとれたものを食べれば、その土地ならではの多種多様な食材についての知識が自然に身につきます。
自分の地域で生産された食材を食べるとなれば、輸送や貯蔵によるCO2の発生も減らせ、肥料の使用量を減らすことでさらに環境にもやさしいものとなります。

2. 知る

生き物の名前を覚え、生物多様性に親しむ

つい最近まで、人間(特に子ども)は、自然の中でさまざまな生き物と接しながら過ごしていました。山に登る、動物園・植物園に出かける、近所の公園を散歩するだけでもかまいません。さまざまな自然体験を通じて、地域の特色や生き物の名前を覚えると同時に、その生態を実感することが生物多様性のより深い理解につながります。

3. 育てる

子供たちを自然の中で育てる

子供たちが自然に触れる機会が減っています。自然を体験したり、興味を持ったことを絵や写真、日記などで記録してみましよう。生き物の形や名前を覚えることで生き物への親しみが増し、私たちの周囲には四季折々の生き物が数多くいることが分かるはずです。

4. 参加する

生き物を調べ、守り、育てる活動に参加する

全国各地で行われている生物多様性の観察・調査・保全・再生活動に参加してみましよう。生き物同士のつながりや、人の暮らしと自然のつながり、過去・現在・未来のつながりなど、さまざまな「きずな」が実感できるはずです。

5. 選ぶ

消費者としての選択を通じて世界を変える

「生物多様性に配慮した林業で育まれた木材を扱う会社」や、「水産資源や海洋環境を守って獲られた水産物を扱う会社」など生物多様性の保全に貢献している企業の商品やサービスを選びましょう。私たち消費者がきちんと意思表示をし、生物多様性保全活動に取り組む企業を応援すれば、市場全体の姿勢を変えていくチャンスになります。

生物多様性というのは一見とっつきにくいと思いますが、この5つならそれほど難しい行動ではないと思います。できることから一歩ずつ、取り組んでみてください。

◎カウントダウン100(生物多様性条約締約国会議COP10 プレイベント)はコチラ↓
http://www.cbdnet.jp/


環境ボランティアに参加しませんか

「環境ボランティア見本市」を開催


7月10日国連大学前広場では、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC・ジオック)が主催する第6回「環境ボランティア見本市」が開催された。
地球温暖化、森林破壊など、環境問題が深刻化する中で、「何か行動に移したい」という声は高まっているものの、「どんな活動があるのかわからない」「どこに情報があるのかわからない」などの理由で最初の一歩が踏み出せないとの声が多く聞かれるためだ。

この日開催された「環境ボランティア見本市」では、森林・川や海の保全、ごみ清掃、農業、まちづくり、環境教育など、41の環境保全団体がブース出展を行い、集まったボランティア希望者に各団体のボランティア活動を紹介した。また、初めての参加者には、コンシェルジュが関心のある分野や団体を見つける手伝いも行った。参加者は思い思いに気になるブースを訪ね、業務内容を聞くと同時に、興味を持った団体のボランティア募集シートをもらって熱心に検討を続けていた。
なお、主催者である地球環境パートナーシッププラザによれば、当日は1,000名を超える参加者があり、うち470名がボランティア募集シートなどをもらってボランティア参加の意思表示をしたという。

※地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)は、国連大学と環境省が協働運営する、環境・パートナーシップの拠点です。持続可能な社会の実現のために、社会の課題解決に向けて、個人、NPO団体、企業等、多様な主体の出会いの場をつくっています。

◎地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)はコチラ↓
http://www.geoc.jp/