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Q:世界的な金融不安をきっかけに日本経済も再び厳しい状況にあります。日本人はピンチをチャンスに変えてワーク・ライフ・バランスを実現する方向に向かえるでしょうか?
中間 変わると思いたいですね。スウェーデンやオランダのワーク・ライフ・バランスも、決して余裕の中から理想的な姿をデザインして始まったわけではありません。危機的な状況の中から、それを1つの好機ととらえて、突破口にしたわけです。ワーク・ライフ・バランスの導入は、不幸のサイクルではなく、幸せのサイクルを回し始めるきっかけと考えていくべきだと思っています。

鷲尾 日本では景気が悪くなってワークシェリングが急浮上しているわけですが、その結果、ワーク・ライフ・バランスが子育てする人だけでなく、働く人すべて のためのシステムだという認識が浸透しつつあるのも事実です。私たちの調査でも、最近の大学生の価値観は確実に多様化しています。がむしゃらに働いて昇進 することがすべてではなくて、マイペースな生き方を望む人もいれば独立して事業家になるのが夢という人もいます。今の若者は夢がないといわれますが、実は 社会の現実をよく見て、自分なりの幸せな生き方を模索しているように思います。そうした世代こそ、ワーク・ライフ・バランスという価値観を社会に根づかせ る中心になるような気がしています。


ヒューマンルネッサンス研究所(HRI)
電機メーカーのオムロングループの未来社会・生活研究所。「自律社会」という未来社会コンセプトをもとに、生活者視点から未来を描き、社会生活と技術の関係や、地域社会、企業経営のこれからを国内外の調査を通じて展望する。 子どもの学びをテーマとした研究誌『てら子屋』、生活価値観や未来観に関する『HRIリサーチレポート』、『市民のための遺伝子問題入門』(岩波書店)など多数。『男たちのワーク・ライフ・バランス』は、2007年に実施した『10年後の社会と生活』調査で浮かび上がった、子育て世代の男たちの仕事と生活に関する希望や悩みに焦点を当て、より豊かな未来に向けた「働き方」を提言したもの。