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低炭素社会は、当然ながら化石燃料への依存度を縮小せざるをえません。石炭のクリーンコール化技術やCO2回収貯蔵の技術もありますが、実用化には不確定要素もある中で、世界の流れは原子力発電への回帰に向かっているといえます。アメリカが30年ぶりに新規の原子力発電所を建設します。フィンランドやイギリスは、原子力の新規建設に舵を切りました。中国、インド、ロシアはおのおの20基以上の新設を計画しています。
わが国は被爆国であるとの特殊性を持っていますが、足元を見ると世界の原子力プラントメーカーは、東芝(+ウエスチングハウス)、日立(+ゼネラルエレクトリック)、三菱重工(+アレバ)の日本の3社が核になっています。世界の原子力プラント建設は日本企業の双肩に掛かっているといってもよいほどです。おそらく、日本のメーカーが中心になって取り組む原子力プラントのイメージとしては、安全性と効率性を重視した次世代型の軽水炉となるでしょう。原子力といえば、これまでは辺鄙な地方に設置されてきましたが、消費地に近いところで、小型の超安全な原子炉を運用し、安定運用に徹するというのが、低炭素社会実現の近道かもしれません。
原子力というと感情的な議論が先行してきましたが、もう一度冷静な議論を進め、国民的合意をはぐくむべきときだと思います。最後に、かつての原子力反対派と地球環境派の最新のコメントをご紹介しましょう。
「原子力のもたらす脅威など取るに足らないものだ。再生可能エネルギーは聞こえはよいが、今のところ効率が悪く高くつく。将来性はあるものの、非現実的なエネルギーを試している時間は今はない。私は原子力を今使用すべき唯一の特効薬と考えている」(ガイア理論の提唱者 ラブロック博士)
「(反対派は)科学的根拠を持たずに反対を打ち出すばかり。エネルギー問題では、原子力も化石燃料もダメ、水力もダメ。再生エネルギーだけにすべきだという。しかし、簡単な算数ができれば実現が無理なのは明白だ」(グリーンピースの共同創設者 パトリック・ムーア氏)