「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ
【第8回】行動力とリ-ダ-シップが社会を変える
「科学技術は環境(エコ)の基本」シリーズ第3~7回は『科学技術を学ぼう』と題してエコリーダー公式テキスト<科学技術>内容を紹介しました。第8回は「行動力とリ-ダ-シップが社会を変える」をテーマに、実践例として「さっぽろエコピ-プル」の活動やエコリ-ダ-養成講座の具体的内容について(公社)日本技術士会登録「持続可能な社会推進センター」会員の植村 豊樹氏(株式会社 構研エンジニアリング 取締役)が紹介します。
1. 行動力とリ-ダシップが社会を変える
植村:この章では、既存の社会構造から循環型社会・低炭素社会の構築に向けて重要となる環境と人のかかわりや、環境リ-ダ-(エコリ-ダ-)に求められる要件について学びます。
(1)エコリ-ダ-に期待する役割
エコリ-ダ-は、第1回目でも紹介した通り、エコピ-プルがeco検定で学んだ基礎知識をもとに、分野ごとの専門性を高めることで、職場や地域などのさまざまなフィ-ルドでリ-ダ-として活躍することが期待されています。
現在、地球環境を取り巻く課題としては、地球温暖化の危機、資源浪費の危機、生態系の危機が懸念されています。エコリ-ダ-は、これらの要件相互の関係を理解し、社会の中でどのように行動するかについて、その方向や考え方を示さなければなりません。そして、その環境活動は、それぞれの分野の専門的活動だけではなく、良好なコミュニケ-ションスキルを持った横断的な活動の輪が重要となります。
(2)リーダーシップが地球温暖化危機を解決する
「21世紀環境立国(平成19年6月1日)閣議決定」では、日本は気候変動に向けた国際的リーダ-シップを担うことが示されています。
地球温暖化の危機を克服するためには、「低炭素社会づくり」と「温室効果ガス削減のための国民一人ひとりの取り組みの輪の拡大」の実現が重要です。これを推進するためには、専門的な科学技術の知識を持ったリ-ダ-の存在が不可欠であり、リーダ-シップを持って一般国民に対して、草の根の活動的な温室効果ガス削減の取り組みの輪を広げ、社会的下地を構築して行かなければいけません。
2. 地域での実践~さっぽろエコピ-プルの会について
エコリーダーたちが地域に根差した活動を模索する事例として私自身もメンバーである「さっぽろエコピープルの会」の活動をご紹介します。「さっぽろエコピ-プルの会」は2009年7月に設立されました。札幌商工会議所に事務局を置いて、会員数は282名(2012年4月現在)の組織です。
同会では環境問題に関わる人材育成とECO活動の広がりを目的として、①交流会の実施、②エコリ-ダ-の育成、③活動のPR、を行っています。具体的には環境活動に関する学習・情報交換や交流を目的とする場として、定期的に「交流会」を開催し、講演会・セミナ-等では、環境問題にかかわる大学教授や専門家そしてエコリ-ダ-養成講座修了者を講師として、知識の向上を図っています。
また、エコ活動に取り組む企業を訪問する視察会も行っています。ある食品工場ではリサイクル処理される生ゴミ、太陽光発電、地熱を利用した冷暖房などの設備面の他、家庭の廃油食油を店頭で回収し、バイオディ-ゼル燃料として再利用するなど、地域と一体となった企業活動を行っていました。
楽しみながら環境を学ぶ~環境教育カードゲーム「ガバ・チョ」 http://himawari.her.jp/wp/ |
「さっぽろエコピープルの会」では、堅苦しいばかりではなく、メンバーが気軽に楽しみながら環境を考える機会を設けるよう工夫しています。その一つとして、今年の7月に実施した研修会で好評であった、エコリ-ダ-の育成を目的として行った「ガバ・チョ(環境ゲ-ム)」を紹介します
環境教育カードゲーム「ガバ・チョ」は、「NPO法人ひまわりの種の会(理事長 新保るみ子)」が製作したもので、ゲ-ムを通じて環境をテ-マとしたファシリテ-ション技術やコミュニケ-ション技術を学ぶことができます。4人のプレーヤーは国の大統領になって、地球温暖化の原因と言われる二酸化炭素を削減しながら、「生産(お金を稼ぐ)」または「環境保全(緑を増やす)」を選択し、自分の国を豊かにすることをめざします。 ゲームの仕組みは小学校5年生以上を対象とする簡単なものですが、ゲームを通じて地球温暖化が進行する今の世界情勢、国家間の様々な駆け引きや協調を疑似体験することができます。世界を舞台に「バランス感覚」「状況判断や深い洞察力」「交渉力」が養えるとともに、世界各国の「身勝手な行動の行く末を感じ取る」ことができるでしょう。興味のある方は、ぜひホームページにアクセスしてみてください。 |