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ママさんバンド、おやじバンドで街を元気に!     

昭和飛行機工業が母の日・父の日ライブを開催

東京郊外の昭島市で、「ははの日LIVE」「おやじの日LIVE」が開かれた。昭島市に本社を置く昭和飛行機工業が母の日・父の日にちなんで開催したもので、「ははの日LIVE」は2015年の今年で3回目、「おやじの日LIVE」は今年で4回目を数える。地域イベントに込めた思いを同社の地域振興推進室長幸田義康さんに聞いた。

クリアー・ウォーター・メモリーズの演奏風景

クリアー・ウォーター・メモリーズの演奏風景

お母さん、お父さんが輝きつづける街を

Q 1.当日のライブの模様からお聞かせください。

幸田: 「ははの日LIVE」は5月10日の日曜日に10組が参加して開かれました。「おやじの日LIVE」は6月21日の日曜日に12組が参加しました。

「ははの日LIVE」は、本格的なロックやジャズバンドもありましたが、和太鼓やゴスペル、コーラスもあって盛りだくさんの演目といった印象です。もう一方の「おやじの日LIVE」は、ビートルズやグループサウンズ全盛時代を知る団塊世代が若い世代も巻き込んでいった感じで、プロ顔負けの本格的なグループも含まれています。

昭和飛行機工業地域振興推進室長幸田義康さん

昭和飛行機工業地域振興推進室長
幸田義康さん

会場となったモリタウンガーデンステージには、各グループに応援団も加わって、「ははの日LIVE」に500名、「おやじの日LIVE」に1,300名が集まりました。

会場内は熱気でムンムンといった雰囲気です。参加者のアンケートを見ると、「楽しかった。最高でした」「思い出がよみがえり、若返った」「元気をもらいました」などうれしい声が数多く寄せられています。

Ban She

Ban She

D. T. Feel

D. T. Feel

DcCoys

DcCoys

クリアー・ウォーター・メモリーズ

クリアー・ウォーター・メモリーズ

Q2.昭和飛行機工業グループ独自の取り組みと聞いていますが、どのような発想から生まれたものでしょうか。

幸田: 昭和飛行機工業は、昭和12年に航空機の製造を目的に生まれた会社です。創業時、この地域一帯は桑畑が広がる養蚕地帯だったようですが、農家の方々から土地を買い取り、55万坪もの広大な工場が生まれました(現在の社有地は40万坪)。

戦後は給油車、タンクローリーなどの特殊車両や航空機に用いるハニカム材などを製造してきました。また、広大な敷地を有効活用するため、商業施設やスポーツ施設などの運営にも力を入れています。

本社がある昭島市は、都心で働く方々のベッドタウンとして急速に拡大し、現在では人口11万を数えるまでになりました。地域に根を張る企業としては、この地域の発展につながる恩返しができればとずっと考えてきました。

JR青梅線昭島駅の北口に広がる昭和飛行機工業の広大な敷地

JR青梅線昭島駅の北口に広がる昭和飛行機工業の広大な敷地

Q3.開催にあたってのご苦労は?

幸田: イベントを始めた頃は、とにかく知名度はありませんから、参加者集めに地元のLIVEハウスの協力を仰いだりもしました。それで「おやじの日LIVE」の1回目と2回目はなんとか5組の参加にこぎつけました。現在は昭島市の広報誌や自治会の掲示板でも宣伝していただくようになり、それぞれ10組を超える応募があります。

「ははの日LIVE」は最初、40歳以上の母親という制限がありましたが、子どもが3人いるという若いお母さん方からの応募もあり、制限は設けないことにしました。母親の演奏の後には、子どもたちが花束をもって応援に駆け付ける場面も多く、家族の絆づくりにも役立っていると感じています。

苦労と言えば、音合わせですかね。きちんとした音合わせをしてから本番の演奏に臨んでほしいのですが、入れ替えを含めて10分しか余裕がないため、必ずしも十分な音合わせができません。最初はアンプなども持ち寄っていただきましたが、時間を節約するため、いまではアンプやドラムスのセットは主催者である私どもで準備するようにしています。

スタッフ3人の地域振興推進室だけでは裏方としても力不足ですから、社内から10名以上のボランティアの応援を募り、当日の設営なども行いました。

昭島市の広報誌や自治会の掲示板、昭島駅、昭島観光案内所などに掲示されたポスター

昭島市の広報誌や自治会の掲示板、昭島駅、
昭島観光案内所などに掲示されたポスター

ボランティア参加の社員の皆さん

ボランティア参加の社員の皆さん


                 

昭和飛行機工業は地域とともに成長します

Q4.CSRレポートを拝見すると「地域・社会とのコミュニケーション」という形でさまざまな取り組みを行っていますね。

幸田: 平成18年に、地域貢献の一環として昭島市や市内の奉仕団体とともに、「昭和の森 芸術文化振興会」を立ち上げました。平成20年には、当社に地域振興推進室の前身となるCSR推進部を設置しました。「昭和の森」というのはJR青梅線昭島駅北口に広がる当社社有地などを総称したものですが、そこを舞台に「あきしま郷土芸能まつり」「昭和の森音楽祭」「あきしま市内芸術家展」なども開催してきました。

当社は、地域の皆さまが集う駅前という立地特性を活かした「まちづくり」の推進を企業の社会的責任と考え、昭島市と協力して交通渋滞解消などの目的から当社敷地内に道路を新設したほか、高齢者施設や子育てのための施設づくりにも協力しています。

Q5.まちづくりにも深く関わっているわけですね。「草かんむりのまちづくり」という理念もつくられたそうですが。

幸田: 平成16年に策定したのが「草かんむりのまちづくり」構想です。「花」「夢」「若」「芸」「慈」「蘇」「茶」「菜」などの「草かんむり」の付いた8文字でこれからのまちづくりの理念が見えてきます。たとえば、「花」は四季折々の花たちがくらしを彩るということですし、「芸」はモノづくり、いつもの何かが生まれることですし、「菜」は地産池消、つまり地球の旬を大切にする食を現しています。

当社の歴代のトップが率先して、まちづくりに協力しようとする姿勢を示してくれています。

昭島市といえば、地元昭島で採れる野菜を広く市民に知っていただくことを目的に、「昭和の森 冬祭り」というイベントも12月に開催します。今年で3回目となるイベントですが、幻の拝島ネギなどを使ったけんちん汁が大人気で、ほかにも野菜や花の販売も行います。JA東京みどりや同女性部なども協力いただいています。こちらもぜひご参加ください。

「昭和の森 冬祭りのポスター(2014年)」

「昭和の森 冬祭りのポスター(2014年)」

けんちん汁の炊き出しに協力していただいたJA東京みどり女性部の皆さん

けんちん汁の炊き出しに協力していただいたJA東京みどり女性部の皆さん

「昭和の森 冬祭り」も地域になじみ深いイベントとして定着しつつある(写真はいずれも2014年12月のもの)

「昭和の森 冬祭り」も地域になじみ深いイベントとして定着しつつある(写真はいずれも2014年12月のもの)

Q6.今後に向けた抱負がありましたらお聞かせください。

幸田: 地域の活性化には、施設などハード面の整備が必要ですが、それらをとことん活用するソフト面のノウハウも大切です。

当社には、ゴルフ場、テニスコート、スポーツクラブ施設のほか、最近、アウトドアに特化した複合商業施設「モリパーク アウトドアヴィレッジ」もオープンしました。国際大会が開催できる大型クライミングウォールがあるほか、初心者でもボルダリングやヨガを楽しめるスタジオが人気で、連日にぎわっています。

事業と社会貢献は必ずしもイコールではありません。昭和飛行機工業グループでは、ほぼ毎月1回くらいのペースでなんらかの催しを企画し、開催していますが、将来的には地域のイベントとして根付かせることができればと考えています。地域の皆さんと共同で行うイベントにしたいと考えています。

昭和飛行機工業株式会社

http://www.showa-aircraft.co.jp/

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