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社員が自由意思で参加し、自主的に運営を行う
リコー社会貢献クラブ・FreeWill
株式会社リコー CSR室 吾妻まり子室長(社会貢献クラブ・FreeWill事務局長) CSR室 戦略グループ 北條総子さん(社会貢献クラブ・FreeWill事務局)



CSR(企業の社会的責任)の概念が企業に浸透するとともに、独自性のあるユニークなCSR活動も数多く見られるようになった。社会貢献クラブ・FreeWillもその1つ。
リコーグループ3社の社員が自主的に参加し、給与や賞与の端数を原資に、“草の根活動を支援する”を合言葉に比較的小さな規模のNPO法人など数多くの機関を支援する。
1999年の設立から10年を超えたFreeWillの活動について聞いてみた。

FreeWill を生み出したリコーのCSR・社会貢献 基本理念


株式会社リコー CSR室 吾妻まり子室長(社会貢献クラブ・FreeWill事務局長) (左)と CSR室 戦略グループ 北條総子さん(社会貢献クラブ・FreeWill事務局)


Q:リコーの社会貢献活動に向けた基本スタンスからお聞かせいただけませんか。
吾妻: リコーは、創業者である市村清が唱えた「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という「三愛精神」を創業の精神としています。世界の一員としてすべての人を愛し、国と自然を愛し、自分に与えられた使命を愛して仕事に励むことで、持続可能な社会の実現にお役に立てるというものです。リコーのCSRの原点でもあります。

リコーグループは世界各地で事業を展開している企業であり、この「三愛精神」を世界でも共有できる価値観・行動原則としてグローバルな企業活動を進めています。この数年、CSR活動も少しずつ変化していますが、かつてのような利益配分型の社会貢献からさらに一歩踏み込み、ビジネスの成長と持続可能な社会の同時実現を目指し、社会的な課題解決にも貢献したい--- 一言でいえば“攻めのCSR”を目指しています。

Q:日本企業のCSR活動は2000年以降に本格化しましたが、それ以前から“良き企業市民”を目指した社会貢献活動については実績があったと思います。
吾妻: リコーグループの社会貢献は“会社・社員・株主”が三位一体となって行うという基本理念があります。“株主”が含まれる点を意外に思われる方も多いのですが、一例としては1998年の株主総会で「社会貢献積立金制度」というものを承認いただき、設立しています。

この制度は、当期利益から配当金等を差し引いた額の定率(上限あり)を社会貢献に使うことを前提に積み立てるもので、重点分野である「地球環境保全」や「青少年の健全育成」に寄与する活動の原資となっています。 したがって、当然のことながら、積立金を利用する活動は毎年の株主総会での承認をいただいています。
現在まで、「社会貢献積立金制度」によって創業者の名を冠した「市村自然塾」をはじめ、「リコー・サイエンスキャラバン」「森林生態系保全プロジェクト」などの活動が実現しています。



Q:一方、会社と社員のつながりから1999年に社会貢献クラブ・FreeWillが生まれたとのことですが、当初、どのような思いを描いてスタートされた活動でしょうか?

吾妻: 経営トップの意識の中には90年代の初めから「社員の社会貢献意識を醸成したい」という強い思いもありました。“社員が行動を起せば、会社もそれに必要な資金を拠出して社会的な支援を行う”、そうした経営陣からのメッセージとして、社員自身の運営による社会貢献クラブの設立が発案され、呼びかけに応じて自由意思で参加した社員たちによってFreeWill が1999年に立ち上げられました。