シネマ&ブックレビュー話題の映画や本を紹介します

いま、ボランティアをするということ

映画「マジでガチなボランティア」里田 剛 監督に聞く

4月16日から渋谷で上映される映画「マジでガチなボランティア」は、一人のギャル男の医大生と仲間たちとのカンボジア支援を追ったドキュメンタリー映画だ。映画では、仲間との確執や借金など、キレイごとでは済まない現実、それでも彼らが “学生であること”にこだわり続け、“ガチの社会貢献”を全うしようとする姿が描かれている。未曽有の東日本大震災から一か月、自分に何が出来るのか、私たち一人ひとりが自らに問いかけるなか、里田監督に映画と、そして震災後の思いについて伺った。

里田 剛 氏

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=KpgUcxykeLE

ストーリー(渋谷アップリンクで2011年4月16日から/3週間限定公開)

カンボジアに小学校と診療所を建てた若者たちがいる。学生医療支援NGOのGRAPHIS(グラフィス)だ。なぜ、彼らはボランティアを始めたのか。仲間同士の分裂、大人に騙され、借金を抱えることになりながら、なぜ、ボランティアを続けていくのか。「世界は変えられなくても、世界を変えるキッカケにはなれる」。初代GRAPHIS代表の石丸宏章を主人公に、映画は彼らの姿と、“その時、何を考えていたのか”を3年間に渡って追い続けた。

「ボランティアをするしないの違いはどこにあるのだろうと思った」

実は里田監督と映画の主人公、石丸宏章さん(初代GRAPHIS代表)との出会いは全くの偶然、当時の監督はボランティアにも興味はなく、当初は映画にしようなどと全く考えていなかったという。

「2007年2月当時、僕は企業向けの学生たちの就職用インタビュービデオを撮影する仕事にかかわっていて、1週間に20-30人の学生と会っていたんですね。でも、彼らの話の中身は皆同じ。自分もそうでしたけれど、普通の学生は、デートしたいなあ、割の良いバイトないかなあ、楽しいことないかなあ、そんな感じの4年間ですからね。」

そんな時、ある人材コンサルタント会社の社長から、おもしろい学生がいると言われて会ってみたのが“実際に行動している学生の石丸くん”だった。「会う前に彼のブログを見たら、典型的なチャラ男の写真、しかも医大生。金持ちで遊んでいて勉強も出来て、僕が最も毛嫌いするタイプの人間じゃないかと。でも、実際にブログを読むと、そこに書かれていたのは純粋に熱い思いだったんです。その時、彼らは既にカンボジアに小学校を建てた直後、そして“仲間割れ”をした直後でした。」

初代GRAPHIS代表の石丸宏章さん。彼の活動は著書「マジでガチなボランティア」 (講談社文庫)にも詳しい。合コンとナンパに明け暮れた医大生がチャリテイイベントの収益で8ケ月後にはカンボジアに小学校を建設へ。しかし、その後…..

石丸さんたちと関わるようになった理由には、就職用ビデオの仕事を通じて抱いていた学生たちへの軽い失望感を打ちくだいてくれたこと、そして、もう一つ、里田監督自身の個人的な思いがあったそうだ。「僕自身も学生時代にはバックパッカーとして海外に足を運んで、発展途上国の現実を目の当たりにした経験があった、でも日本に帰ってきて直接彼らに何かしようとは思わなかった。けれども、一見、鼻持ちならない奴に見えた彼らはそうじゃなかった、実際に行動した。その違いは何だろう、なぜ彼らはそこまで動くんだろう。」

そうした疑問が彼らへの興味となり、彼らの求めに応じてイベントを映像におさめ、YouTubeを通じて世間にアピールしていく、そんな関わりを持つようになった。

TOPへ戻る