CSRフラッシュ

環境危機時計 今年は9時19分に

旭硝子財団 が地球環境のアンケート調査結果を発表

公益財団法人旭硝子財団(理事長田中鐵二氏)は、このほど2013年の「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」の結果を発表した。それによれば今年の環境危機時計は昨年からマイナス4分となる9時19分となった。環境悪化に歯止めがかかったというよりも、調査地区ごとの事情が微妙に影響したもので、財団では誤差の範囲だとしている。21年前の初調査時が7時49分であったことを思えば、依然として“極めて不安”な状況が続いている。

「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」調査は、リオデジャネイロで地球サミットが開かれた1992年以来、旭硝子財団が続けているもの。今年で22回目を数えた。

環境問題に造詣の深い世界各地の有識者を対象に、毎年さまざまな角度から質問をして意見を聞き、報告書にまとめており、各国政府・自治体、非政府組織、大学・研究機関、企業、マスメディアなどで環境問題に携わる有識者9,027名が調査対象。うち1,364名から回答が寄せられた。回答数は、過去最高となった。

調査結果を報告する旭硝子財団 安田哲朗事務局長

調査の発表にあたった旭硝子財団の安田哲朗事務局長によれば、今回の調査結果の概要は以下のとおりである。
① 世界の平均危機時刻は9時19分を示し、昨年度とほぼ変わらなかったものの、昨年と比べ北米、日本を除くアジア、東欧・旧ソ連などで針が進み、他の地域は後退した。依然、全地域で“極めて不安”な水準が続いている。

○各地域の危機時刻

②危機時刻を決める地球環境状況として大多数が「気候変動」を選択。また、「生物多様性」を選んだ回答者の危機時刻は他に抜きんでて高いことが判明した。

③都市と環境問題について、環境負荷軽減のために行政機関に望む施策では、「規制や基準」が最多数を占め、次に「インフラの改善」が続いた。

④持続可能な都市を実現するために最も重要な施策については、全地域で「再生可能エネルギー技術」が多数を占めた。

⑤今後の都市人口の増加を背景とする世界都市部の環境問題への対処の仕方については、「途上地域の実情に沿った解決」が多数を占め、「中央政府や国連の積極的関与」は最下位となった。

都市集中がもたらす環境悪化への懸念

調査の助言にあたった地球環境戦略研究機関特別研究顧問の森嶌昭夫氏(名古屋大学名誉教授)からは、21回目を迎えた昨年度の調査から、定点観測という本アンケートの仕組みの一部変えて、地球環境問題として国際社会が関心のあるテーマの中からいくつかの問題を「本年度焦点を当てた項目」として取り上げたと報告がなされた。

今年度は『都市と環境問題』を取り上げ、都市環境改善のために重要な項目、行政の施策、技術、途上国の都市問題への対処などについて質問したと説明。

調査の解説を行う地球環境戦略研究機関特別研究顧問の森嶌昭夫氏

現在、途上国を中心に人口の都市集中が進んでおり、土地住宅環境の悪化、廃棄物処理、交通公害が深刻化しているとのこと。この動きは今後も加速し、世界人口の半数が都市に集中する日も間近いといわれる。

今年の調査結果から見えてくるのは以下のような状況である。

①都市環境を改善してゆく上で重要な項目として、“都市インフラの整備”(26%)が最多数となり、次いで“マルチステークホルダーの積極的な参画や協力”(23%)、“都市環境問題の教育や問題認識の共有化”(20%)が続いた。

②環境負荷低減のために、行政機関が行う処置・対策に求めるものについては、“自然を積極的に利用した都市設計”(13%)、“工場、オフィス、家庭からの排ガス、廃水、廃棄物の排出・廃棄基準の設置、厳重化”(12%)を占めた。全体的にブロードな選択の分布となった。

③CO2 排出削減・サステイナブルな都市を実現するための技術、製品、システムで重要なものについては、世界全体では“再生可能エネルギー技術”(23%)の支持率が第1位に、“公共交通網”(14%)が第2 位となった。

④世界の都市部の環境問題への対処を考える上で重要なものについては、“途上地域の実情に沿った都市環境問題の解決”(25%)が第1位、“都市部の貧困問題の解決”(22%)が第2 位を占めた。

地球環境アンケート に関するお問い合わせ先

公益財団法人旭硝子財団 事務局長 安田哲朗
〒102-0081 東京都千代田区四番町5-3サイエンスプラザ2階
Tel: 03-5275-0620 Fax: 03-5275-0871
e-mail: post@af-info.or.jp
URL: http://www.af-info.or.jp

「ブループラネット賞」受賞者による記念講演会を開催

2013年(第22回)「ブループラネット賞」表彰式典は2013年10月30日(水)にパレスホテルで行われ、翌10月31日(木)に受賞者による記念講演会が国際連合大学(東京都渋谷区)で開催されます。

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