国内企業最前線
NECのプロボノ活動が「Make a CHANGE Dayアワード」大賞を受賞
社員の知識やスキルを活かして社会的なボランティア活動を行うプロボノ。国内企業で先駆的といわれるNECグループのプロボノ活動が、このほど「Make a CHANGE Day」アワードで大賞を受賞した。どのような取り組みなのだろうか。NECのCSR・社会貢献室に聞いた。
Q1.先頃、「NECプロボノイニシアティブ」が「第6回Make a CHANGE Dayアワード」の大賞を受賞しました。どのような点が評価されたものでしょうか。
池田: 今回の受賞は、NECグループ社員がボランティア活動として、各人のプロフェッショナルスキル(プロジェクトマネジメント、マーケティング、プログラミング等)を活用して社会起業家やNPOなどが抱える課題解決に役立てるという社会貢献プログラム「NECプロボノイニシアティブ」の活動が評価されたものです。
NECグループは2010年度からNPO法人サービスグラントと協働で国内企業としては初となるプロボノ活動に取り組み、2014年度までに約100名の社員が参加しています。2014年度は、社員ボランティア27名が3チームに分かれ、「途上国の貧困家庭の子どもに対する教育支援に取り組むNPOへの支援」「大学生のインターンシップによる子育て支援に取り組む社会起業家への支援」「東松島市(宮城県)の復興に取り組む街づくり機構への支援」など3団体に対して約半年間にわたって行いました。
7月の授賞式では、他の日本企業のプロボノ活動導入のモデルとなった、先駆性と独自性が評価されました。
《NECプロボノイニシアティブ頁はコチラ↓》
http://jpn.nec.com/community/ja/resources/business_supporter.html
社員の持つプロフェッショナルスキルを、社会起業家の抱える課題解決に役立てるプログラム。旧名称は「NEC社会起業塾ビジネスサポーター」で、6年目を迎え新たなステージに入ることから「NECプロボノイニシアティブ」と名称を変更した。
Q2.「Make a CHANGE Dayアワード」とはどのような趣旨で生まれた顕彰制度なのでしょうか。
池田: 「Make a CHANGE Day」は、日本各地のさまざまな団体・グループが、国内外でボランティア・市民活動を行い、ボランティア活動の推進を図る取り組みです。アメリカで20年以上前から毎年10月第4土曜日に実施されている全国一斉ボランティアデーにならい、10月第4土曜日を“シンボル日(Make a CHANGE Day)”としています。
「Make a CHANGE Day」アワードは、ボランティア・市民活動を実践・推進しているNPO、市民、大学、企業等のメンバーで構成されるMake a CHANGE Day 実行委員会および有識者会議メンバーが、毎年シンボル日のある10月から翌年3月末までに実施した活動の中から、優れた取り組みを表彰する制度です。
Q3.NECグループは「Make a CHANGE Day」の趣旨にふさわしい活動をかなり古くから取り組んでいたと聞きました。
池田: NECは創立100周年(1999年)に、全世界のNECグループ社員が世界各地のコミュニティで実施している社会貢献活動「NEC Make–a- Difference Day」をスタートしました。
その後、海外のスタッフから『Day』ではたった一日だけの活動だと誤解されかねないとの指摘を受け、『Day』を『Drive』に替えて「NEC Make–a-Difference Drive (MDD)」と呼んできました。
北米では「海兵隊財団の恵まれない子どもたちにおもちゃを贈る活動」への参画、タイでは「マングローブの植林活動」、中国では「四川省大地震の被災者向け支援活動」、欧州では「ガンと戦う子どもたちを救う募金活動」、そして日本では「わくわく子どもの池プロジェクト」「ハス田再生プロジェクト」などこれまでにいくつもの取り組みを行っています。
2002年には、「NECプロボノイニシアティブ」のきっかけとなる若手社会起業家育成プログラム「NEC社会起業塾」も生まれました。
Q4.これまでの取り組みの延長線上に「NECプロボノイニシアティブ」があったわけですね。今年の支援活動にはどのようなものがありますか。
池田: 今年も7月から以下の3つの団体への支援を始めています。活動は年内いっぱい続く予定です。
1つめは、「NPO法人ICT救助隊 (http://www.rescue-ict.com/wp/)」への支援です。ICT救助隊は、難病や重度障害者へのコミュニケーション支援行っています。患者の声の代わりになるPCや操作スイッチなどのICTを活用することで、他者とのコミュニケーションが可能となります。また、患者を支える方々を対象に「難病コミュニケーション講座」を全国各地で開催します。
2つめは、「株式会社ロッツ (http://lots.co.jp/)」への支援です。ロッツは、陸前高田市と大船渡市に絞って東日本大震災直後から被災地全域にボランティア派遣、お笑い慰問活動、医療物資支援などを行ってきました。現在は訪問投薬と訪問リハビリを事業化しています。医療過疎地域である被災地に医療介護従事者の採用に役立つ支援が期待されています。
3つめは、「一般社団法人南三陸町観光協会 (http://www.m-kankou.jp/)」への支援です。復興の途上にある南三陸町で、地域が有する文化的・社会的特性を活かした観光客の誘致促進を図るとともに、観光地および観光物産などの宣伝、観光施設の整備促進、観光関係者の資質の向上を図りながら、地域の生活文化の向上および産業経済の発展を目指します。
Q5.プロボノ活動に参加された社員の皆さんのこれまでの反響はいかがですか。
池田: チームには営業や開発など部署も職歴も異なるさまざまなメンバーが公募で参加します。プロジェクトを通じて初めて顔を合わせるわけですが、数カ月に及ぶ取り組みをとおして、新しい人間関係が生まれ、プロジェクトが終わっても交流が続いているという話を聞いています。
参加した社員の声を要約すると、「視野が広がった」「社会が抱える問題や課題を深く考えるようになった」というものがほとんどです。なかには「課題を解決するアイデアが見つかった」という凄いものもあります。また、「経営者マインドが学べる」いう声もありました。
どの参加者も外部の社会起業家やNPOの皆さんとの連携から、“気づきや学び”の素晴らしい機会を得ているようです。
Q6. NECグループは幅広い社会貢献活動をされているようですが、今後に向けた抱負をお聞かせください。
池田: NECグループは、1990年に企業理念「NECはC&C(※)をとおして、世界の人々が相互に理解を深め、人間性を十分に発揮する豊かな社会の実現に貢献する。」を制定しました。以来、社会貢献活動の中期のテーマとして「福祉・ダイバーシティ」「教育・文化・スポーツ」「環境」の3つを掲げ、地道な活動に取り組んできました。
※C&C: Computers and Communicationsの略。コミュニケーション技術とコンピュータ技術の融合を示す。
たとえば「福祉・ダイバーシティ」では、NEC車いすテニスへの支援をとおして、障がい者スポーツの普及や障がい者の社会参加の一助としてきました。「教育・文化・スポーツ」では、「NECプロボノイニシアティブ」のきっかけとなる「NEC社会起業塾」などを行いました。「環境」では、NEC田んぼ作りプロジェクトやNEC世界子ども自然クラブなどを進めました。
今後もステークホルダーの利益と発展を考慮した社会貢献活動を進めていくため、社会に役立つ継続性のあるプログラムを心掛けていきます。
NEC コーポレートコミュニケーション部
CSR・社会貢献室 池田 俊一
http://jpn.nec.com/csr/ja/
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