「my home town わたしのマチオモイ帖」展を六本木ミッドタウンで開催

東京の六本木ミッドタウンで2012年2月10日(金)から26日(日)まで開催の「my home town わたしのマチオモイ帖」展では、日本全国のデザイナー、写真家、イラストレーター、映像作家、コピーライター、編集者など325組が“自分だけの町”を表現した世界で1冊の小冊子(マチオモイ帖)や映像作品が展示している。

現在、日本には7万以上の「町」が存在するそうだ。その中に、私たちは誰でも一つ二つ思い入れのある町があるだろう。出身地、両親の田舎、学生時代に暮らしていた場所、長く働いた場所、旅行先で出会った場所。オープニングイベントで語られた「マチオモイ帖」が生まれたきっかけや思い、そして実際に展示されている数々の「マチオモイ帖」からは、震災以降の「地域復興」を足下から考えるヒントもたくさん隠されているようだ。

きっかけは広島県因島の「しげい帖(重井町)」

最初の「マチオモイ帖」は2011年4月、現在は大阪で活躍するコピーライター村上美香氏(188)が故郷の広島県尾道市因島重井町で行われるイベントのために知り合いの“おっちゃん”からの「なんか作ってよ」という頼みがきっかけだった。試行錯誤で完成した小冊子「しげい帖」には、「うまいものメモ」「古くから存在する店」「校歌」「方言」など、“重井町人”なら誰でも知る情報が満載。地元の人だけでなく、偶然に訪れる観光客たちからも好評で、あっという間に限定1,000部がはけてしまった。インターネットや携帯電話ではなく、「印刷物という所もおじいちゃん、おばあちゃんを巻き込むコミュニケーションツールになりえたポイントだった」と村上さんは振り返る。

   
15x11cm、36ページの「しげい帖」。地元名物や地元の人に愛されてきた歌詞等と並んで、小林氏のご両親の写真とともに携帯電話のない時代に交わした約束を詩も掲載。目に見える地元情報だけでなく、古くからの温かい地域の心が伝わってくる。

 その後、「しげい帖」は、アートディレクター清水柾行氏(aozora)をはじめとした人々との協働で発展し、2011年には大阪を中心とするクリエイター30数組が各人の「マチオモイ帖」を制作。そして、今回、清水氏が総合プロデューサーでもある日本全国352組が参加する「my home town わたしのマチオモイ帖」展へとつながった。

「町おこし」はできなくとも、「町への思い(マチオモイ)」なら負けない

農林水産業に代表される地元産業の不振、若者の流出による担い手不足、日本の各地方は様々な問題を抱えている。経済や行政の専門家ではないクリエイターには町おこしのプロのような提案ができるわけでもない。しかし、個人として「その町への思いは誰にも負けない」、そんな気持ちから村上氏は自分たちがつくる小冊子や映像作品を「マチオモイ帖」とネーミングした。

最初に「しげい帖」を作った村上美香氏(左)と「my home town」展総合プロデューサーの清水柾行氏。

本当に何気ない風景や人。何故か、ほとんどのクリエイターは自分が思い、表現した町を「本当に何もない。けれど….」と紹介する。一方で「マチオモイ帖」を手にとった私たちは何故か、初めて名前を知った町に強い魅力を感じ、ぜひ行ってみたいと強く感じる。震災以降、日本では以前にもまして、地域復興がテーマに掲げられている。しかし、震災以前からの価値観による地域復興、「何も見るべきものがない(と見なされる)地方に中央が与える」箱モノ行政的な町おこしを変えなければならないと考える人は多い。本当に自分たちの地域には何も価値がないのか?目に見えにくい、たくさんの価値を全ての町に隠れているのではないか。そんな気づきを325組の作品から見つけて欲しい。

東京ミッドタウン・デザインハブ特別展「my home town わたしのマチオモイ帖」
2012年2月10日(金)~2月26日(日) 11:00am~19:00pm (会期中無休・入場無料)
http://www.mebic.com/machiomoi
Face Bookページ↓
http://www.mebic.com/machiomoi/mht-event/#entry

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