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Home > 国内企業最前線 > (株)本田技術研究所 主席研究員 広瀬真人

「国際福祉機器展」で新しい局面が


Q:一時はプロジェクト中止の危機もあったようですが。

広瀬 基礎研究から5年が経った頃、研究所の担当役員から「これ以上進まないならやめてしまえ」という最後通告がありました。チームの熱意はありましたので、半年だけ猶予をもらいました。そして、「リズム歩行アシスト」が社内の正式プロジェクトとしての継続が認められたほか、「体重支持型歩行アシスト」も正式プロジェクトして発足できました。



Q:初デビューの「国際福祉機器展」での反響は。

広瀬 2007年秋の国際福祉機器展に「リズム歩行アシスト」を参考出展しました。「すぐにもほしい」「母に買ってあげたい」……。私たちの不安をよそに、会場での反響は予想をはるかに上回るものでした。その後、「体重支持型歩行アシスト」も短時間で装着可能なテスト機をつくり上げ、確認実験をできるまでになりました。
有効検証中の体重支持型歩行アシスト 装着時のリズム歩行アシスト

Q:現在は機器の有効性を確認中ですか。

広瀬 「リズム歩行アシスト」は、2008年7月から埼玉県の霞ヶ関南病院のリハビリテーション施設と共同で、「体重支持型歩行アシスト」は当社の埼玉製作所テストラインでそれぞれ有効性を検証しています。この種の機器には安全性を含めたスペック(機械などの構造や性能を表示したもの)の基準がいまだ確立されていません。Hondaという企業は、製品評価については極めて慎重です。絶対的な信頼性に裏打ちされたものでないと世の中に出さないというスタンスです。でも、社会の期待の大きさは全員が実感しています。いつかお役に立つ日が来ることを願ってやみません。
2009年10月取材