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山元:そのためた電気はどうなさるのですか?
金井塚:実際、弊社が使わせていただいている電気料とオフセットされます。当然初期投資は大変ですので、簡単に導入できる会社ばかりではないでしょうし、弊社もそ んなに余裕があってということではなかったのですが。投資額を全て電気料で回収しようというものではないですし、あくまでも自然環境のためにといった切り口で導入を決めたことです。

山元:サプラーヤーについても何らかの基準、ルールをチェクするシートなどはありますか?
金井塚:基準シートはあるのですが、それもローカルで管理しているものではありません。というのは、一般の取引先をどこまで含めるべきかというところにもよると思 うのですが、マニュファクチャを持っているのが本社だけですので、日本でロールアウトされていないのです。なので、本社の方の話をさせていただきますと、 特に前期FY09と言っていますが、2008/2009年 の年度については、取引先に対するコミットメントを強化したいと重要視した年にあたったそうで、サプライヤーに同意してもらうためのシートの配布、回収。 それプラス、ブランドによっては実際に取引先の方々が、我々が準じていただきたいルールに則って業務を行ってくださっているかをオーディットする機関と何 かエンゲージしたという報告を受けています。パフォーマンスをしたというだけでなく、実態調査を通じて基準を設けた裏付けになるかと思います。

山元:時代の流れに沿う必要があり、例えば革製品などでも素材の革についても問われるのでは?
金井塚:革製品についてもガイドライン上で唱ってますので、そこの部分を含めた上での取引先様のアグリーメントが非常に重要になってくると思います。

山元:御社でのCSRの課題は?また個人的な意味でCSRとは?
金井塚:個人レベルに落とし込んだ時の認知度にものすごく差があると思います。ちょっと矛盾するかもしれませんが、別に単語・言葉は何でもいいと思うんです。CSRじゃなくてCR(Corporate Responsibility) になってきたりとか、サステイナビリティの方がもっと表に出たりとか、いろいろあります。要は、別に地球のためとかそこまで仰々しく言わないまでも、「で きることがあったらやってみよう」ということなんだと思います。弊社も業種を考えた場合に、地球環境にものすごく直接的なインパクトのある業種ではないと 思います。でも実際CO2を出しているは事実です。リシュモンは「Right things to do」という言葉をキーワードにしています。できることをやりましょうと。そう考えると、できることっていっぱい眠っているんです。水を流しっぱなしにしないとかそういうことだと思います。誰がそれを啓蒙するのかということにもなるのだと思いますが、幸いにして私はこの会社でCSRを 担当させてもらったということもあって、ボランティアにも参加したり、当然それを通してプライベートにおける日常でも意識が変わるんですよね。ですから、 企業の一員である以上、利益の追求に対する重要性を軽んじるつもりは全くないんですが、そうではない部分、それこそ日常の生活の話です、仕事モード全快で はない個人レベルだからこそ、これまでの生活を見直すことが出来ると思います。日本はロハスの進め方を大きく間違えたと思います。何かファッションのよう な一過性の流行語になってしまった気がします。本当の意味でのロハスというものを個人個人が考えれば、本来そういうものではないはずです。CSRが企業のための言葉だとすれば、ロハスは個人にとってのCSR活動と、そのような解釈もできると思います。

山元:企業はひとつの社会であり、それを構成するのは社員の皆さまです。先におっしゃられた会社としての一般常識を掲げる意義は大きいと思います。
金井塚:常識というものの捉え方は個人差があると思います。だからこそルール化というのもある程度必要になってくるのですよね。 ただ、あまりルールや常識の枠にとらわれすぎず、、仮に独りよがりでもいいことはいいこととして、行動していいと思います。

山元:最後に、一言お願い致します。
金井塚:現在、社長よりCSR担当のポジションの指名を受けることによって、業種を超えて、会社ができるCSR活動があるということを気づくことができました。担当になる以前からこの分野は個人的に興味を持っていて、ただ弊社のようなブランド業界にはそぐわないんじゃないかと思っていたんです。本社では製造部分も関わってきますけれども、日本はそうではないので。おそらく、CSRの意味を曲解していたのだと思います。今でこそCSRとそれに関連する言葉が広く知れ渡るようになってきているので、私のような勘違いをしている人は少ないかもしれないですけれども。実践すること、それは特別なことではないということを知ってもらうのが一番の近道ではないでしょうか。80年 代だったか、省エネという言葉がすごく注目された時がありましたね。それと大きな差はないと思います。言葉というのは後からつけたものにすぎないので、単 語であったり、ワーディングであったり、定義であったり、そういうものにしばられるのではなく、「いいことをしよう」。一日一善じゃないですが、実はとて もシンプルなことだと思います。また、今CSRイコール環境問題であると勘違いをしている人は結構多い気がします。CO2か 環境かっていう、それはそれでものすごく重要なファクターではあるのですけれど、それだけじゃないのよと、声を大にして言いたいです。文化芸術は利益とは 全然違う概念ですが、とても大切なものです。確かにお金があって自然が守られていれば人間が生きていく上で困ることはないかもしれません。ですが、音楽や 絵画などが人々の生活に与える潤いや、心の豊かさに繋がる存在であることも事実です。そういう視点を持って考えると、芸術文化の面のサポートというのは、 非常に意味のあることなんだと捉えることができると思います。
2009年6月取材

リシュモン・ジャパン株式会社
チューリッヒ株式市場に上場しているリシュモングループの100%出資会社であり、リシュモンの日本法人。グループはカルティエをはじめとする多くのブランドの経営権を保有しています。
代表取締役社長 リージョナルCEO
西村 豊