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ラグジュアリーブランドが企業として取り組むCSR活動とは何か。
多くの有名ブランドを率いるリシュモンジャパン株式会社のCSRコーディネータ、金井塚 こずえさんに、ヨーロッパ企業の傘下にある日本オフィスとして取り組むCSR活動、および各ブランドごとに行うCSR活動についてお話をお伺いしました。
リシュモンジャパン株式会社 総務部プロジェクト担当
課長代理 金井塚 こずえ


山元:CSR担当のミッションとは何ですか?
金井塚:まず、私がCSRを担当することになって半年ちょっとなんですが、私がマネジメントの業務に非常に近いポジションで日々業務をしていたという経緯から、前任者の業務の見直しと共に私の方に担当を変えるという流れで担当することになりました。基本的には、ほとんどのCSRの コントロールの機能というのは本社が持っていますので、ローカルで何をするかといった場合に、本社からローカルのスタッフに直接情報を配信することはなか なか難しいため、本社とのパイプ役になることがひとつの私の大きなミッションになるかと思います。そして、私がスタッフに向けて本社からの内容を報告する とともに、理想としてはスタッフからも意見をもらうことで、ローカルの活動を吸収できればよいのですが、なかなかその働きかけが難しいというのが現実で す。結果的にスタッフにしてみれば受け身になってしまうのが現状なのですが、少しでも理想に近づくため、私が受け皿となりそれを具現化して本社にもレポー トできるような役割を担えればいいと思っています。

山元:本社の規範は、すべてのローカルオフィスに反映されていますか?
金井塚:反映されていないとは言えないと思います。本社の規準というのは、2005年の3月 に当時の取締役会において採択されたものなのですが、その同じ年に、日本語にしたドキュメントを全スタッフには配布しております。なかなか実際のビジネス と直接の関わりがある内容ではないので、どこまでスタッフがその存在というものを理解して吸収しているかを考えた場合には、少々疑問が残ります。内容とし ましては、倫理規準といったものと、企業の社会的責任のガイドラインというふたつの大きな構成要素からなされておりまして、倫理についてはそこに唱われて いるからそれに従うというよりも、いわゆる一般常識的な範疇で、社会に従事している人間であれば理解のできることを改めて文言に落とした内容がほとんどで す。よって、多分それは日々全スタッフが業務を通して実行していると言ってよいかと思います。一方、社会的責任のガイドラインですが、ドキュメント化した のははいいですが、内容が受け手側にとってわかりやすいものばかりではないんですね。なので、その点を考えた場合には、きっちりと本社の意向というものが ローカルのスタッフに反映されているかと言うと、なかなかその通りにいかない部分もあるかと思います。

山元:リシュモンジャパンならではのCSRルールとはなんでしょうか?
金井塚:今でこそCSRと いう特別な言葉として定義され、着眼してアプローチするというのが一般的になっていますけれども、その社会的責任の中には例えば人事関係の話も含まれてい ます。そういう見方をした場合には、当然人事であれば就業規則がきちんと明文化されております。それは何も日本に限った話ではないかと思いますが、ただ一 方で日本ならではのルールという、つまり法の部分でローカライズされている、と言っていいと思います。

山元:国によっても違いがあると思いますが、ベビーシッター制度導入の経緯について教えてください。
金井塚:人事は人事でしっかりした体系・体制を持っていますので、今回のベビーシッター制度が導入された経緯について、私が関与するところではありませんが、弊社 の事情を鑑みてということと、少子高齢化が進み子供を出産する女性が少ない中で、やはり企業としても女性をサポートするという、女性に限らず家庭をサポー トするといった風潮はかなり強くなってきていると思いますので、その一環の動きであると認識しています。それを考えると多分国の事情が根底にあると言えそ うです。

山元:ブランドごとの活動はありますか?
金井塚:それはある、なしで言ったら、あるとお答えします。ただ、ブランド独自での活動があるということは事実ですが、リシュモン本社の方針は各ブランドヘッド クォーターに報告がいっているため、本社の活動、ルールを尊重しつつ、各ブランドは、自分たちのアクティビティを行っております。

山元:ブランドからは、活動報告がありますか?
金井塚:残念ながら、そのフローはきちんと確立されておらず、もしもそういうことをしたいと頼めば可能だと思うんですが、現時点では報告をマストにはしておりません。一方でこれは私の個人的意見ですが、受け身であってもいけないとも思いますので、私は今自分から各ブランドのCSRに絡むような業務をしている担当者に連絡を取り、何かあったら教えてほしいという地道な活動をしております。そうすることで、コミュニケーションはビジネスにおいて非常に重要ですので、それ以外のCSRに限った話ではないブランドアクティビティまで把握できると考えています。私のようにブランドに属さない者にとってブランドの活動内容を知る機会は必ずしも多くありませんので、それを理解する上でも有効な方法であると自負しています。