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Home > 国内企業最前線 > 株式会社リコー CSR室 吾妻まり子室長・CSR室 戦略グループ 北條総子さん
Q:FreeWillでは使用済みのカードや国内外古切手、書き損じハガキなど収集ボランティアの取り組みも行っていますね。
北條: 2002年から使用済みカードや国内外古切手、書き損じハガキなどの収集受け入れ窓口を始めました。当時、運営委員の一人がボランティアの一環として全社イベントの場で社員に呼びかけたのが始まりです。社内に浸透し、協力する社員が増えてきたため、FreeWillの活動として引き継がれました。

集まった収集物は年に2回(3月と9月)、FreeWillで支援した実績のある団体などに寄贈しています。収集物の整理には毎回社員有志がボランティアで参加してくれます。 これまでの寄贈は金額に換算すると約88万円にのぼります。

Q:10周年を迎えたFreeWillの活動は1企業グループの活動としては大きな実績だと思われますが、社員の皆さんにどのような参加の呼びかけを行ってきたのでしょうか。
吾妻: 発足当初から、まず“社員にFreeWillの存在を知ってもらう”ために、さまざまな機会を通じて、FreeWillの講演会(報告会)を開催し、活動の意義やこれまでの活動の実績などを訴えてきました。

近年“社会貢献”への関心が高い若い世代が多いと感じますが、今年の4月に行われた新入社員研修では、リコーグループのCSR活動の意義をお話しするとともに、「FreeWill 10周年記念ビデオ」を交えてFreeWillの紹介をしたところ、約320名の参加者のうち、なんと137名がその場で加入表明をしてくれました。

FreeWillの加入者数は現在7,000名、グループ3社の社員参加率は約25%。この数字が高いか低いかは社内でも議論があります。また、3社のみならず、もっとグループ内で対象会社を広げるべきという意見もあります。
他のグループ企業の社員から「どうしたら参加できますか?」という質問もよくあるのですが----いずれにしても参加は社員の自由意思ですので、この取り組みに共感したグループ企業から自主的にFreeWillの仕組みに参画したいという輪が広がっていくことを期待しています。 “FreeWill (自由意思)”という基本理念を考えると、我々がどこまで強い働きかけをするべきかについては意見の分かれるところでもあります。

個人的には参加者数をグループ全体の40%くらいにまで増やせないかと思っています。
そのためにも、講演会(報告会)などの取り組みは、遠方となる地方の事業所などではまだまだ弱いため、今後の課題だと考えています。

Q:最後に改めて、リコーグループのCSR活動全体について、これからの新たな課題などがありましたらお聞かせください。
吾妻: 私たちはリコーらしい社会貢献のあり方を探ってきました。本業を生かした問題解決型のCSRに注目が高まる中、当社でも新しい取り組みが始まっています。

2010年度版の『社会的責任経営報告書』では、次のような活動を取り上げています。

リコーグループ社会的責任経営報告書2010 特集
「価値創造のCSR  社会貢献とビジネスの両立を目指して」
http://www.ricoh.co.jp/csr/report/index.html



欧州の現地販社に勤めるアフガニスタン出身の社員が、“戦争で荒廃した母国のために何かしたい、回収された中古のコピー機を寄付すれば、子どもたちに教科書がいきわたるのではないか”と思い立ち、提案したことから、リコーは2003年からカブールの学校に150台の再生複写機を寄贈しました。それだけなら単なる寄付活動ですが、実際に複写機を使っていただくと、継続的に消耗品の調達やメンテナンスが必要になります。その問題を解決するために、2007年には現地の販売会社が正式にリコーの代理店となり、その後、その現地企業はアフターサービスと連動して販売業務も拡大し、従業員も着実に増加しました。
初めは、教育環境を守ろうという思いから出発した活動が、結果的に新たな雇用を創出し、地域の活性化に微力ながら貢献できたのではないかと感じています。

今回ご紹介した事例では、結果的に地域社会・国連機関・NGOなどからの「リコーは素晴らしい会社だ」という評価にもつながり、その地区のリコーのシェアが70%になったという報告も上がっています。これは、リコーグループのこれからの企業活動や社会貢献のあり方を示唆する貴重な報告です。日本のCSRはコンプライアンス(法令遵守)重視というある意味で不幸なスタートを切りましたが、これからは企業としての成長戦略と持続可能な社会の構築という新たな目標に立ち向かわなければならないと考えています。
(2010年7月取材)


○リコーグループ CSR・環境経営はコチラ↓
http://www.ricoh.co.jp/about/csr/index.html

○リコーグループ社会貢献クラブ・FreeWillサイトはコチラ↓
http://www.ricoh.co.jp/kouken/freewill/