資源循環型企産業に活路DOWAグループの逆転の発想

DOWAホールディングス株式会社に聞く

“壁を壊す”をモットーに、日本から世界へ

Q5 日本は世界有数の都市鉱山国だと聞きました。DOWAの役割は大きいですね。

エコプロダクツ2010 DOWAグループ展示

都市鉱山という観点で見ると、日本は人口の多さやインフラ・電化製品の普及状況から考えて、世界有数の資源大国だと思います。

DOWAグループ展示    都市鉱山という観点で見ると、日本は人口の多さやインフラ・電化製品の普及状況から考えて、世界有数の資源大国だと思います。

DOWAグループは、鉱石だけでなく、廃電子機器や焼却残滓などをリサイクル原料として受け入れていますが、今後さらにリサイクル原料の開拓と受入量の拡大を図っていきます。また、政府機関や自治体などとも協力し、効率的なレアメタル回収・再生に向けた技術開発にも積極的に取り組んでいきます。

Q6 DOWAエコシステムは、国内だけでなく中国などアジア地域の資源・環境問題にも取り組んでいると聞きました。
DOWAエコシステム㈱は、5つのコア事業の中で「環境・リサイクル」事業を行い、廃棄物処理、土壌浄化、金属リサイクル、環境コンサルティングなどに取り組んできました。

2003年には中国江蘇省蘇州市に日系企業としてはじめて環境・リサイクル会社を合弁で設立し、主に日系企業から出る金属くずを回収して、金や銅を再資源化しています。また、2011年1月に中国でも「家電リサイクル法」が施行されたのに伴い、蘇州市の金属リサイクル工場に併設した家電リサイクル新工場、天津市での新工場、がそれぞれ稼働しており、蘇州の隣省の江西省でも、工場を建設しています。

(2010年6月 株主総会事業報告資料より)

そのほか、2009年には東南アジア3カ国4拠点(シンガポール、タイ2カ所、インドネシア)で廃棄物処理事業を展開する現地会社を買収し、廃棄物処理・リサイクルなどの事業を行っています。また、フィリピンで温暖化ガス削減事業としてメタン回収・破壊によるCDM取得を進めています。

※CDMとは?
Clean Development Mechanism (クリーン開発メカニズム)の略称。気候変動を防止するため、「京都議定書」では「排出量取引」や「共同実施(JI:Joint Implementation)」とともに重要な施策として盛り込まれている。

Q7 かつての鉱山・製錬業の時代に比べると、DOWAは大きく変わったわけですね。変革を可能にしたキーワードがあれば教えてください。

“壁を壊す”でしょうか。2000年に当社の構造改革に取り組み始めた、経営トップの言葉です。

昔からある部門間の組織の壁などを指しているだけでなく、実際に社内の物理的な壁も取り払ってしまっています。2006年に引っ越してきた現在のオフィスは全長140メートルありますが、一切“壁なし”です。社長室もよほど重要な会議でもない限り、普段は扉が開けられています。上司と部下、同僚同士だけでなく、他部門とのコミュニケーションもしやすくなったと思います。

壁のないオフィスと扉が開かれた社長室

また、当社には「キャリアマッチング」という人事制度もあります。年に一度各部署から「こんな人が何人ほしい」という社内募集が出され、1つの部署に3年以上在籍している非管理職の社員はこれらの募集に対して、上司に相談せずとも、申告して募集元とのマッチングができるというものです。

これはあくまでも1つの象徴ですが、この“破壊”が新しい価値の“創造”につながってきたのがDOWAグループだと思います。


DOWAホールディングスホームページ
http://www.dowa.co.jp

取材には、DOWAホールディングス(株)企画・広報部門に協力いただきました。


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