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学生CEOインタビュー

現在11名の学生が事業者登録(日本では個人事業開業届書)を済ませた高校生CEOとして事業を展開しており、3年に在学中のある女子学生が運営するファッションサイトはオープンして年間売上1,000万ウォン(約80万円ぐらい)の売り上げを達成している。

年間売上1,000万ウォン、 将来の夢は中国進出!
「Nimangshop」
学生CEO
南亨周さん(3年生)


1.e-ビジネスのきっかけは、中学時代
幼いころから行動的な彼女は、小学生の頃「花より男子」(台湾のTVドラマ「流星花園」)をみた瞬間、面白くてどうしても字幕なしでドラマをみたくなり、マスコミでこれからは中国ビジネスが盛んになると聞いて中国への留学を決心。親にねだるが、反対されて行かせてもらえない。しかし何が何でも一人で行くと親への説得を粘り強く続け、やっと小学校6年生の時に単身で中国へ留学し、中学校2年の時に韓国に戻る。

中学生の彼女は、もともとファッションに興味があり、服を買うのが好きだったが、母親はいつも必要なものを買うだけのお小遣いしか与えてくれない。
そこでインターネットの中古マーケットサイトに服や、靴を自分なりのセンスでコーディネートして撮影して掲載したら、同じ年齢ぐらいの女の子たちから問い合わせが来て買ってくれる。 そうした反応は、不思議であると同時に、喜びも感じた。おまけにお小遣いが入るので嬉しくて、お母さんの古着や靴を勝手にごっそり売ってしまい、後で大騒ぎになったこともあるそうだ。

中学3年の時、偶然ソンイルe-ビジネス高校の入試説明会で「ショッピングモール学科」を知り、「私が行く高校はここしかない」とすぐ申し込んだそうだ。


2. 高校2年生で学生CEO1号に
ソンイルe-ビジネス高校に入学してから、e-ビジネスの起業を専門的に学ぶことになる。 もともとファッションに興味があったので、同年代をターゲットに洋服を販売することに決めた。自分が好きな服を同じ10代の好みに合わせ、上手くコーディネートすれば必ず売れると確信したのだ。

まず他のネットショップの長所や短所を分析し、市場を調査しながら写真の撮影方法、フォトショップ(画像処理ソフト)などを学び、先生の力を借りながら販売戦略とマーケティング戦略を立てた。商品の仕入れ、撮影、モデル選び、写真の撮影場所のアレンジ、商品配送などすべて一人でこなしていった。

<仕入れープロの卸業者と渡り合う>
一番の問題は仕入だった。韓国で最大のファッション市場である東大門市場に行ったが、私服で若いし、一般消費者と思われて「小売りはしませんよ!」とすぐに断られてしまう。
仕方がないので、まずショップ名を入れた名刺を作り、プロが使用する大きな仕入れバックを購入、バッグに商品をたくさん仕入れていると見えるように捨て紙を一杯詰め込んだ。重そうなしぐさで店に行き、名刺を渡して「私はプロの商売人です、この店の商品は私のショップのコンセプトと合うので、安く売ってくれませんか」と交渉した。

とにかく10代は志向の変化が激しいので、毎日最先端の流行を知り新商品を探すために、市場調査を欠かさなかった。熱心な彼女は、いつの間にか市場で可愛がられる存在となり、最新情報を教えてもらえるようになる。東大門市場に地方から商品が届き最も賑わう時間帯は夜明け。一番活気が溢れるその時間帯にプロに交って商品を購入しに行くのでいつも寝不足なのが大きな悩みとなった。

<商品撮影―――読者モデルへの応募も殺到>
次の難関は撮影だった。お金がかからないよう、まず友達に自分が選んだ服を着てもらい学校で撮影した。慣れくると校内だけではつまらなくなり、お洒落なカフェに事情を説明し協力してもらう。カフェ内の自由な雰囲気で撮影することで、バライエティに富んだ画像が作れるようになった。その後、自分のサイトにモデル募集の広告を出したところ、可愛い大学生や、社会人からたくさんの応募があり、彼女たちに1時間7,000ウォン(約600円)のバイト料でモデルとなってもらった。それからは年齢層を上げてOL顧客の獲得にも力を入れるようになったそうだ。



学生CEOの南亨周さんのネットショップ
「Nimangshop」用 撮影風景

<商品配送〜広告・宣伝>
彼女は商品配送もすべて自分がこなしたいのだが、注文が入ると夜に荷造りを済ませ、翌日の朝には配送しなければならない。その時間帯には学校のため、仕方なく配送だけは両親に頼み、毎日、勤務先まで宅配業者に来てもらい、商品を配送している。

基本的には周りの友達たちが口コミでショップの存在を広めてくれたが、さらに「ダウム」「ネイバー」などの検索サイトでもキーワード、バナー広告を掲載している。
特に10代の少女が多く訪れるコミュニティサイトにバナー広告を掲載したところ、急速に広まり、現在日増しに会員数が増えている。割引クーポンなど多様なイベントを設け、訪れる仲間たちが楽しめるサイトを作り上げていった。さらにすべての購入者には、購入金額とは関係なく、必ず景品(自分が選んだかわいい靴下)を用意して、プレゼントとして同封した。

自らがコーディネートした服の低価格販売、スピーディな配送、訪れる人が飽きないように商品ページを常に更新し、購入した顧客には感謝のメール送る。このようにして、同年代である10代の少女たち顧客の心をつかんでいった。オープン当時から1年が過ぎた現在に至るまで必ず毎月1回購入してくれる顧客もいるとのことだ。
因みに、これまで創業資金として100万ウォン(約8万円)をお父さんから投資してもらい、その後は「一切援助なし」だそうだ。


3. 今後の目標
他のショッピングモールとの差別化戦略は「同年代の子が楽しめるショッピングモール、安い価格、良い品質、スピーディな配送、多様なイベント」としっかりした答えが返ってきた。
仕入れで寝不足なのは大変だが、商品が売れると疲れもふっとび、お客様レビューで満足したとの良い評価をもらったり、販売量が増えていくと大きなやりがいを感じる。

現在1年間の総売上は1000万ウォン(約80万円)、2009年6月オープン当時より売上が3倍に伸びている。今年の目標売上は2000万ウォン(約160万円)である。

来年は大学の中文学科へ進学し、中国語、中国社会や文化をしっかり学び、中国へ進出することが大きな目標だ。どのようにビジネスを展開するかは模索中だが、自分がコーティネートした商品を中国の若者が買ってくれるかどうか、「それを考えるとわくわくして今でも眠れない」と彼女は語る。