資源循環型企産業に活路DOWAグループの逆転の発想

DOWAホールディングス株式会社に聞く

Q3 都市鉱山という発想は面白いですね。それがDOWAグループとつながるところがさらにすごいと思います。

都市鉱山というとらえ方は、すでに1980年代に大学の先生方から発表されていたものです。都市で使用されている、あるいは使用済みとなって廃棄される製品などの中に眠る有用な資源(金・銀・銅やレアメタルなど)を、鉱山の鉱石に見立てたものです。

他のごみと一緒にただ埋め立てられて処分されているものの中にも、資源として活用できるものがあります。それをリサイクルすれば、ごみが減って資源を確保でき、“一石二鳥”というわけです。政府では、資源セキュリティの観点からも、廃棄された携帯電話やパソコンの部品から金属資源を回収する対策が進められており、あらためて都市鉱山という概念が再評価されています。

当社の場合、鉱山・製錬から次第に川下の電子部品向けなどの素材事業に展開したほか、一時は社有地を活用した不動産事業などにも手を広げました。そうした多角化から、2000年前後に“選択と集中”に大きく舵を切りました。そこで選ばれたのが、「環境・リサイクル」「製錬」「電子材料」「金属加工」「熱処理」という5つのコア事業です。

2006(平成18)年10月には持ち株会社制に移行し、DOWAホールディングス(株)となりました。それとともにコア技術を活かしたDOWAエコシステム㈱、DOWAメタルマイン㈱、DOWAエレクトロニクス㈱、DOWAメタルテック㈱、DOWAサーモテック㈱の5つの事業会社も生まれました。これら5つの事業を束ねる理念は、「資源循環社会の構築に貢献する」ことです。

●DOWAが広げる環境・リサイクルの「輪」

DOWAは1884年に秋田県から創業。以来DOWAは秋田県を中心に培ってきた技術を核に、環境・リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理の5つのコアビジネスで、素材の生産からリサイクルにいたる独自の循環型事業を築き上げ、アジアの環境改善にも貢献しています。

Q4 都市鉱山の資源はどのような仕組みの中で再資源化されているのでしょうか。

家電・携帯電話・自動車などいろいろな製品で、有用金属などの再資源化が進んでいます。DOWAグループでは、小坂製錬を核に、約30のリサイクル関連企業が、多種多様な廃棄物やリサイクル原料を受け入れ、有価金属の回収や無害化処理・最終処分を行っています。

小坂新製錬設備

例えば、日本国内での銅のリサイクル率は48.8%という統計値があります。リサイクル率が高いものの1つが、鉄道・電力・通信会社や公共工事から出てくる廃電線です。皮剥ぎといって被覆材を取り除いたあと、粉粒状にチップ化したものを電線メーカーや伸銅メーカーに戻して再利用します。回収率はほぼ100%です。

機器や自動車用の電線は、解体工程の中や、シュレッダー工程で細かく裁断されたあとに、選別回収されています。

もう1つは、伸銅品と呼ばれる銅製品、半導体、端子・コネクタ、基板の銅箔などあらゆる電子・電気機器に使用されている銅・銅合金の回収です。2001年に施行された家電リサイクル法により、使用済み家電製品からの銅を含めた有価金属の回収、リサイクルが進められています。

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