識者に聞く

新しい働き方をつくろうよ !

東京ワーカーズ・コレクティブ協同組合 理事長保坂弘子さんに聞く

Q4 日々の活動はどのようなものですか。

 保坂 設立支援、事業の強化に向けた支援、業種別会議の開催など横の連携に向けたコーディネート、広報活動などが中心です。アドバイザーの派遣や研修、広報宣伝、マーケティングにも力を入れています。せっかく事業を立ち上げたのに経営不振で解散しなければならないというケースもあります。そのような事態を事前にキャッチし、問題解決に導くような手厚い支援を心がけています。当組合には、事業や働く人を支えるしくみとして、独自の支援基金制度や共済会による互助組織があります。その運営も大きな活動となっています。

ただ、日本には、「出資する」「全員が経営者として雇われずに働く」「地域のニーズに応える市民事業」というワーカーズ・コレクティブの働き方を規定する法律がありません。ワーカーズ・コレクティブ法の制定、男女共同参画の視点に立った年金・税制の改革、地域を活性化する市民事業を支援する法的制度への政策提案活動にも力を入れています。

Q5 先頃、千葉県でワーカーズ・コレクティブの第10回全国会議が開かれたそうですね。どのような課題について話し合われましたか。

保坂 全国会議の準備の段階で東日本大震災があり、急きょテーマを変更して、“いまこそ私たちが伝えたいこと”として内容を再検討しました。「地域再生に向けて~ネットワークでつくる「新しい公共」~ワーカーズ・コレクティブが結ぶ地域の縁!円!援!」をテーマとし生活まるごとの助け合い、環境とエネルギー、「働く」を切り口に若者とともに考え、また新たな概念としてユニバーサル就労(働きにくさを抱えた人達の就労を支援する)についても課題としました。もちろん2012年の協同組合年に向けたワーカーズ・コレクティブについての法制化についても議論しました。

シンポジウムや分科会で自分たちの価値や課題について再確認し、今後について検討課題を共有しました。

Q6 成熟した社会にふさわしい多様な働き方が求められています。ワーカーズ・コレクティブは時代の流れにマッチした活動だと思われるのですが。

保坂 おっしゃるとおりです。いま、東日本大震災の被災地では、地域の産業の再生とともに雇用が大きな課題となっています。地域に必要な仕事を興し、働きたい人たちが自立して働ける場をつくり、仕事を選べるワーカーズ・コレクティブは、地域にとって重要な仕事の選択肢のひとつだと思います。被災地の皆さんが自力で立ち上がれるよう、政府や行政も従来の発想を見直し、このような働き方を理解し、支援するような仕組みづくりをする必要があると思います。復興に向けて私たちにできることの一番は目の前の仕事に真剣に取り組むことだと思っています。そして、それぞれの地域で継続的なつながりを持ち、事業を発展させていきたいと考えています。 (2011年12月)

東京WC25周年を記念して発刊した冊子『はたらきかたつくろうよ!!』。これまでの活動紹介に加え、ワーカーズ・コレクティブ設立の手引きとなっている。

お問い合わせ
東京ワーカーズ・コレクティブ協同組合
〒160-0021東京都新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル5F
TEL03-3207-1941 FAX03-3207-1945
http://www.tokyo-workers.jp

 
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