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Q:普及が期待されているにもかかわらず、手間取っている印象があります。普及を阻む要因をどのようにとらえていますか。
高山 カーシェアリングの知名度は確実に高まっています。ただ、その中身となるとまだまだ知られていません。1台のクルマを複数人で使うという考え方が先行していて、使いたいときに使えないのではないかという誤解があるようです。お客様の声を聞くと「便利だ。なんの不自由も感じていない」という感想をよく聞くのですが、友人たちに勧めるといざ自分が借りたいときに借りられないと思うのか、なかなか紹介いただけません(笑)。

実際の運用では、たくさんのクルマを、多数の人たちでシェアするわけですから、どのクルマでも使えます。「乗りたいときに、乗れなかった!」という声はゼロではないと思いますが、時間を変更したり、近くの別のクルマをお使いいただいています。また、事業を拡大していくにはお客様が便利に使えるよう、拠点となる駐車場をいかに拡大していくかという課題は残っています。駐車場のオーナー様の中には、複数の人が駐車場に出入りするとトラブルが発生するのではといった心配もあるようですが、そのようなトラブルも全く起こっていません。

Q:カーシェアリングには個人向けと法人向けがありますが、営業的にはどのようなところに力を向けられていますか。
高山 個人と法人の割合は8:2となっています。このような経済環境の中、最近では自家用車を手放し、カーシェアリングに切り替える個人のお客様が増えています。土日にしか乗らないドライバーであれば、カーシェアリングにするだけで月額5万円程度の出費が抑えられるからです。クルマは持つものではなく、使うものという割り切りは今後もさらに進むはずです。

ただ、企業などの法人の場合、営業車の保有にそこまでの割り切りが進んでいないのも事実です。今後は企業においても経費の削減やCO2排出量の削減が厳しくなります。当社の場合、法人の需要を拡大するため、山の手線全駅周辺に拠点を設置するなど力を入れてきましたが、最近では東京・町田、神奈川・相模大野、千葉・柏などの郊外駅近くに拠点を置いてほしいという声が寄せられ、設置しています。会社から郊外の最寄り駅までは電車を使い、そこからカーシェアリングのクルマで効率的に用件をこなそうという動きです。当社の調査によれば、カーシェアリングによって移動コストが認識できるようになったという声があります。それだけ無駄なクルマの利用が抑制されるというわけです。


上手に乗ってもっとエコ!


Q:カーシェアリングには、経費削減のほかに自動車によるCO2排出量の抑制という期待も高まっています。世界的な動きはいかがでしょうか。
高山 カーシェアリングの発祥の地・スイスでは、750万人の国民の1%超、約86,600人(2009年5月)が世界で一番古いMobility社の会員になっています。この10年ほどで会員数はほぼ倍増しましたが、クルマの数はほぼ横ばいの2,200台前後となっています。スイスは世界有数の観光立国ですが、環境にも配慮を行っているといってよいでしょう。ドイツや欧州各国でもカーシェアリングを普及させようという動きが進んでいます。

アメリカでも90年代半ばに都市部でカーシェアリングが誕生しました。アメリカ最大のZipcar社の例ですが、ボストンでは300〜400m間隔で拠点を設けています。この会社の会員数は30万人、クルマの台数は6,000台(2009年6月)といわれています。また、これまで自転車などで環境政策を進めてきたパリ市でも電気自動車2,000台によるカーシェアリング導入計画が始まろうとしています。

Q:電気自動車をカーシェアリングに投入する企業も登場しています。今後、カーシェアリングはどのような方向に活路を見出そうとしていますか。
高山 カーシェアリングはもともと近距離のクルマ利用を基本にしています。大型車よりも小型車、ガソリン車よりも電気自動車が向いている仕組みです。電気自動車になれば、駐車場での充電設備は欠かせないものとなるでしょう。

当社では、お客様の利便性を高めることがカーシェアリング普及のカギであるとの認識のもと、東京のお客様が京都に行っても使えるとか、名古屋のお客様が東京に来ても使えるというように活用方法の広がりを探っています。お客様が気軽にクルマを使えるようになれば、カーシェアリングの利用は増え、利用に対する誤解も少なくなるでしょう。

またカーシェアリングが増えれば、クルマの無駄な利用も減り、渋滞などの解消策としても有効であると思います。今後はマンションへの付帯設備、リゾート施設での付加サービスとしても展開が期待されています。なお、オリックス自動車では四半期ごとの給油量に基づき、CO2の排出量に相当する排出枠を調達し、カーボンオフセットを実施しています。

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