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世界各地でのCSRにかかわるさまざまな動きを紹介します。
CSRフラッシュ Vol. 4 (2009年8月)


「英国発再生可能エネルギー白書」

7月15日、英国のエネルギー・気候変動省は、低炭素経済への移行に向けた同国の計画を発表した 。英国の再生可能エネルギー戦略は、2020年までの再生可能エネルギーの導入目標を15%に設定し(この目標には法的拘束力がある)、いかに英国がこの目標を達成するかその施策について概説している。同報告書は、再生エネルギー・セクターが2020年までに最大で50万件の雇用の創出を後押しし、同国における化石燃料の利用をおよそ10%削減することになるだろうとも言及している。

この報告書は、このような目標が野心的であり、その達成には犠牲をともなうことを認めている。政府側は、現在から2020年の間に再生可能電力源と熱源に対して300億ポンドの財政支援を提供することを発表している。また、再生可能エネルギー源に対する官僚的・経済的障壁を取り除くために政府が取り組みを開始することにもなっている。

そしてこの戦略の発表の翌日、英国唯一の大手風力タービン・サプライヤーであるワイト島のヴェスタス社の風力タービン工場がすでに閉鎖されていることがわかった。


フリーポート社(Freeport)が労働者の安全性にかかわる悪夢に直面
7月11日、世界最大の金鉱であるフリーポート・インドネシアのグラスバーグ 鉱山でオーストラリア人の労働者1名が鉱山に向かう途中で狙撃され、死亡した。フリーポート社の警備員と警官もまた同じ週末に発生した狙撃事件で死亡している。これに対して、インドネシア政府当局はこの地域にえり抜きの特殊部隊を派遣した。

今回の一連の狙撃事件は、フリーポート社との実入りのよい警備契約をめぐる地元の自警団的な警察部隊と兵隊たちの間の縄張り争いの一端ではないかといく人かのアナリストとインドネシア政府当局者は指摘している。この事件はフリーポート社にとって極めて困難な企業責任にかかわる状況を示唆している――安全はフリーポート社の従業員にとって必要不可欠であるが、その安全のために支払われた金銭こそが襲撃を増幅しているのである。

フリーポート社の鉱山は長年にわたってパプア解放組織による襲撃のターゲットとされている。この解放組織は、フリーポート社がインドネシア政府と警備会社に対して何百万ドルもの金額を支払っているにもかかわらず、現地のコミュニティーがごくわずかな対価しか受け取っていないことを不満としている。


マイクロファイナンスも世界規模の不況と無縁ではいられない
マイクロファイナンス(低所得者向け小規模金融)は世界規模での金融活動の浮き沈みとは概して無縁であると考えられていた。しかしながら、金融イノベーション研究センター(Centre for the Study of Financial Innovation)が発表した最新報告書では、この考えに変化がみられつつあることが指摘されている。82カ国の400人以上の弁護士、規制当局者、アナリスト、そして投資家を対象としたシティバンクと同社のマイクロファイナンス部門が共同で後援した調査では、現在のマイクロファイナンス業界の状況に対してこうした人々が深刻な懸念をもっていることが明らかになった。

「今回の調査結果は、以前の調査結果を覆すものとなりました。前回の調査結果は、マイクロファイナンスは、豊富な資金と忠実な顧客をもった独自の世界で運営されているという伝統的な見解を反映するものでした。ところが、今回の金融危機は、マイクロファイナンスもまた『実体経済』のショックにさらされることを明らかにしたのです」と調査担当エディターのデヴィッド・ラッセルズ氏(David Lascelles)は述べている。

マイクロファインス・インフォメーション・エクスチェンジ(Microfinance Information exchange)に報告を提示している1,200のマイクロファイナンス機関には5,300万人の借り手と6,400万人のセイバー(救う人)がいる。こうしたマイクロファイナンス機関の総資産は330億米ドルにのぼる。