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今さら聞けない
CSRの素朴な疑問


Q5. 生物多様性って何ですか?


生物多様性の定義


2009年12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15「気候変動枠組条約第15回締約国会議」に続いて、2010年10月、愛知県名古屋で開催されるCOP10「生物多様性条約第10回締約会議」まで1年を切った。しかしながら電通による「企業の社会的責任(CSR)に関する意識調査」によれば、“「生物多様性」という用語の認知度は首都圏の20-59歳の男女で16.5% (2009年9月28日 日本経済新聞社より) ”と、同じ環境関連でも気候温暖化などの用語と比較すると、社会的認識はまだ低いようだ。
“生物多様性(Biological Diversity, Biodiversity)”について、環境省ホームページの生物多様性条約本文では、以下のように定義している。


「生物の多様性」とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む。

これだけではどうも良く分からないので、更に見ていくと、生物多様性には大きく3つの種類があるとされている。


地球上のさまざまなカタチの自然の中で環境に適応・進化しつつ多様な生き物が生まれ、互いの生態系を支えあう“自然の仕組み”が創られてきた。長い地球の歴史上で絶滅する品種もあったが、それらに比較して、現代の人間による環境破壊は、あまりにも急激に“自然の仕組み”を変化させつつある。例えば、“地球上の種の絶滅のスピードは、化石記録からの推定値の1,000倍(40,000種/年)にも達して”いるのだ。それが生物多様性の危機と呼ばれるものだ。

  1. 土地開発等による生息環境の破壊や、商業目的の乱獲等による種の減少・絶滅
  2. 里山等の手入れ不足により生息する動植物が絶滅、または異常繁殖・生息
  3. 外来の動植物を持ち込むことで、在来種の生息地域が奪われると同時に、交雑により遺伝子が変化(注)


上記のような人為的な、いわば自然への暴力により、生態系のバランスは急速に崩れている。地球上の生物には国境がなく、人間も地球上の生態系の中で生きることから逃れられない。動植物の生態系を守る生物多様性への取り組みは、すなわち私たち人間の暮らしと生存を守る取り組みにほかならない。もちろん地球温暖化も種の絶滅や生態系の崩壊を促す大きな要因だ。COP15(気候変動)とCOP10(生物多様性)の問題は密接に関連している。

COP10「生物多様性条約第10回締約会議」におけるテーマ 1992年5月、生物多様性の問題に世界全体で取り組むために「生物多様性条約」がつくられ、2008年10月現在、日本を含む190カ国とECが締約している。条約の締約国は基本として2年ごとに各種の国際的な枠組みを策定する会議、COP(Conference of the Parties)を開催し、先進国による開発途上国の取組を支援する資金援助と技術協力の仕組みづくり、各国の協力による生物多様性に関する情報交換や調査研究が取り組みについて話し合われる。
10回目となるCOP10(愛知県名古屋で2010年10月18日から)は、国連が定める「国際生物多様性年」、さらにCOP6(2002年、オランダ・ハーグで開催)で採択された「2010年目標=締約国は現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という節目の年における開催となる。COP10では「2010年目標」の達成状況の検証と新たな目標の策定、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する国際的な枠組みの策定などが議題テーマとして想定されている。 (2009年10月)


環境省「生物多様性」ホームページはコチラ↓

http://www.biodic.go.jp/biodiversity/

COP 10実行委員会ホームページはコチラ↓
http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/index.html

(注) 外来種による生態系への影響をテーマとした取り組みの一つ、積水ハウス「5本の樹」については国内企業最前線記事をご参照ください。