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“9月20日は敬老の日”特集 NTTドコモ「らくらくホン」開発担当者に聞く
「らくらくホン」がめざす
もっと使いやすい携帯電話への挑戦
株式会社NTTドコモプロダクト部
第二商品企画担当主査 加賀谷 穂、第二商品企画担当 有満 妃登美



いまや生活に欠かせないアイテムとなった携帯電話。 実用化の先鞭をつけたのは日本のNTTでした。それから30年。 携帯電話は高機能化にひた走る一方で、だれもが使いやすい機器としての進化も求められています。1999年にNTTドコモが開発した「らくらくホン」。 使いやすい携帯電話の代表機種としてシニア層を中心に大きな支持を集めています。「らくらくホン」の開発に携わるNTTドコモの開発担当者にうかがいました。



ついに1,780万台を突破

Q:「らくらくホン」が発売されてから11年目。販売台数はどれくらいになりましたか。
加賀谷: 2010年6月末までの累計で1,780万台、今回の機種で17機種目となっています。2009年3月末が1,500万台ですから、この1年3カ月で280万台の伸びとなりました。
「らくらくホン」シリーズを出し始めたのは1999年10月ですが、1機種目・2機種目はなかなか思うように伸びませんでした。「どなたにでも使いやすい携帯電話を」という基本は間違っていなかったと思います。辛抱強く出し続けてきた結果ですが、最初のころの苦労があるだけにうれしい数字だといえます。


株式会社NTTドコモプロダクト部
第二商品企画担当主査 加賀谷 穂(左)
第二商品企画担当 有満 妃登美(右)


有満: 初代の「らくらくホン」は、当時の経営トップが、当時進んでいた高機能化の方向性に対して、「すべてのお客様が高機能化を望んでいるわけではない、シンプルなものを望んでいるお客様もいるはずだ」ということで開発を始めたと聞いています。
シニア層などターゲットを明確にするよりは、より簡単により身近に携帯電話を使っていただこうという発想でした。


Q:最近の携帯電話はどんどん進化しており、初めて携帯電話を持とうとするシニア層にはハードルが高くなっているかもしれませんね。
有満: 「らくらくホン」は基本機能を重視しています。たとえば、「らくらくホン7」で搭載した「スーパーはっきりボイス3」という機能は、電話中に人ごみでの騒音を感知すると音域ごとに相手の声を強調して、相手の声が聞き取りにくい人ごみでも、よりはっきり聞き取れるようにしています。上司から聞いた話ですが、F1レーシングカーのドライバーたちも使っているそうです。

また、相手の話す速度を落としてゆっくり聞こえるようにする「ゆっくりボイス」もあります。画面上での文字・数字や配色にはユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、視覚などにハンディのある方でも見やすい文字・数字のフォントや配色の配慮をしています。

携帯電話でメールをしたいという方の中には、キー操作による文字や数字の入力が大変という声もあります。別途契約が必要ですが、声でメールを作成できる「音声入力メール」に対応し、マイクに向かって話すだけで、メールの題名、本文が入力できます。


Q:発売以来、改良・改善を続けてきたと思われます。いくつか大きな山もあったのではありませんか。

有満: 「らくらくホン」はメインターゲットであるお客様を考え、UI(ユーザーインターフェース:情報機器としての操作感)をできるだけ分かりやすくシンプルにする必要があり、かつ変わらないUIを大切にしている携帯電話です。
初代「らくらくホン」は外形がストレート形状でした。普通の携帯電話は2つ折りの折りたたみ式が主流になっていく中で、お客様からは折りたたみ式を使いたいという強い要望があり、3台目の機種から、折りたたみ式になりました。

また音声読み上げ対応になって、視覚に障害のある方にも使っていただけるようになり、幅広い方々にご利用いただけるようになりました。

その後、お客様の要望の多様化に伴って、さまざまな方のご要望に応えるため、4つのラインナップを用意しました。

まず、最新機能やサービスに対応した「らくらくホンプレミアム」。この機種はおサイフケータイにも対応していて、他の機種と比べても全く見劣りしません。
次は、普及機能を提供し、「使いやすさ」「あんしん」などユニバーサルデザインを積極的に推進する主力モデルである「らくらくホンスタンダード」。
それから通話やメールなどのケータイの基本機能をさらに使いやすく配慮した「らくらくホンベーシック」。最初に持っていただく端末を意識しています。
最後は、機能を通話のみに絞った「らくらくホンシンプル」。
4つのラインナップをつくったのは大きな転換期でした。


Q:いまは3つのラインナップですよね。4つが生き残れなかった理由は。
有満:4つのラインナップが必要なのかという議論がありました。
いまの時点でいうと、「らくらくホンスタンダード」という主力モデル自体がわりと高機能化してきたこと、さらにおサイフケータイ、ワンセグなどの機能が一般的な機能になってきたため、最新機能すべてに対応し、機能に特化した「らくらくホンプレミアム」を個別に設けなくても、「らくらくホンスタンダード」でカバーできるのではと考えました。

この夏に発売した「らくらくホン7」は、これまでの基本コンセプトであった「しんせつ」「かんたん」「見やすい」「あんしん」という4つに、「楽しむ」という要素を取り入れ、メールがさらに楽しくなるデコメ絵文字や、メールの文書にあわせて簡単にデコメールがつくられるおまかせ絵文字に対応したり、お客様の生活をサポートするサービス「iコンシェル」に対応して、携帯電話を用いた生活をさらに楽しんでいただけるようにしました。



※通信速度は、送受信時の技術規格上の最大値であり、実際の通信速度を示すものではありません。ベストエフォート方式による提供となり、実際の通信速度は、通信環境やネットワークの混雑状況に応じて変化します。 FOMAハイスピードエリア内であっても、場所によっては送受信ともに最大384Kbpsの通信となる場合があります。