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●顧客と力を合わせて問題解決

ネモコマース社が韓国内でトップ企業を維持する理由は単にサービスの優位性だけではない。
「ショップリンカー」のソリューション開発はひたすら顧客の利便性を追求することに重点を置く。 顧客の立場で考えるために、利用客が同社のソリューションに感じている不満をネットに登録できるようにして、それを運営チームが毎日チェックして内容を分析する。

また「ショップリンカー」について良くわからない点、或いは機能エラーなどがあった場合、顧客との電話のやり取りで改善できれば良いが、改善できない場合は当日の夜でも顧客に出向いて無料で問題を解決する。単に使い方に慣れていない顧客の場合でも、同様だ。それに感動したある顧客はネモコマースの社員宛てにたくさんの「サムゲタン」(参鶏湯)をプレゼントし、社員全員が会議室に集まってパーティーを開いたことさえある。またある顧客は感謝の気持ちを込めて、寒い冬に熱々のアンマンをたくさん買って直接会社を訪問し社員と一緒に食べたこともあるそうだ。

顧客と社員がお互いに距離をおかず、サービスの問題点について言いたい放題言いながら、良い解決策を話し合って見つけていく。ネモコマースの顧客は出来上がったソリューションをただ利用するのではなく、ソリューション開発に一緒に参加していると認識しており、また顧客の声がすぐに反映されていくことがネット上で確認できるため、満足度も高い。顧客との日々のコミュニケーションを通じてソリューション開発がどんどん進化していると言っても過言ではない。

このようにネモコマース社には顧客との信頼関係をもとに、顧客とのやり取りで改善されたサービス内容が社内の知識ベースとして蓄積されていく。


ネモコマース社「ショップリンカー」のお客様レビューから

顧客社名 : K*mall
大企業ショッピングモールで自社システムと多数モール(オープンマーケット)との連動システムを開発するには高い費用と時間が必要だったが「ショップリンカー」を利用する事で費用節減を実現しました。月平均7〜8万件の商品登録及び管理を行うために多くの人間が必要でしたが、「ショップリンカー」ならば1〜2名で管理ができるようになり、またメンテナンスも安心しながら利用できます。

顧客社名 : *culture
書籍10万冊、CD8万枚、総18万件の商品を販売管理する韓国No.1の業者です。今までは商品登録担当者7名、注文担当2名、C/S担当者4名、総16名でモール管理業務を行っていましたが重複作業が多く、人材管理も困難でした。それが「ショップリンカー」を利用することで業務の重複作業が減り、16人から、たった2人で管理できるようになりました。しかも売上は「ショップリンカー」使用前より3倍以上増えました。

顧客社名 : *Layer
高級ブランド服、雑貨専門店で自社モールも保有している業者です。「ショップリンカー」を使ってから全体の売り上げが2倍以上となり、商品連動、商品修正、注文処理などの業務が以前よりも確実に改善しました。


●社員は家族と同じ運命共同体

丁淳岩社長は常に社員達に伝えるのは“顧客が満足する最高のサービスを提供することが、最高のイノベーションである”こと。また社長の信条は「人と金は必要なところに流れ、大事に扱うところに留まる」だ。社長にとって“大事に扱う人”とは、「顧客」と「社員」にほかならない。

ネモコマースの仕事はPC→社員→ソリューションの流れ、社員が中心となってPCを通じて顧客企業にソリューションを提供する、社員が最も重要な存在である。

そのため、同社の年棒は同業種の平均を上回り、来年、再来年には最高レベルの年俸の支給を計画している。また社員の福利厚生にも配慮し、自己啓発に対する支援金を支給するほか、社員の冠婚葬祭の際にも細かい気配りを行っている。

社員のチームワークが非常に優れている点もネモコマース社の特長だ。
他の社員が積極的に仕事をカバーしてくれるので、教育・研修、病気の際にも気軽に休みが取りやすい。また、社員全員が家族のような雰囲気で働いているため、満足度が高く、結果的に競合他社に比べて離職率が低い。

★丁淳岩社長に聞く★
社員とビジョンを共有する、自分の思いを社員全員に伝えるために

役員や管理者までは伝わりやすいですが、末端の新入社員までにはなかなか伝わりません。社員のベクトルを一つにするにはどうすればよいか、考えた末に野外での懇親会を開催しました。韓国の山々は岩場や石が多く、初めての人は慣れている人に手をさしのべてもらったり、互いに助け合わないと全員が頂上に辿りつくことは難しいものです。山登りの際に、新入社員とフランクにおしゃべりしながら、自分の思いを伝える。そうすると、翌朝出社するとその人との距離がぐんと縮まることが肌で感じられます。まず、社員と共通の目標に向けて呼吸を合わせることが大事であることを常に心に刻んでいます。

<インタビューを終えて>
韓国人は「一人だと日本人の三人分の能力を発揮するが、三人集まると一人分の能力も発揮しない」、その反面日本人は「一人では何にもできないが、三人集まると六人分の能力を発揮する」とよく言われる。つまり韓国人は個人でパワーを発揮するが、日本人は集団になるとパワーを発揮すると。

吉川良三氏はその著書「神風がわく韓国」(白日社,2001年)で次のように述べている。
「韓国の伝統的な農機具として土を掘る「ガレ」というものがある。一人は、右前方、もう一人は左前方へ網を引っ張っていき、三人目は耕す方向へ押していく。三人が気持ちをうまく合わせてガレを前にすすめ、畑を耕していくのだが、三人が三人とも違った方向を向いているのが「ミソ」である。シャベルより効率がいい機具である。つまり、三人それぞれ全くの個人プレーなのだが、方向さえ定まれば、各人の力がきちんと生かされて、目的の達成へ向けて前進できるのである」

このような「個が強い」韓国の文化にインターネットはぴったり融合している。韓国特有の国民性である「パリパリ文化」(急げ急げ)も、ネットの普及に拍車をかける。
「競争」と「スピード」をキーワードに韓国のIT関連産業はグローバル市場にチャンスを狙い、猛ダッシュしている。三人集まればそれぞれが個人プレーをする韓国人だが、有能なトップが方向さえ定めれば、各人の力がきちんと生かしながら目的達成に向けて前進する。だからこそ韓国の経営者は常に「方向性が大丈夫か」を確かめることが重要な役割だ。日本より何倍も強いリーダーシップが求められる韓国の経営者は、責任も大きいがやりがいも大きいに違いない。


(2010年6月取材)

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