「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【第7回】科学技術を学ぼう⑤

~公式テキストから~「国際化」「人材育成人材活用を急ごう」「社会環境への気配り」

第14章 社会環境への気配り

1. 持続可能な発展の本質とは

ブルントラント(元ノルウェー首相)が「もし我々のために人間及び自然の一部を救おうとするならば、このシステム全体を救わなくてはならない。これが”持続可能な発展”の本質である」(1986演説)と言って以来、急激に「持続可能な発展」の概念が世界全体に広がりました。

大量生産・大量消費・大量廃棄の社会は貧富の差の拡大を招き、国家間の争いや人間関係における不信を増大させました。この反省から「環境倫理」の確立が求められ、各国政府をはじめ、産業界、地方自治体や市民・団体それぞれの立場での取り組みがなされてきています。

2. 循環型社会構築に向けた日本の取り組み

持続可能な社会構築のためには、「循環型社会」と「低炭素社会」および「自然共生社会」を統合した社会の実現が必要です。

出展:環境省HP資料をもとに作成

我が国でも「環境基本法」(1993)を制定し、「第2次循環型社会形成推進基本計画」(2008)が策定され、3Rの推進や廃棄物の適正処理をめざして各種リサイクル法やグリーン購入法などの法整備も進んでいます。また、我が国は国際的な視点から「東南アジア循環型社会ビジョン」を策定して、主導的な役割も果たしています。

3.低炭素社会づくりと科学技術

 我が国が世界に呼びかけた「クールアース推進構想」では、2050年までに世界全体でCO2排出量を現在の半分にすることを訴えました。

出所:政府広報オンライン

しかし、現実には削減目標達成は極めて難しい現状にあり、革新的な技術開発だけでなく、既存環境技術の普及拡大を着実に進める必要があります。そのため「再生可能エネルギー買取法」(2011)などの法整備により太陽光・風力・水力・バイオマスなどの活用を促進するとしています。

2011年の東日本大震災で発生した原発事故により、低炭素エネルギーの中核と位置づけていた原子力政策も見直され、原子力発電の稼働を2030年代までにゼロにすることとした「革新的エネルギー環境戦略」(2012.9)を政策決定したことを受けて、自然再生エネルギーや省エネ技術への期待はさらに高まってきています。(2012年11月)

●「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ

【はじめに】時代が必要とする科学技術エコリーダーとは?
【第1回】東日本大震災と科学技術 ~科学の目で今を選択することが、未来を変える~
【第2回】ニュースの中の環境問題と科学技術~何かしなければの想いを実践につなげる~
【第3回】科学技術を学ぼう①「地球環境の現状と科学技術」「環境問題とその側面」「地球環境問題への対策技術」
【第4回】科学技術を学ぼう②「生活と科学技術」「エネルギー開発と対策技術」「地球規模の環境問題と対策技術」
【第5回】科学技術を学ぼう③「IT技術の仕組みと活用」「自然災害から国土をまもる環境保全対策」
【第6回】科学技術を学ぼう④「環境リスクとリスクマネジメント」「技術者のモラル」「環境と経済」
【第7回】科学技術を学ぼう⑤「国際化」「人材育成人材活用を急ごう」「社会環境への気配り」

●科学技術エコリーダー養成講座について

●エコリーダー公式テキスト「<科学技術>エコリーダーになろう」

既に16万人を超えるeco検定合格者(エコピープル)を対象に、スキルアップ事業「科学技術エコリーダー養成講座」を定期的に開催しています。職場や地域で環境分野のリーダー育成を目的とするもので、2日間の講習修了者には東京商工会議所および(社)日本技術士会「持続可能な社会推進センター」からの認定証が発行されます。

●科学技術エコリーダー養成講座:大阪会場
日時:2013年3月2日(土)、3日(日)
時間:AM10:00~PM4:00(2日間共通)
https://www.eco-people.jp/skillup/kouzaseminar/7875

●上記以外の今後のスケジュールについては下記にお問い合わせください。
[問い合わせ先] エコピープル支援協議会 事務局(エコリーダー担当)
Tel. 03-3556-6405 Fax. 03-5226-3322
E-mail: ecoleader-uketsuke@ep-support.jp

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