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根づくか、日本のカーシェアリング
環境にも家計にもやさしいクルマ活用策を探る
オリックス自動車(株) レンタカー営業本部
カーシェアリング企画部長 高山光正氏に聞く



日本全国の四輪自動車台数は2009年10月末で7,557万台。うちマイカーだけで5,781万台といわれる。この狭い国土に果たしてこれだけのマイカーが必要なのだろうか。クルマが快適に走るために擁する道路整備費用、交通事故対策、渋滞対策はもちろんのこと、CO2排出によってもたらされる環境破壊を考えると、このあたりで一考の余地はありそうだ。わが国のカーシェアリングビジネスのけん引役であるオリックス自動車の高山光正さんにこれからのクルマ活用策について聞いてみた。


カーシェアリングは公共交通の一部


Q:わが国でもカーシェアリングに参入する企業が増えてきました。カーシェアリングが産業として有望視される社会的な背景からお聞かせください。
高山 カーシェアリング事業を行っている企業数は、現在26社ほどだといわれています。カーシェアリングそのものは、1987年にスイスで生まれた仕組みで、町の中で自由に乗り降りできる“クルマを使った交通システム”というような考え方が基本にあります。そして、もう1つはクルマを共同保有することで、クルマの所有に掛かる購入費・駐車代・保険・税金などの費用をセーブしようというものでした。最近では、こうした費用のセーブもさることながら、CO2の排出量削減にも有効だということがわかり、俄然注目を集めています。

Q:高山さんがカーシェアリングと出会われた時代に比べれば隔世の感があると思います。当時の印象はどのようなものでしたか。
高山 わが国でカーシェアリング事業の実験が行われたのは電気自動車の第二次ブームが起こった1999年のこと。経済産業省が将来を見越して、電気自動車を使った共同利用実験を横浜市で開始したのが始まりです。その後、オリックス(株)やオリックス・レンタカー(株)(現オリックス自動車)など7社がCEVシェアリング(株)を設立し、事業の成立性を見極めるとともに普及啓蒙活動を進めました。それから5年ほど経って、市場のニーズが高まってきたためオリックス自動車(株)が事業統合を図りました。

カーシェアリングは、公共交通という基本を忘れては成立しない事業です。また、自動車の購入や駐車場所の確保などインフラ先行型のビジネスですから先行投資にかなりの資金が必要です。決して甘くない事業というのが、当時もいまも変わらぬ見方です。


移動コストを認識させるカーシェアリング


Q:カーシェアリングの仕組みをオリックス自動車が手がける事業モデルと併せてご紹介ください。
高山 クルマの貸し渡し事業ということで、わが国ではレンタカーと同様の事業認可となっています。レンタカーが不特定多数のお客様に数時間または1日単位で貸し出すのに対し、当社のカーシェアリングは会員制で、30分以上15分単位でクルマを貸し出します。レンタカーのように営業所が開いていないと借りられない、あるいはクルマを戻せないということもありません。

予約はパソコンやケータイ、または電話で行い、近隣の駐車場に停めてあるクルマを会員各自のICカードを使って開け、使用します。支払いは月額の基本料金に加え、乗った分の費用(15分190円〜、1km14円〜)がクレジットカードから引き落とされます。レンタカーのようなガソリンの満タン返しの手間もありません。つまり「乗りたいときに、乗りたい分だけ!」がうたい文句です。

オリックス自動車では、日常の足として使う近場はカーシェアリングで、家族との遠出などはレンタカーでと、使い分けをお勧めしています。2009年9月現在で、首都圏に185拠点245台、名古屋圏に36拠点48台、京都圏に27拠点37台を保有し、順次拡大を進めています。会員数はこの1年でほぼ倍増し、約6,500人となっています。