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Home > 識者に聞く > Tuvalu Overview代表 遠藤 秀一

島の若者たちとの交流

 クライマックスはツバルの伝統舞踊でのお別れ会。会場の集会場には豪華な食事が並んだテーブルが用意された。ご馳走を腹いっぱい食べたあとには、首都の島に住んでいるヌクフェタウという島の若者たちが、ツバルの伝統舞踊「ファテレ」を披露してくれた。50人近い人々が車座になって、手拍子を取り、歌う。その音圧は、集会場の中にこだまして、見ている者の気持ちを昂ぶらせてくれる。最初は遠慮がちにダンスを見ながら手拍子をしていた参加者たちも、そのうち、次々と踊りの輪の中に飛び込んでいく。今日初めてあったばかりの人々が、打ち解けて心から笑いあう様は平和の島・ツバルそのもの。最後は、みんなが一体となって、一瞬一瞬を楽しみながら生きていくツバルの文化に身も心もどっぷりと浸ることができた。
 

満天の星を眺めながら

 ファテレが終わってもなかなか集会場を離れることのできない参加者たち。明日は飛行機に乗らないといけないので、準備のためにも渋々と宿泊場所に戻る。その一行を別のサプライズが待ち構えていた。帰路の途中、滑走路の脇で夜空を見上げたとき、そこには巨大な天の川が横たわっていたのだ。
「星ってこんなに沢山あるんだ」「天の川を見るのは初めて……」「おっ流れ星、ラッキー」
 ツバルの夜は無駄な電灯がないため真っ暗なのだ。空気も澄んでいるので、想像を超える星空に会うことができる。
 星は地球上どこから見ても同じように輝いているはず。人間がわざわざ見えないように空を汚し、夜を明るくしているのだ。そうしたエネルギーの浪費のためにいつかツバルが沈んでしまうかもしれないと考えると、人間のもつ愚かしさが見えてくる。

 ツバルの首都フォンガファレ島には現代社会が抱えているさまざまな問題が分かりやすくちりばめられている。さまざまな問題に触れて参加者が最終的にたどり着いた問題意識は、何があれば幸せで、何があれば豊かなんだろうか?という問いだった。
 今まで失うことばかりを恐れてきた、日本での暮らしはいったい何だったんだろうか?
 地球温暖化という側面ばかりが取り上げられるツバル国だが、その首都フナフチ環礁への旅は、今までの自分を否定し、新しい価値観を探すスタート地点の旅でもあった。



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http://www.tuvalu-overview.tv/