「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【第7回】科学技術を学ぼう⑤

~公式テキストから~「国際化」「人材育成人材活用を急ごう」「社会環境への気配り」

科学技術の面白さと重要性を知っていただく「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ第3回から第7回までは、5回に分けてエコリーダー公式テキスト<科学技術>の内容についてご紹介します。第7回は循環型社会構築に向けた国際社会での日本の役割、育成が急務となる環境配慮型人材と環境人材等について、(公社)日本技術士会登録「持続可能な社会推進センター」会員の大熊正信氏(株式会社 福田水文センター 常務取締役)が解説します。

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第12章 国際化

1.国際社会におけるモラルと協調

大熊正信氏

大熊: 地球規模へ拡大している地球環境問題は、国際社会と協調した取り組みが不可欠となっています。2008年の洞爺湖サミットでは「温室効果ガスの排出を2050年までに世界全体で50%削減する」としましたが、経済力や環境技術の有無だけでなく、文化や宗教観などに立脚した国民性や、世界に対するモラル(責任感)の違いを乗り越えるだけの説得力ある目標が必要と考えられています。

また、2012年6月にリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)では1992年の地球サミットから20年が経過し、エネルギーや資源の有限性など「地球の限界」が明確化され、この20年間におけるBRICsなど新興国の著しい経済成長など、地球を取り巻く環境にも変化が現れていることから、環境保全と経済成長の両立を目指す「グリーン経済」への移行が喫緊の課題とされました。

出所:外務省HP

2.日本がリーダーシップを取るために

環境省は2020年までに環境ビジネス市場を120兆円に拡大するとした「日本版グリーンニューディール」を発表しました。地球環境が世界共通の問題となっている今、企業にとっても環境関連技術への挑戦は最大のテーマといって過言ではありません。我が国はそのような背景の下、低炭素社会のみならず、循環型社会、自然共生社会の実現にも資する「緑の経済と社会の変革」実現を目指し、先のリオ+20でも「緑の未来」イニシアティブを発表しました。

出所:外務省HP

世界が今、資源の有限性を認識してきた中で必要な成長を遂げる道程は、日本が歩んできた歴史と重なる部分が多くあります。これからも、世界が一つとなって協調していくためには、技術大国、経済大国として独自に発展を遂げた日本には、環境大国としても世界をリードしていく期待と責任があるといえます。

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