CSR勉強会特別編
第1回 自分のストレスと向き合う
シリーズ:自分を守る、ストレスマネジメントあなたは「やる気が起きない」、「いつも疲れている」など、こころやからだの不調を感じていませんか。その原因は「毎日が残業」、「目標達成のプレッシャー」、「上司との関係」、「経済的不安」など、仕事にまつわる疲れやストレスが多いのではないでしょうか。このシリーズでは、自分のこころとからだに注意を向けることから始めて、自分で自分を守るためのストレスマネジメントの方法を考えていきます。
疲れたら休むのが一番 でも休めない
調子が悪いとき、どうしていますか。「疲れたら休むのが一番」と、頭ではわかっていても、現実はどうでしょうか。「仕事があるから」、「他の人に迷惑がか かる」、「上司に何て言われるか心配」などなど、休めない理由ばかり浮かんできます。そして、「我慢するしかない」、「今のピークが終われば」、「酒飲ん で忘れよう」と自分に言い聞かせて、なんとか乗り切る。でも、ちょっと待って。そんな受け身の姿勢を、これからも続けていくのですか?
人は、ある日突然、病気になるのではありません。日々のストレスが蓄積され、ある時それが許容範囲を超えて、こころやからだの調子を崩してしまうのです。今までは元気でいられたけれど、この次どうなるかは予測できません。
「とりあえず」の反応は長続きしない
原始時代、人が生きるためにストレスは必要でした。例えば、凶暴な動物にでくわしたとき。逃げるか戦うか、どちらにしても心臓の鼓動を早め、呼吸を 増やして全身にエネルギーを行き渡らせる反応が起こります。ストレスは、普段と違う対応が必要な緊急事態への反応だったのです。
現代でもこの構図は変わりません。仕事量の増加というストレスの要因(ストレッサー)が現れたら残業して終わらせる、職場での人間関係の悪化というスト レッサーに対しては自分の感情を抑える、などの反応を「とりあえず」やってみます。ところが原始時代は短期決戦だったのに対して、現代のストレッサーはす ぐには消えません。そこで次の反応として、からだの不調(疲労感や肩こり、腰痛など)やこころの不調(やる気の低下やイライラ、落ち込みなど)が現れるの です。ストレス反応は、「とりあえずの反応は、もう続けられないよ」という自分自身からのサインなのです。
受け身の姿勢を転じて ストレスと向き合う
話を前段に戻しましょう。ストレスに対して受け身の姿勢でいると、ストレッサーの姿が見えにくくなります。ストレスのことは考えたくないから、当然 です。どの程度、深刻な状態なのかも、わかりません。「疲れる」、「やる気が出ない」といった自分自身からのサインも気にしなかったため、「(実際にはそ うではないのに)ある日突然」、うつ病の発症に至るケースもあります。
臓器の病気と違って、人のストレスを外部から測るのは困難です。同じようなストレッサーでも、人によって感じ方は違います。同じ人でも、体調や環境が違え ば感じるストレスも違います。受け身の姿勢を転じてストレスと向き合い、自分を守ることができるのは、今の自分だけなのです。
1日3分 こころとからだのチェックを
どうすれば今の自分のストレスと向き合えるでしょうか。現代に生きる私たちは外部から大量の情報を受け取ることで手一杯で、自分自身のこころやから だに注意を向けることに慣れていません。まずは1日3分間、自分と向き合う時間を作ってみませんか。そして、からだ、こころの順番でチェックをしてみま しょう。
- 頭のてっぺんから足の先まで、自分のからだをスキャンするようにして、からだを感じる。凝っている、張っている、だるい、熱い/冷たい、重たい、苦しい、締めつけられる、などの感じがないかどうか。
- 心配なこと、嫌なこと、恐いことなど、気になること(ポジティブなことも)があれば、こころのなかでリストを作る。実際に紙に書いてもよい。
原因や解決策を考える必要はありません。まずは「あ、あるな」というのがわかれば、最初のステップとしては十分です。あまり考えすぎないよう、注意してく ださい。辛いときには、友人や同僚あるいは相談室や病院などの専門機関に相談してください。自分の限界を見極めるのも、ストレスマネジメントの重要なポイ ントなのです。
(次回は「からだのストレスマネジメント」について考えます。)
西村 圭子 (にしむら けいこ) 氏
国際基督教大学卒業。
証券アナリスト、企業広報、コンサルタントを経て桜美林大学大学院(臨床心理学)修了。
現在は精神科、小児科等でカウンセラーとして勤務。
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