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Home > 識者に聞く > 調布市環境部ごみ対策課

(↑) ごみの山から資源ごみを再分類する

(←) 整理した粗大ゴミからは、再利用できるものがいっぱい。

Q:ごみの分別は自治体によって大きな違いが見られます。調布市の分別はきめ細かな印象ですが、市民からの戸惑いの声はなかったのでしょうか。

毎年3月には、「調布市ごみリサイクルカレンダー」を市内全戸に配布します。このカレンダーを見れば曜日単位で回収ごみの種類が分かるようになっています。ただ、単身者や転入したばかりの方々の中には慣れるまでに戸惑いもあるようです。そのため、カレンダーにはイラストを多く採り入れるなど、わかりやすい内容となるよう取り組んでいます。調布市に新しく転入してくる市民、なかには外国から転入してくる市民もいますので、英語・ポルトガル語・中国語・ハングルのパンフレットも準備しています。

毎年全戸に配賦する調布市ごみリサイクルカレンダー(左)と、外国人向けパンフレット(右)

Q:リサイクルカレンダーには剪定した庭木の資源化もうたっていますね。
庭木の剪定後に生まれる枝木はこれまで焼却処分していました。これを作業車を使ってチップ化し、自宅の庭で堆肥やクッション材として活用できるようにしました。チップ化した剪定枝を土と混ぜれば堆肥になりますし、庭にまけば雑草の抑制材としても効果があります。電話による予約制ですが、口コミで着実に広がっています。平成20年度はこのチップ化により調布市全体で約45トンのごみ減量ができました。また、家庭から出る生ごみについても減量化を図るため、「家庭用生ごみ処理機」や「家庭用堆肥化容器」の購入費補助を行っています。

Q:資源の回収を促すため、自治会や子ども会なども回収に協力しているようですね。こうした団体にはどのような奨励策がとられていますか。
20世帯以上の仲間が集まり、調布市に集団回収団体として登録します。その団体が新聞・雑誌・段ボールなどの紙類やカン・ビン、布類、牛乳パックを集めて市に登録している資源物回収業者に引き渡すと、奨励金として1㎏あたり8円の奨励金を交付しています。集団回収に協力した回収業者にも1㎏あたり4円の奨励金を出しています。年間の奨励金は平成20年度で約6,000万円となっています。

Q:こうした努力もあって、調布市では人口が増えているにも関わらず、ごみの量は順調に減り続けているようですね。
可燃ごみ処理施設が老朽化で平成19年3月末から全焼却炉を停止しています。新しいごみ処理施設は平成25年度から稼働する予定です。それまでの間は近隣自治体の支援を受け、他の自治体の処理施設で焼却をお願いしています。この間の処理委託料だけで現在年間10億円程度の費用負担増となっています。調布市の総ごみ処理経費約50億円(20年度決算額)からすれば重い負担です。市民の皆さんにはこうした現状を報告し、ごみの減量化やリサイクル化に一層協力をいただいているわけです。こうした危機意識もプラスに働いたのか、平成19年度と20年度は調布市全体のごみ収集量は有料化以来最少を記録しました。


「ごみ収集量の推移」

Q:事業系のごみの減量対策はいかがでしょうか。
事業所から出る可燃ごみは市で処理していますが、数年前までは年々増加する傾向にありました。当時、事業系のごみと家庭から出るごみを比べると分別がルーズな面が否めませんでした。そのため、市へ運ばれる事業系の可燃ごみについて、拭き取り調査を行い分別の徹底を促しました。また、可燃ごみに紙類等の資源物が多く混入していましたので、資源物回収業者を紹介するなど、事業所独自による資源化を後押ししました。ごみ処理費用の負担増により処理手数料の改正も行いましたが、これら分別などによる資源化推進の結果、平成19年度、20年度と事業系の可燃ごみは大幅に減量されました。 現在でも、ときどき抜き取り調査を行っていますが、可燃ごみの中に紙類などの資源ごみが大量にまぎれ込んでいるケースがまだ少なくありません。まだまだ改善の余地はあろうと考えています。
2009年11月取材