今回は、韓国No.1連動ソリューションサービス企業「ネモコマース」を紹介する前に韓国のIT市場について少し説明したい。
1997年経済危機後、金大中元大統領はe-korea構想(注1)を掲げ、世界最高レベルの電子政府の構築、e-コマース(インターネットを使った電子商取引)の拡大、全産業の情報化による国際競争力の強化・IT人材の養成、そして韓国国民の90%以上がインターネットを利用できることを目標として掲げ、インターネット普及に力を入れた。その結果、現在の韓国では、無料インターネットの開放、ベンチャー企業やサイバー大学の相次ぐ創設により世界トップレベルのネット環境が整えられている。
市内の至る所には「PC房」(インターネットカフェ)の看板が目につき、インターネット犯罪を検挙するサイバー警察まで存在する。国際郵便物を送ると、現在荷物がどこの空港を通過しているのか、届け先に配達される時点までリアルタイムの情報が送り主の携帯電話メールにその都度送られてくる。退社時には自分が乗りたいバスが現時点でどこを通過しているのか、移動中のバスの現在地も携帯電話で簡単にチェックできる。田舎の市場の休憩所でも無料でインターネットが利用できるし、住民登録票等もインターネットで出力可能である。
米国調査会社コムスコアの2007年の調査では、韓国の一カ月あたりのネット利用時間及び閲覧ページ数が日本の約2倍であることもわかった。
急速なインターネットの普及は、国民性にも大きく関係している。 韓国人は、とにかく「走りながら考える」、何ごとも「パリパリ」(急げ急げ)と、まずアクションが先に走る。スピート優先で、激しい討論や自分の意見を主張するし、自分を表現することに躊躇しない国民性に、ネットの世界はぴったりの表現手段だ。
E-コマース市場も韓国が日本より5年先を進んでいると言われている。韓国の「GSホームショッピング」(注2)が発表したデータでは2000年初から2012年まで韓国インターネットショッピング市場は年平均13.7%成長すると予測している。
韓国では、普通の高校生が塾でWEBビジネスを習うケースが増えている。e-ビジネス高校まであり、ソンイルe-ビジネス高校では、全校生徒が一人一店舗のインターネットショップを開設する「全高生社長づくり」プロジェクトを実施するほどだ。
なぜ韓国では高校生までもがネットショップ経営者になれるのか、それは韓国と日本では、e-コマース市場が大きく異なっているからである。
一言で言うと、韓国のネット取引市場は誰でも参加できる“オープンマーケット”、それに対して日本は“クローズドマーケット”である。
韓国でネット取引に参入するハードルは日本に比べてはるかに低く、個人でも住民登録番号でIDを獲得すると、その日のうちにネット販売者として活動が可能となる。その結果、日本のEコマース市場では楽天、ヤフー、アマゾンなどの大型総合ショッピングモールが主体だが、韓国では代表的なショッピングモールの数だけで75個あり、オークション、Gマーケット、11stなどといったオープンマーケットの市場規模が一般のショッピングモールよりも大きい。
また韓国の場合、マーケットのシステムが販売者重視の視点から作られているために、商品を販売しやすい。市場の役割は“販売者と消費者間の取引を支援する”ことであり、販売者にAPI(注3)、プロモーションなどを活用して市場を開放している。これに対して楽天、ヤフーショッピングなど総合モール市場主体の日本では、販売者よりも消費者重視---消費者が品物を購入しやすいきめ細かなシステムだ。
結果的に韓国の方がシンプルで誰でも簡単に操作できるシステム、日本のシステムは複雑すぎて誰でも操作できるわけではなさそうだ。
これは日本の携帯電話が多機能だが高価で日本でしか普及しにくく、韓国の携帯電話はシンプルだが低価格なので世界市場に通用しやすいという現象とよく似ている。
多くの人が参入・撤退を繰り返す韓国のe-コマース市場では前述のとおり、代表的なショッピングモールの数だけで75個もある。販売業者は、できるだけ多くのモールに参入したいが、一方で商品を登録・注文・配送・在庫管理をモールごとに行うこととなれば、人件費が膨大、大変な手間がかかる。
そのため、様々なショッピングモールに出品する商品管理がボタン一つで可能となる“プログラムショッピングモール連動ソリューションのサービス“を提供する会社が韓国には多く存在する。
その中でも、以下に紹介する「ネモコマース」は、韓国の連動ソリューションサービス企業の中でも圧倒的なマーケット・シェアを誇り、規模は小さいが自社開発の優れたソリューションサービスを武器に、他社に先駆けて2010年7月から日本市場に参入している。