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印象派とフェルメールの復元画を原寸大で展示
福岡伸一さん監修のリ・クリエイト展開催“リ・クリエイト”という絵画の復元法をご存知だろうか。印刷の手法を駆使した「世界一原画に近い復元画」として知られている。東京・銀座永井画廊と廣済堂銀座ギャラリーで、このほど生物学者・福岡伸一さんが監修した「印象派とフェルメール リ・クリエイト展」が開催された。
世界一原画に近い復元画
『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』などの著作で知られる生物学者の福岡伸一さんは、大のフェルメール好きとして知られる。2011年8月には、それまで全日空の機内誌で連載してきた記事を『フェルメール光の王国』として木楽舎から発刊した。2013年11月にはニューヨークタイムズ紙に“フェルメールおたく”として取り上げられたほどだ。
その福岡さんが、いま力を入れるのがフェルメールや印象派の絵画の復元画。このほど開催された2つの美術ギャラリーで展示されたのはパリ国立オルセー美術館から「世界一原画に近い復元画」として公式認定を受けたマスターレプリカを使った人気の高い31作品。
フェルメールの有名な「真珠の耳飾りの少女」「牛乳を注ぐ女」「レースを編む女」「小路」をはじめ、クロード・モネの「ルーアン」3部作、「かささぎ」、ルノワールの「ムーラン・ド・ラギャレット」「都会のダンス」「田舎のダンス」、ドガの「エトワール」、ミレーの「晩鐘」「落ち葉拾い」などが並ぶ。
いま、なぜ「リ・クリエイト」なのか
名画と呼ばれるオリジナルの絵画も、幾多の歳月を経て、修復・洗浄による退色や変化は避けられず、その状態はさまざまだ。保管の状態によっては、現存するオリジナルが、作家が当初求め描いた作品の状態とほど遠い場合も少なくないのが実情だ。
福岡さんが恋い焦がれるフェルメールは、およそ350年前のオランダで描かれたもの。オランダ・デルフト市の芸術家専門ギルド「聖ルカ組合」に所属した職業画家であったフェルメールの作品の多くは特定のパトロンや愛好家からの依頼によるもので、今日のように誰もが鑑賞することを前提にしていないといわれる。
「印象派とフェルメール リ・クリエイト展」では、科学的な検証、技術的な修正、さらに人的な感性を結集し、フェルメールが描いたであろう色彩を求め、誰も見たことのない鮮やかなフェルメール作品を完成させた。
「真珠の耳飾りの少女」は、ターバンの鮮やかな青色が際立つ。当時は細かく砕いた青色の宝石=ラピスラズリで描かれていた。金よりも高価だったといわれるラピスラズリをフェルメールは惜しげもなく使った。いわゆるフェルメール・ブルーである。リ・クリエイトの製作では、ラピスラズリの青の色ヒストグラムを定量的に分析し、350年前の鮮やかさを再現することに成功した。
福岡さんは、「作家の意図により近い複製画で、製作当時の仕上がりを味わってほしい」と語っていた。
「re-create」(リ・クリエイト)=再創造と名付けられた背景には、オリジナルから失われてしまった輝きを再び取り戻すという意味が込められている。原作の画像データをもとに、色ヒストグラム解析、デジタル修復技術、紫外線プリントなど現代の画像・印刷技術を使って、原画を再生すること。これによって、絵は描かれた当時の鮮やかな色彩、みずみずしい質感、ヴィヴィッドな輝きを取り戻すことができる。それに加えて、リ・クリエイトされた絵を、その作品が所蔵されている美術館とほぼ同一の額装を施し、美術愛好家たちに広く鑑賞いただきたいとしている。
「印象派とフェルメール リ・クリエイト展」
http://www.re-create.gallery/iav/
福岡 伸一教授のオフィシャルブログ
http://fukuoka-hakase.cocolog-nifty.com/
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