CSR勉強会特別編

第3回 「こころ」のストレスマネジメント

シリーズ:自分を守る、ストレスマネジメント

前回は、ストレスにつながる疲れを溜めない方策として、睡眠時間、生活リズムそして呼吸法について紹介しました。今回は、「こころ」の面からストレスマネジメントについて考えます。

ストレスを感じさせるものはなに?

「風邪をひいたかな」と思った時のことを、考えてみてください。熱っぽい、喉が痛い、鼻水が出るなどの症状を感じたら、薬を飲む、食べ物に気をつける、早めに寝るなどの対策を打つでしょう。からだの異状を感じ、自分なりの判断を下して、対応を考える。それでも回復しないようだったら、病院に行って専門家に診てもらう。
ストレスマネジメントも基本は同じです。ただしストレスの場合は初期症状を見逃しやすく、対応策もあまり知られていません。そこで日頃からのセルフチェックが重要になります。第1回で紹介したような、1日3分間のこころとからだのチェックです。それでストレスを感じている自分を見つけたら、その原因は何か、少しだけ考えてみてください。

スイッチを切り換える

ストレスの原因が軽いものであれば、対応も軽いもので済みます。ところが実際にはそうではないものが多いのです。人間関係でのトラブルや仕事上の心配事など、いつも気になっていて、頭から離れない。クヨクヨと考え続け、どんどん悪い方向に想像してしまう、といった悪循環にはまってしまいがちです。
このような状態は自分のなかでグルグルと考えているだけで、状況は変わりません。こころのエネルギーを奪われるだけです。まずは悪循環を断ち切ること。こころのスイッチを切り換えましょう。当面の対策を考えた後は、考え続けるのを、一旦、やめるのです。「部屋の照明を消す」、「パソコンをシャットダウンする」、「気になることを箱にしまう」など、具体的なイメージを頭に描いてみると、うまくいくことが多いようです。ポイントは、いつも同じイメージを使うこと。何回も繰り返していると、こころとからだが覚えてくれます。

「認知のパターン」をみつける

例えば、知人にメールを送ったのに返事がこない時、あなたはどう思いますか?

(1)「この前、会った時に、何か気に障ることを言ってしまったのかな。」
(2)「別の知人に送ったメールにも返事がない。私は誰からも好かれていないのかも。」
(3)「忙しいのかな。もうちょっと返事を待ってみようか。」

メールの返事がない、という事実に対して、様々な反応のパターンが考えられます。(3) であればストレスは少ないでしょう。(1)では不安な気持ちに、(2)では悲しんだり落ち込んだりするかもしれません。
ストレスを生んでいるのは外部環境や他者ではなく、それらを受け止めるこころの方なのです。ものごとの捉え方(認知)がパターンとして固定化し、「クセ」のようなものになって、ストレスの原因になっていることもあるのです。認知のパターンは、簡単に変えられるものではありません。クセなのですから、無意識にやってしまうのです。まずは自分のパターンを見つけることから始めましょう。パターンが分かれば、「嫌われてるのかも」と思ってしまった自分に気付き、「そうではなくて、ただ忙しいだけなのかも」と考え方を変えることもできます。

友だちに頼る

他者の存在は、時にはストレスになりますが、貴重な存在でもあります。悩みごとを誰かに話しただけで落ち着いたという経験は、誰にでもあるでしょう。話すこと自体がストレス発散になっている場合や、相手に分かるように話すことで自分の中でも整理がつくこともあるのでしょう。実際に話をしなくても、話を聞いてくれる友人がいるということだけで、ストレスへの耐性が違ってくるとも言われています。
相手に迷惑なのではと、ためらう人もあるでしょう。けれど、お互い様です。逆の立場になった時に話を聞いてあげて、お返しすればいいだけです。

自分のこころとからだの状態を知り、それを自分でコントロールする。それが「自分で自分を守る」ストレスマネジメントです。自分ではコントロールできないと感じたら、ためらわずに助けを求めてください。

(次回からは、より具体的な問題について考えます。)


西村 圭子 (にしむら けいこ) 氏

国際基督教大学卒業。

証券アナリスト、企業広報、コンサルタントを経て桜美林大学大学院(臨床心理学)修了。

現在は精神科、小児科等でカウンセラーとして勤務。

「心と身体のストレスマネジメントについて」西村さんに直接ご質問されたい方はコチラへ↓ jibunwomamoru@gmail.com

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