« CSRマガジントップへ
Home > 識者に聞く > 調布市環境部ごみ対策課

ごみのリサイクル率で全国3位
調布市に見る“ごみ減量”と“資源化”の取り組み
調布市環境部ごみ対策課の皆さんにお話を伺いました。



Q:環境省によれば、調布市のごみのリサイクル率(平成19年度実績)は45.1%。人口10万人以上50万人未満の全国234自治体の中で第3位という成績です。
調布市は環境省が全国ランキングを発表するようになった平成16年度からリサイクル部門で常にトップ3にランクされています。全国平均が20.3%ですから、45.1%という数字はたいへん重みのあるものだと思います。ちなみに1位は鎌倉市の47.6%、2位は倉敷市の45.4%となっています。 この結果は何と言っても、ごみの分別に協力いただいた調布市民そのものの成果であり、深く感謝をしています。ごみ問題に対する市民の意識はかなり高いと思います。


左から環境部ごみ対策課(クリーンセンター担当)
高野千尋課長、同業務係横田義和係長、同減量対策係上野洋樹係長
近隣の自治体関係者からは、「調布市は何か特別の対策をやっているのか」という質問をひんぱんに受けますが、私たちの中ではこれといった特別の対策を行っているつもりはありません。あえていえば、月2回発行の市報『ちょうふ』などによる、ごみ減量やリサイクルに関するこれまでの地道な啓発活動が実を結んだのではないかと思います。 おかげさまで、リサイクル率では常にトップ3にランキングされてきましたが、市としては、リサイクル率を上げるというよりは、ごみそのものを減らしましょうと訴え続けています。リサイクルを進めるためには多額の費用とエネルギーが必要となります。カン・紙類など家庭から排出される資源物が減って、ごみの全体量が減るのであれば、リサイクル率が落ちたとしても仕方がないと思っています。

Q:ごみの減量や再利用は古くて新しい課題です。ごみの回収、ごみの減量、ごみの資源化で、調布市はどのような取り組みを進めてきましたか。
都市化とともに調布市の人口(10月1日現在で22万人、うち外国人登録は4千人)も増え続けてきました。ごみ対策とごみ処理費用の高騰に頭を悩ませてきたといってよいでしょう。近隣の自治体と共同でごみ焼却施設を建設・運営したり、不燃物等の終末処理を多摩地域全体で行ってきましたが、増え続けるごみの量に追いつかず、限界に近づいていました。残る対策は「ごみの発生抑制」と「分別徹底によるリサイクルの推進」以外にありませんでした。

Q:平成16年にはごみの有料化に踏み出していますね。
いろいろ検討を行った結果、「ごみを減らすには有料化による意識啓発」しかないという結論でした。平成15年9月に条例を改正し、家庭ごみの有料化を平成16年4月から導入することとしました。
これに先んじて、平成16年2月から家庭ごみの戸別収集に切り替えました。それまでやってきた地域ごとの回収ではなく、各戸ごとの回収に変えることで“排出責任の明確化”を図ろうとしたのです。自分の家から出るごみに市民1人ひとりが責任を持つという意識改革のスタートでした。
平成16年4月からの家庭ごみ有料化では「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」を有料の指定収集袋による排出としました。指定袋はS、M、L、LLと4種類のサイズをつくり、大きいほど割高に設定することでごみの減量を促しました。有料化導入にあたっては、市民の理解を得るため、平成15年度だけで市主催の説明会を50回、ごみ懇談会や出前講座を255回、計305回のごみ説明会を開催しました。参加延べ人数は19,650人に及びました。
資源ごみとしてリサイクルできるプラスチック、ビン・カン、古紙・古布、ペットボトルなどについては無料とすることで、分別によるリサイクルを進めました。ちなみに、こうした資源物の専門業者への売却額だけで昨年度は1億6千万円以上になりました。
粗大ごみについては有料とし、受付制で戸別収集を行っています。収集した粗大ごみのうち、まだ使える家具などは修理をして、市民へ販売しています。売上額は280万円と少ないですが、ごみとして出されたものでもまだまだ使えるということを市民に伝えることで、ごみ減量やリサイクルへの啓発効果があると考えています。