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ロハスな暮らしに、あなたもチャレンジしませんか。

第11回 ロハスデザイン大賞/ヒト・モノ・コト 3部門大賞

健康で持続可能な生き方を提唱する一般社団法人ロハスクラブ(代表理事:小黒一三)から「第11回ロハスデザイン大賞/ヒト・モノ・コト 3部門大賞」の発表がありました。大賞や準大賞に選ばれた方々を紹介するとともに、大賞受賞者3名による『ローカルデザインの未来』をテーマとしたディスカッションの模様をお届けします。

ロハス大賞2016-1

第11回 ロハスデザイン大賞2016
「ヒト」・「モノ」・「コト」 3部門大賞発表会

第1部

11回目を迎えたロハスデザイン大賞。今年のエントリー数は68点。ロハスクラブ個人メンバー(インターネット個人審査員/登録数15,000名)による第1次審査・投票とロハスクラブ評議会の審査により、最終審査候補の39点に絞られ、5月に行われた「ロハスデザイン大賞2016新宿御苑展」における来場者投票(46,612票)と、ロハスクラブ個人メンバーによるインターネット投票(32,693票)を合算した総票数79,305票により各部門の大賞が決定されました。


「ヒト部門大賞」

【大賞】田中 輝美(ローカルジャーナリスト)

地域に暮らすからこそ、伝えられることがある。合言葉は、「ないなら、つくろう!」

地方紙の記者から独立。地域に暮らしながら、地域のニュースを全国に伝える「ローカルジャーナリスト」という肩書を自らつくり、ヤフーなどのウェブや書籍、雑誌で記事を執筆。都会に比べ、地方は「ないもの」が多いけど、ないならつくろう! 肩書も、仕事も、仲間も。新しくシェアオフィスもつくり、仲間と楽しく働いています。

【準大賞】秋本可愛(「Join for Kaigo」代表)

http://heisei-kaigo-leaders.com/

2025年、介護職員が約30万人も不足する社会に。
若き介護リーダーを育てるコミュニティを主宰!

介護に携わる次世代リーダーのコミュニティ「HEISEI KAIGO LEARDERS」を主宰。講師を招き、参加者とともに業界をよりよくするアイデアを考える勉強会を開催。さらに一人ひとりが想いをかたちにし、課題解決や社会貢献へとつなげる「KAIGO MY PROJECT」を展開。超高齢化社会をよりよくするため、主体的に活動するリーダー育成を目指しています。

【準大賞】たからさがし。(地域をヒッチハイクする二人組)

ヒッチハイクで、九州や中国地方へ。
地域に眠る“宝”を外からの視点で発掘!

https://takarasagashi7.wordpress.com/

「たからさがし。」は九州を拠点にヒッチハイクで旅する二人組。玉名市役所職員の吉永早佑梨さんと鹿児島県の家具店で働く宮ヶ原真衣さんです。旅は月に1回ほどで、訪ねるのは地元の人々の生活がありのまま見える地域。「外からの視点で地元の魅力に気づくことは、ある種のまちづくりかも」と、“たからさがし。”に出かけています。

左から、大賞の田中輝美さん、準大賞の秋本可愛さん、同じく準大賞の「たからさがし。」のお二人。

左から、大賞の田中輝美さん、準大賞の秋本可愛さん、同じく準大賞の「たからさがし。」のお二人。


「モノ部門大賞」

【大賞】いぐさロール・いぐさピロー(畳屋道場株式会社)

http://www.igusa-roll.com/

畳にならなかった「い草」を活用した「いぐさロールといぐさピロー」で、
畳を身近に感じる生活を。

畳の原料のい草は、田んぼで栽培されます。年間生産量の約10%のい草は畳に加工できないほど短いため、焼却処分していました。尾形航さんは大学の課題で畳を展開したプロダクトを研究し、現在畳屋さんで働いています。短いい草の活用をはじめ、い草の普及にも取り組み、畳職人の知恵と技を反映させたプロダクトを製作しています。いぐさロールもピローも、畳がない部屋でもい草を身近に感じることができます。

いぐさロール・いぐさピロー

いぐさロール・いぐさピロー


【準大賞】樹木鉛筆(株式会社五反田製作所)

http://www.gotanda.co.jp/halcana/

日本初のモデラー宮本茂紀さんが手がける、樹種の異なる鉛筆で、木の個性を感じることができます。

イタリアでデザイナーがデザインする椅子を形にし、対等にものづくりを行うモデラーの姿に触発された宮本茂紀さん。椅子の形はそのままに、樹種を変えて200脚以上を製作してきたシリーズ「BOSCO」があります。それをもっと身近に感じてほしいと製作されたのがこの鉛筆。ヒノキ、ローズウッドなど10樹種の軸でできた10本の鉛筆をイタヤカエデ製のトレイにセット。無垢の木の豊かな個性が伝わってきます。

樹木鉛筆

樹木鉛筆


【準大賞】ヤシノミ洗濯用洗剤、ヤシノミ柔軟剤(サラヤ株式会社)

http://www.yashinomi.jp

ヤシノミ由来の植物性原料で作られる「ヤシノミシリーズ」。
新発売の洗濯用アイテムで、さらに“人と地球にやさしい”ヤシノミ生活を!

ヤシノミ洗濯用洗剤、ヤシノミ柔軟剤

ヤシノミ洗濯用洗剤、ヤシノミ柔軟剤

1971年の誕生以来、ヤシの実由来の原料にこだわり、無香料・無着色で手肌にやさしいヤシノミ洗剤。45年以上のロングセラーブランドから、洗濯用洗剤&柔軟剤が新発売。洗濯用洗剤には、すすぎ性と吸水性に優れた肌にやさしい柔軟成分を配合しました。売上の1%で原料産地のボルネオ島の熱帯雨林を守る活動を支援しています。


「コト部門大賞」

【大賞】しまね田舎ツーリズム(公益財団法人ふるさと島根定住財団)

http://www.oideyo-shimane.jp/

島根県全体がフィールド!
農民の営みが体験できる293軒の民泊とおもてなし!

ありのままの地域の魅力を体験してもらおうと始まり、今年で12年目を迎える「しまね田舎ツーリズム」。東西に長い島根では、気候も文化も違う各地域に293の体験拠点があります。許可申請など高いハードルがある農家民泊に、島根県が独自の制度で推進。土地に根づいた伝統的な文化体験を提供し、地方へ人が流れる仕組みを後押ししています。

しまね田舎ツーリズム

しまね田舎ツーリズム


【準大賞】これからの窓と暮らそう。APW431大開口スライディング& APW430ツーアクション窓(YKK AP株式会社)

http://www.ykkap.co.jp/

大開口スライディング:大きな窓は、暮らしを楽しくしてくれる。
ツーアクション窓:ひとつの窓に、ふたつの開け方。

YKK APでは、“樹脂窓”を通じて日本の住宅の断熱性能の向上を目指し、世界トップクラスの断熱性能を持ったさまざまな窓をラインアップしてきました。春は清々しい風を取り入れ、心地よく。夏は厳しい暑さをやわらげ、秋のお昼寝もさわやかに。冬の寒さもしっかり押さえてくれる。これからの暮らしを変える、新しい窓のカタチです。COOL CHOICEハウスで体感を!

APW431大開口スライディング&APW430ツーアクション窓

APW431大開口スライディング&APW430ツーアクション窓


【準大賞】デルモンテの野菜苗(日本デルモンテアグリ株式会社)

http://delmonteagri.co.jp/

栄養いっぱいでおいしく、育てやすいトマト苗を
日本デルモンテアグリが開発。“育てる”をはじめよう!

真っ赤なトマトは栄養いっぱい。生活習慣病予防や老化抑制にも効果があるとか。日本デルモンテアグリは家庭でも育てやすいトマト苗を開発しました。あらかじめ苗に予防接種をしていることがポイントで、病気対策のための殺虫剤散布の軽減にもつながります。ほかにもピーマンなど元気な野菜苗をたくさんつくっています。

デルモンテの野菜苗

デルモンテの野菜苗


第2部 鼎談「ローカルデザインの未来」

ロハス大賞発表後、大賞受賞者3名による記念シンポジウムが行われました。エコネイティブ世代が求める地域におけるつながりや信頼のあり方を考えてみました。

ロハス大賞2016-5

田中 輝美さん(ローカルジャーナリスト)
尾形 航さん(畳屋道場株式会社)
山崎 紀明さん(公益財団法人ふるさと島根定住財団)
司会: 指出一正さん(一般社団法人ロハスクラブ/理事)

地方(島根)の情報を全国に発信したい

司会: ヒト部門で大賞を受けた田中輝美さんはローカルジャーナリストとして何を発信してきたのでしようか。

田中: 全国の皆さんが読んで価値のある島根県の情報を発信してきました。たとえば離島で廃校寸前の高校がありました。その学校に島外から生徒が来て、クラスも活性化し、生徒も増えたという事例があります。それを雑誌や書籍で書きました。

司会: 興味深い情報ですね。日本の地方紙というのはその土地の情報をその土地の人たちに発信しているわけですが、地方のことを外に発信することも意味があると思います。大きな新聞社が発信する情報だけで世の中が動いているかというと、そうではありません。地方から発信して、よい社会づくりに貢献するのは大切なことです。

田中: 大手のメディアが東京から来て取材して書くというのもいいとは思いますが、その地域に住んでいる人からの発信、外に向けての発信が弱すぎるのではないかと思っています。住んでいる人間だから書けることもあると思っています。

司会: 私たちが提唱する持続可能な社会というのは、コンパクトな地域で、大きな流通もない地域の中でやられている事例が多いのです。環境に負担を掛けない社会というのは、そういうところで成り立っています。

持続可能な社会を体現した「いぐさロール・いぐさピロー」

司会: ものづくりとローカルデザインが掛け合わされているのがモノ部門で大賞をとった畳屋道場の尾形航さんの仕事です。持続可能な社会を簡単に説明するのは難しいのですが、尾形さんがつくった「いぐさロール・いぐさピロー」だと説明しやすいと思います。これはどういうコンセプトから生まれたものですか。

尾形: もっと畳を使ってほしいという思いから生まれたものです。畳の材料はい草ですが、国内で使われているい草のほとんどは中国産になっています。国内では熊本を中心に一部で栽培されているだけです。

その熊本も20年ほど前に6,000軒あったい草栽培農家は、1割近くに減っています。畳の文化は日本の伝統で、私たちには身近なものですが、実際には国産でまかないきれなくなっています。国産のい草がないという状況が近付いているのです。

畳屋さんも畳だけで生活ができないという状況です。い草を家具の一部にして商売が続けられないかと考えたわけです。い草そのものを活用したいというのが発想の原点でした。

司会: 実物を拝見しましたが、「いぐさロール・いぐさピロー」はなかなかいい感じの仕上がりです。いま、温暖化防止に向けてCO2の削減が話題になっていますが、植物由来のいぐさロールやいぐさピローの活用なら、暮らしの中で無理しないでできる取り組みです。

畳屋としてデザインに関わる

尾形: いま、私はプロダクトデザイナーとしてではなく、畳屋という立ち位置で仕事をしています。デザイナーとして畳と関わっている人はいますが、ものづくりの部分は畳屋さんを頼らざるを得ません。私自身はものづくりができる職人として提案力を身に付けたいと思いました。

司会: い草を使うものが増えて、それが新しいプロダクトとして評価されるといいですね。

尾形: 今回の受賞をきっかけに畳屋が少しでも注目されるといいと思います。

司会: コト部門で受賞した「しまね田舎ツーリズム」の山崎さんはツーリズムコーディネ-ターということですが、具体的にはどのようなお仕事をされているのでしよう。

民泊で地域を元気に

山崎: 民泊をもっと増やしていこうというのが私の仕事です。いま、文部科学省は子どもたちの修学旅行先に大きなホテルや旅館ではなく、民泊を利用しようという動きを始めています。そちらの方が子どもたちの思い出としても記憶に残るし、経験につながるとされています。

昨年、広島県は県下の公立小学校の5年生を対象に民泊をするようになりました。3泊4日で助成金も出ます。大きな学校だと200人とか300人という大人数になりますから、民泊だと1軒に4〜6人として50〜60軒の受け入れ先が必要になります。民泊の受け入れ先を確保するのが当面の課題です。

司会: 民泊で得られる体験には計り知れないものがあります。たとえば古民家というのは夏でも涼しいですよね。昔ながらの暮らしから得られる知恵をとおして、環境を考えるきっかけになるのではありませんか。

山崎: 田舎で生活していると環境に配慮するというよりも、環境に負荷を与えない生き方が自然と身についていきます。

子どもたちは3日間とか4日間、他人と一緒に住むわけですが、家にいるときのように親が構ったりしません。自分でやらないといけないわけです。ときには分宿している家のおじいちゃんやおばあちゃんから叱られるといった経験もします。後で父兄の方にアンケートを取ると、子どもが変わった、成長したとよく言われます。

司会: 何かの体験を通じて、自分で判断する力はつくはずです。たとえば2つのものがあったら、どっちの方が快適なのかとか、どっちが人に迷惑がかからないかとか……理解が広がるかもしれません。

山崎: 畑なんかから野菜を取ってきて、自分で調理して食べるといった経験は普段はほとんどありません。たとえばピーマンが嫌いだとか、トマトが嫌いだとか言っていた子が、自分で調理すると食べられたりしますよね。

お母さんが心配して、「うちの子はピーマンが食べられません」とかいうのですが、子どもたちからは「ピーマンはおいしかったよ」といった声が聞かれたりもします。

司会: 形を変えた環境学習ですね。修学旅行で京都や鎌倉に行くのもいいですが、それは大人になってもできることです。逆に地方で民泊をすれば学ぶことは多そうですね。

山崎: 最近は、東京生まれ、東京育ちという方が、都会暮らしはもういいから、田舎で暮らしたいと言って移ってきます。

私たちの世代だと、田舎暮らしはしたくても仕事がないと家族は養えないというネガティブなことを先に考えがちですが、最近、都会から来る人は、給料とか生きるとかということは二の次です。こちらが心配して聞くと、「島根県でこの3〜5年で餓死した人はいますか。いないでしょう」という声さえ聞かれます。(笑い)

地方のローカル未来をデザインする

司会: きのう私は山形県と新潟県の県境の山の中にいました。日帰りで夜遅くに東京に戻ったのですが、町が煌々と輝いています。東京はこんなにもエネルギーを使っているんだと思いました。みんなでエネルギー使わない賢い暮らしをあらためて提唱したいと思いました。
環境や社会に配慮した「ローカルデザインの未来」とはどのようなものか、最後に一言ずついただきます。

田中: 若い方は、都会にしかチャンスはないと昔は考えていました。少子高齢化が進んでいるいまは、地方に課題が眠っており、チャンスもあります。チャンスを求めて地方に移り住むという生き方も若い方の選択肢にあります。島根でこうした課題が解決できれば、日本の課題が解決できるわけです。島根県には若い方がたくさん移り住み、いろいろなことにチャレンジしています。

私は書きたくてジャーナリストをやっているというよりも、取材する中でこれは伝えたいという、そういう思いのある情報を出したいと思っています。課題の解決法は地方にもいろいろあると思っています。全国に発信されていないだけなのです。そうしたローカルな情報を発信し続けたいと思っています。

司会: 尾形さん、もう一言。

尾形: 私は山形の畳屋さんで働いていまして、いま一番つながりがあるのは熊本のい草農家の皆さんです。ローカル同士のつながりですが、山形も熊本も高齢者が多く、また後継者の問題を抱えています。私のように大学を卒業して、いきなり畳職人の世界に飛び込んでくるという人はあまりいません。

自分の使命は、どんな形にしろ、畳職人の仕事ぶりを継いでいこうと考えています。自分がやっているのを見て、あの人ができるのなら自分にもできるかもしれないと、新しい人が一人でも入ってくれればと思っています。

山崎: 過疎という言葉は島根県で生まれた言葉です。地域の人口がどんどん減って、中には限界集落のようなところも増えています。そのような状況をどうやって食い止めるか、地域に元気でないと周りからも人がやってきません。

島根の石見地方では、若い人たちが神楽に夢中になっています。民泊で泊まると感じると思うのですが、非常に素朴なんだけれど、丁寧だし、親切です。ただ、ずっとそこに住んでいる人たちは、自分たちのよさになかなか気づいてくれません。

気付いてもらうためにも域外の人たち、外国人も含めて、泊まりに来てほしいと思います。お父さんやお母さんに、「元気ですね。楽しい地域ですね」と褒めてもらうことで、地域の人たちはもっと元気になります。

ただ、60代、70代のお年寄りがインターネットを駆使して情報発信するのは難しいと思います。私たちがPRの部分を担い、地域の未来のデザインをお手伝いしなければいけません。

司会: ローカルというのは、特定の地域を指すものではありません。いろいろな地域がある中で、その地域の多様な価値観を強調できたらと思います。私たちが暮らす地域社会を考えるきっかけになればと思います。

○お問い合わせ

一般社団法人ロハスクラブ
TEL:03-3524-9757
http://www.lohasclub.jp/


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