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“一人でも多くの人が自宅で最善のケアを受けるために”

2009エイボン女性年度賞 受賞 村松静子さん
在宅看護研究センターLLP(有限責任事業組合)代表
日本在宅看護システム有限会社・看護コンサルタント(株)代表取締役

Q:「在宅ケア」こそが看護の本質との信条の下、“開業ナース”として在宅看護事業のビジネスモデルを築きあげた功績が受賞につながりました。
村松 1983年から看護職として勤務しながらボランティアとして訪問看護を始め、1986年に在宅看護研究センターを設立しました。 当時は、10年早いという意見や「現場を捨てるのか」「看護を売るなんて人道博愛の精神はどこへ行った」という批判もありました。でも、とにかく10年は続けようと。もし、本当に批判されるように悪いことならば10年は続くまいと、でも今年で24年続きました。

Q:特に看護師の教育に力を入れてこられたと伺っています。
村松 在宅ケアを受ける方のために、看護師が、医師と生活の場、あるいはご家族との架け橋となる役割を果たしていけるようにと考えています。例えば、医療では患者さんに病状などをきちんと説明するインフォームドコンセントが重要ですが、実際には医師の言葉が理解できない患者さんもたくさんいらっしゃいます。これからの在宅ケアでは、患者さんやご家族と一緒に医師の説明を看護師が聞き、患者さんがきちんと理解できる、そうした仕組み、そのための充分な看護教育・訓練がますます必要です。

Q:1992年から医療保険による訪問看護ステーションが始動し、2000年には介護保険が導入されましたが、さらに看護と介護の連動が必要とお考えとのことですね。
村松 例えば、体調が良いけれども買い物や洗濯することができない方には、付き添い介護が必要ですよね。でも同じ方が体調を崩したら、普段から連絡を取り合う訪問介護サイドと訪問看護サイドがスッと連動して代わることが出来る。そのように看護と介護が一つの輪を作る、連携ではなく“連動”することが理想だと考えています。現在の制度では、訪問介護ステーションと訪問看護ステーションを一つの部屋の中で分かれて設けないといけないなど、いろいろな規則があり、連動することが難しいのが現状です。

私が起業した当時、そうした仕組みを作るととても高額でした。でも、今は医療保険と介護保険という制度があります。制度自体を目一杯使ってコストも軽減しつつ、今の時代に本当に合った質の良い在宅ケアの仕組みを作る必要があります。私も60歳を超えましたが、今の情勢を組み入れた新しいビジネスモデルを作るために、もう一度、頑張ってみようかと思っています。

Q:パイオニアとして道を切り開き続けるパワーの源は何でしょうか?
村松 もともとネアカで、看護が大好きなんです。後輩からもどうしてそんなに元気でいられるんですかと聞かれるんですが、好きなことをやっていれば元気でいられる、嫌なこともありますが、嫌な事を考えているよりも、先を考えたほうがいいじゃないと。

Q:看護の世界の若い方への応援メッセージをお願いします。
村松 在宅ケアに関心がある看護学生でも卒業する頃には諦めてしまうケースが多いです。若い人には、思ったことはチャンレジしよう、声に出して言おう、と伝えたい。そうすれば、必ず周囲に誰か経験者がいますし、道を拓くきっかけをつかむことができる、自分の状況が変わるよと言いたいですね。
(2009年11月取材)