[東日本大地震:この瞬間も、困難な状況にある被災地のために]

「何かしたいという気持ちが、いま必要とされている」

井出さんが今回の動画で一番伝えようと思ったのは、最後に入れたメッセージだという。“みんなが何かしたいと思う気持ちがあれば必ず明るい未来は来る。この映像を見てあなたの心に響いたなら、それを行動に移してほしい”

「とにかく皆で行動しようと言いたかった。もちろん、行動することは人によって違います。社会人の方なら、会社で自分自身の仕事を全うすることかもしれない、飲食店にいる方だったら食事を無料で提供することかもしれない。自分たちは学生でしたから、大学も休講で時間がある、だから映像を創りました。」

二人の動画を先に見たのは、地震直後からネットにアクセスできた関東圏その他の地域の人々だ。本当に感動したという多くのコメントとともに、一部には「現在進行形の悲劇を、泣ける感動物語で総括するな、映像より物資を現地に担いでいけ」というコメントもある。確かに、今回の広域地震では被害の全容が2週間以上立った今も明らかではなく、安否不明者と言われる人が、今この瞬間も誰も知らないところで必死に助けを呼び続けているかもしれない、支援物資を運ぶ物流ルートがようやく整備されつつあり、本格的な支援がようやく始まるところだ。

しかし、彼らの動画が最初にアップロードされた時、関東圏を中心とする人々も最初の衝撃に打ちのめされていた。阪神大震災での教訓からTVは当初から「いたずらに素人が現地に向かわないように」と呼び掛けた。地震と余震の恐怖。取り残された病院や学校で助けを呼ぶ人たちの映像。自分たちには募金しか出来ることがないのか。一方で放射能に対する恐怖で外国人たちが続々と日本を離れていく。もっと大変な思いをしている人がいる、自分たちに同情しちゃいけない、ココで今出来ることを頑張るのだ、誰もがそう自分に言い聞かせて息をつめるようにして過ごす。しかし、さらに被害者が増え続けていく。結局、自分たちは何もできないのか、2日目、3日目、終日の余震が続くなか重苦しい無力感と絶望感から心と身体が段々と動かなくなってくる。

そんな中、彼らの映像を見た。一つになって頑張ろう。普段ならお涙ちょうだいのメッセージだと思うかもしれない。しかし、地震から3日目に見たその単純なメッセージに、動かなくなっていた心が溶けて初めて涙が出た。今回の地震では東北地方の人でさえ、被害の酷い地域に比べればと、互いに愚痴を窘めて我慢している。そんな中、「がんばれ」と癒してもらった気もした。叱咤されて奮い立たされる気もした。無駄とか無駄じゃないとか考えてないで、とにかく何かしよう。少なくとも筆者はそう思った。

「最初はどんな反応があるのかとても心配でした(岡田さん)」「こんなにたくさんの人に見てもらえてびっくりしたし、とても有難い(井出さん)」という二人だが、40,000を超えるアクセスの中には、海外に今の日本人の気持ちを知ってもらおうという声、わざわざ英語に訳してくれた見知らぬ人からのmailも届いた。国内外の他の友人に手伝ってもらってすぐに英語版をつくり、韓国語・中国語版も作成した。

★中国語版はコチラ↓
http://www.youtube.com/watch?v=a27-MKX-avE
★中国語版はコチラ↓
Youku版http://v.youku.com/v_show/id_XMjUzNTM4NDI4.html
Youtube版 http://www.youtube.com/watch?v=OsWsvs3s5ls

★韓国版も近日中にアップロード予定

22日(火)の同窓会では予定どおり募金も集めて寄付を納めてきた。ようやく少し気持ちが落ち着いて、高校時代には機会がなかったので「初めて二人で飲みに行こうか」と話したばかりだ。これから、どうするんですか?と二人に聞いてみた。

「3月で卒業、4月からIT系の企業に勤めます。実は大学院でデジタルメデイアをさらに勉強するか迷ったこともあります。しかし、4月から就職する企業が今回の地震でサーバ無償提供や被災地のミラーサイトの製作など、被災地に対し企業としてできることをしているのを見て、改めて好きになりました。今回の震災でもインターネットは重要なインフラになったため、就職後は営業として多くのお客様と共に、日本のインターネットの進歩に取り組みます。まずは社会人として頑張ります(岡田さん)」

「僕はオーストラリアに1年留学していたので、いま3年です。就職活動をしながら、今回の経験も踏まえて、自分に何が出来るのか、改めて模索しているところです。でも、もしも会社に就職して、社員旅行の幹事になったら、東北地方を行く先を選びたい。実際に、多くの日本企業が例えば社員旅行で東北に行く、そんな風にすれば大きな支援になるんじゃないかと思ったりします。」

そして、私たちも同じだ。彼らと同じく、私たち自身も「今、できることを」考え続ける。トライアンドエラーを繰り返す、新しい歩みは始まったばかりだ。

★地震に関する情報はコチラ↓
http://www.csr-magazine.com/news/index.html

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