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シンポジウム
ミレニアム開発目標(MDGs)と報道を考える ![]() |
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お金とメディアの縦割りに風穴を
視聴率は無視できない
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メディアの関心をひきつける情報の工夫を
司会(黒田):NGO側の発信ということで志葉さんいかがでしょうか。 志葉:海外にはケーブルテレビなどでパブリックアクセス枠のある国があります。市民メディアやNGOがつくった番組を一定時間流すという決まりがあります。日本でもそういうものがあってもよいのではと思っています。この前、国際青年NGOの会議に参加しましたが、本気でテレビがCSRフォーラム2010ということでパブリックアクセス枠を求めようということを言っていました。NGOの中にもこういうことを言い出すグループが出てきたのだなあと思いました。 NGOの方々もどうやったら情報発信できるのか、スキルを磨いてもらったらと思います。最近はユーストリーム(ライブ動画共有サービス)やツイッターなどメディアで活用できそうなものが登場しています。ビデオカメラも高性能かつコンパクトなものが出ています。テレビ局の人でも家庭用のハンディカムをもって取材している人もいます。 司会(黒田):メディアとNGOのおつきあいというのはどの程度あるのでしょうか。 志葉:人によると思います。日本の場合、最近になってNGOがメディアを重視するようになりました。洞爺湖サミットのNGOプレスセンターは画期的でした。個人のディレクターや記者とNGOが取材を通じて仲良くなっていくというケースも見られました。それが一番確実ともいえます。いままでは興味をもって近づいてくるメディアにNGOも依存していたのかと思っています。メディアの方も記者クラブの中にいるのではなく、NGOに近づく努力をしたらよいと思います。記者クラブの中にNGO枠があってもよいのかもしれません。 司会(黒田):NGO側の発信ということとNGOとメディアとの連携はどこまで可能かという点に移ります。 山崎:番組がどういう風に成立するかということですが、私も日本テレビの報道局にいますが、真ん中にセンターテーブルというのがあって、政治部、経済部、社会部、外報部があり、一日3回ぐらいそのテーブルを挟んで立会いというのがあります。取材先から下ろされたニュースをデスクと言われる人たちがプレゼンテーションをして、番組の編集がラインにのせて、項目立てに反映していきます。そこのシステムが出来上がっていますので、そのラインに乗せられるかどうかなのです。その議論の中に登場しないと切り捨てられる情報ということです。30秒数千万円の電波の価値の中で、頼むよという俗人的なものがどこまで通用するかです。 CDや映画会社などからは毎日のように売込みが来ます。それに比べたらNGOの姿はまだまだ見えません。NGO=報道番組という発想だけでなく、音楽番組と絡めるなど柔らかい発想のアイデアに私たちも期待しています。メディアとコミュニケーションの場をNGOもつくっていって欲しいのです。 井田:私はNGOの手先だと思われています。グリーンピースのことを知っているかというような話は全部私のところに来ます。私自身はNGOにどれほど取材でお世話になったかしれません。実は記者クラブというのは10数人の記者がいて同じ話を聞かされるわけです。NGOと仲良くなって聞く話にはほかでは聞けない面白い話があります。いまNGOといったのは大部分が国際NGOです。きちんとしたファクトを集めて、NGOなりのリサーチをして、違った見方をわれわれの周りに提示して欲しいのです。そのときに自分たちが集めたファクトと主張をきちんと区別することが大切です。ここらへんが曖昧だと「うさんくさいなあ」ということになります。 日本でNGOという存在は非常に難しい立場にあります。社会的な認知の対象になりません。ただ、きちんとした資料を持ってくれば初対面でも会ってくれるメディアはあります。私は人と違うものを書きたいという希望があるのでちゃんと受け止めます。外国のNGOがメディア相手にどのような活動を行っているのか勉強もしてください。 道傳:タイにいたときにタイのNGO、欧米のNGO、日本のNGOの皆さんにお世話になって、いろいろなニュースを日本に向けて報道しました。ただ、NGOの方がファックスで情報を流しても、ニュースセンターには山ほどファックスが届いています。 緑黄色野菜をおいしく調理する
もう1つ言うと、現場でインタビューをする際にはもう少し簡潔なお話しを心がけられてはいかがかと思います。テレビの場合は時間の制限がありますので、問題の根源の話からお話されても放送されません。先ほどのインドの校長先生のように「インドのどこが大国といえましょうか」というようなところからお話していただくと、ええっとなるわけです。
2010年9月
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