ISO (International Organization for Standardization: 国際標準化機構) は、スイスに事務局を置くNGOで、世界161ヶ国(2009年7月現在)に提携する認証取得機関を置く世界最大の“世界標準の創り手”(world's largest developer and publisher of International Standards)として、あらゆる産業分野における工業製品、さらには品質管理や環境など管理システムの世界標準規格を策定している。ISOのサイトでは、その存在意義を公と民との橋渡しであり、広く社会が求めるニーズと企業とのコンセンサスをとることにあるとしている。
2009年7月現在、ISOが規格する世界標準の数は17500を超えているが、日本では1990年代後半に品質管理の規格であるISO 9000シリーズ、特にISO 9001(品質システム---設計・開発、製造、据付け及び付帯サービスにおける品質保証モデル)の取得を契機として、多くの日本企業に “ISO”が浸透した。
ISO14000シリーズは環境マネジメント規格であり、企業等の団体が“自らの活動による環境への負荷を最小限のものとし、さらに環境活動を継続的に改善する”ことを求めている。なかでもISO14001---1996年に制定され、その後さらに規定の明確化とISO9001との両立の観点から2004年に改訂された---はISO9001と並ぶ有名なISO規格であり、現在までに“ISO9001とISO14001を標準規格として使用する団体は世界175カ国で100万機関を超えて”いる(ISOサイトより)。
ISO 14000シリーズは、土壌汚染などの環境アセスメント規格であるISO 14015、環境パフォーマンス規格のISO 14030など規格を増やしたが、2006年には環境コミュニケーション規格であるISO 14063が発表された。企業における環境コミュニケーションとは一般的には自社の多様なステークホルダー(利害関係者)に対して自社の環境活動について情報共有を図ることであり、環境報告書またはCSR報告書の発行もその一つである。ISO 14063は認証取得を推進するものではなく、企業がよりスムーズに環境コミュニケーションを図る指針として、6つの項目「範囲(scope)」「用語と定義(terms and definitions)」「原則(principles of environmental communication)」「方針(environmental communication polity)」「戦略(environmental communication polity)」「活動(environmental communication activities)」を掲げている。