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海外企業最前線
インターフェイス フロアのミッション・ゼロへの挑戦とは?



あなたはカーペットというと何を連想するだろうか?一般にはナイロンを原料とするカーペットと環境イメージは結びつきにくいかもしれない。しかしインターフェイス フロア (InterfaceFLOR)は、世界No.1タイルカーペット企業であると同時に、サステイナビリティへの取り組みで名だたる全米企業を牽引する存在として知られている。同社が挑戦するミッション・ゼロ(環境負荷をゼロとする取り組み)について、インターフェイス フロア アジア・シニアバイスプレジデント ジム・マッカラム(Jim McCallum)氏 に話を伺った。

1冊の本に触発された環境問題への気づき


Q:貴社はグローバルスキャン(GlobalScan)のサステイナビリティ(持続可能性)ランキングNo.1(2006年)に選ばれるなど、米国内でグリーンリーダーとして認識されています。環境への取り組みを始めたきっかけは?

インターフェイス フロア
アジア・シニアバイスプレジデント
ジム・マッカラム氏

マッカラム:インターフェイス フロア(本社: 米国ジョージア州ラグランジ)は、1973年にタイルカーペットの製造会社として創業しました。しかしながら、創業から20年間は決して環境への取り組みに突出していたわけではない―――もちろん関連する法規制をきちんと遵守する会社でしたが―――いわゆる普通の製造企業でしかなかったのです。
しかし、ある時、1冊の本「The Ecology of Commerce」 (Paul Hawken著)が創業者であり現在も当社CEOであるレイ・アンダーソン(Ray Anderson)に大きなインパクトを与えました。
その時点では多くの産業界トップが “資源(materials)は無限(unlimited)”と信じ、いわば“地球はどんなに毒性があるゴミでも無限に捨てることができる巨大なシンク(流し台)”と考えていたのです。そのことが、いかに無邪気で無知な考え方であるか、瞬間的に悟ったアンダーソン会長はサステイナビリティへの取り組みを社内でスタートさせたのです。
今から15年以上前、1994年のことでした。


インターフェイス フロアCEO
レイ・アンダーソン著
「パワー・オブ・ワン」(海象社)


持続可能性の追求による事業拡大とともに、日本語版には英語版原著発行後に生じた新たな苦難と復活への道のりを記した最終章が付け加えられている。

Q:ミッション・ゼロは政府主導ではなく、貴社独自の発想だったのですか?
マッカラム:アンダーソン会長は、サステイナビリティに向けた変革が必須だと気づくと同時に、別のことも理解していました。政府主導では変革できないということです。政府の環境規制は少なすぎるし遅すぎる、誰かが牽引者となって製造業のビジネスモデルを変革する、他社が追随できるモデルを実証し、産業界を変革したいと考えたのです。
具体的には、企業活動を通じた環境へのネガティブな影響をゼロにするミッション・ゼロを2020年までに達成する目標を当社は打ち出しました。

ミッション・ゼロを2020年までに実現するために
インターフェイスフロア社の7つのチャレンジ
1.廃棄物の排除/Eliminate Waste
2.環境中に有害な廃棄物を出さない/Eliminate harmful emissions
3.再生可能なエネルギー源を使用する/Use only renewable energy
4.バージン素材への依存度を削減し、リサイクリングの構築/ Create closed loop processes
5.輸送に伴うエネルギー消費を最小にする/Resource efficient transportation
6.サステイナビリティの原則が、日常業務に反映される企業文化の創造
  / Integrate sustainability into the culture
7.持続可能なビジネスを開発し、新たなビジネスモデルを構築する
  / Pioneer new business models for sustainability

Q:取り組みをスタートしてすぐに、環境負荷を測定する独自のエコメトリクス(EcoMetrics 環境測定基準)を開発したそうですね。
マッカラム:インターフェイス フロアの環境への取り組みは(社会貢献ではなく)最初からカーペットを製造する本業での取り組みです。環境への負荷を測定することができなければ管理することはできません。そこでエコメトリクスという測定手法を開発しました。実績として1994年対比で現在まで、水の使用量を80%削減、地上への廃棄物を80%削減、エネルギー消費量43%を削減(再生可能エネルギーへの転換を進めているため、化石燃料エネルギーだけの消費量では60%の削減)を実現しています。

全体では、1994年から16年間で、2010年現在、ミッション・ゼロに向けて約60%まで達成したところです。

取り組み事例 1
「クール・カーペット」プログラム
製造・販売するカーペットについて、全ライフサイクルで排出するCO分を自社努力とカーボンオフセットプロジェクトへのクレジット購入で削減する。2009年実績ではクールカーペット2,320万平方メートルを発売し、38.6万トンのCOをオフセットした。
クール・カーペットのライフ・サイクル評価(LCA:Life Cycle Assessment )
原材料採取時の温室効果ガスも100%オフセット!
モジュラーカーペットは全ライフサイクル「原料採取〜製造〜流通〜使用〜リサイクル・廃棄に至る全ての段階」で、1平方メートル当たり平均15.8kgの温室効果ガスを排出する。そのうち71%が原料採取段階での排出だ。他社はライフサイクル評価に原料採取段階を含まないため、全ライフサイクルベースでは30%程度のオフセットが一般的だが、インターフェイス フロアのクールカーペットプログラムでは100%のオフセットを実現している。